ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。
今回のテーマは、「仮想通貨の時価総額でなにがわかる?」。
仮想通貨の時価総額から読み取れること
仮想通貨の時価総額からは、そのコインの市場規模や過去の値動きを読み取ることができます。
大切なのは現時点のデータだけでなく、過去までさかのぼったデータを見ること。あとは、データから未来を考えること(妄想すること)です。
妄想力(想像力)があれば、仮想通貨の市場全体の動向や未来を読み取ることもできるかもしれません。未来を予想するのは難しいことですが、自分が仮想通貨業界に入って価値を創造することで、業界全体の存在価値を高め、仮想通貨投資で利益を出すこともできるでしょう。
妄想力、想像力、創造力と言葉遊びみたいになってきましたが、第21回の記事でご紹介したように「ビットコインの価値を上げたのはホルダーたち」です。
仮想通貨はホルダー同士で価値を認め合い、価値を創造し、高めていく通貨ですので、仮想通貨投資で利益を出すことはまだまだ不可能ではありません。
仮想通貨の時価総額を見てみると、あるときのデータでは市場全体の暴騰が、あるときのデータでは市場全体の暴落が確認できるかもしれません。市場全体の動きと反発するように、全体が下がっているときに時価総額を上げているコインもわかるようになるでしょう。
今の価格は底値なのか、それともさらに下がるのか、これから上がりそうかなども、過去の時価総額データの推移で予想することができるかもしれません。将来有望なコインや、最近人気のコインも見つけられるかもしれませんね。
仮想通貨の時価総額ランキングはどこで見られるの?
仮想通貨の時価総額ランキングは、「CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)」という情報サイトで確認できます。
このサイトを見ると、世界にはすでに5000種を超える仮想通貨があることがわかります。なかには、発行量や価格がわからないコインもありますが、仮想通貨の種類を多く知ることで、投資先の選択肢も増えるでしょう。種類がありすぎて、正直わけがわかりませんけどね。
値動きを見てみると、「ビットコインと同様の値動きを見せるもの」「全く異なる値動きをするもの」があることがわかります。
ビットコインと連動して値が動くコインは、投資判断がしやすいコインといえます。しかし、ビットコインが値下がりすると、同じように価値が下がってしまう点には注意が必要です。
ちなみに、ビットコインと連動して値動きするコインが多く見えるのは、ビットコインが仮想通貨の世界の基軸通貨だからです。
仮想通貨の時価総額とファンダメンタルズ分析
「ファンダメンタルズ分析」とは、株式投資で使われる投資のための分析方法のひとつです。
ファンダメンタルズ分析では、株式の本質的価値と市場の株価に大きな隔たりがあったとしても、いずれは本質的な価値に近づくという考えのもとに相場を予想します。
仮想通貨で例えると、ビットコインの本質的な価値が1BTC=100万円と考えられる場合、市場価格が1BTC=80万円のときには上昇が見込まれます。また、市場価格が1BTC=120万円のときには下落が見込まれる、というように予想するということです。
本質的な価値よりも市場価値が高ければ売り、本質的な価値よりも市場価値が低ければ買う。これを繰り返すことで、利益を得ることができます。
日々のチャートやレートを確認する必要がないため、取り組みやすい投資法といわれています。ただ、この「本質的な価値」を測定する方法が、仮想通貨にはありませんけどね。
仮想通貨の時価総額ランキング
仮想通貨の時価総額は、「コインの発行枚数×コイン1枚あたりの価格」で求めることができます。コイン1枚あたりの価値だけでなく、そのコインが市場でどれだけの影響力があるのかも確認できるのが時価総額です。
2020年2月5日時点の時価総額ランキングTOP3は、以下のとおりです。
第1位 ビットコイン(BTC)
時価総額は、18兆3,529億7,951万9,238円。
ビットコインは、サトシ・ナカモト論文から生まれた世界初の仮想通貨です。誕生から10年以上が経った今でも不動の1位を誇っています。
第2位 イーサリアム(ETH)
時価総額は、2兆2,727億7,017万34円。
イーサリアムは、スマートコントラクトや分散型アプリケーションのプラットフォーム機能を持つ仮想通貨です。イーサリアムは、今後も世界経済にプラスの影響を与える可能性が高いため、多くの人が保有し取引を行っています。
第3位 XRP(XRP)
時価総額は、1兆3,173億8,477万4,600円。
XRPは、リップル社が発行する仮想通貨です。XRPではなくリップルと呼ばれることもあります。こちらの方が呼びやすいですからね。
1XRPあたりの価格は30円前後と安く見えますが、流通量が多いため、時価総額はランキング第3位です。今後、あらゆる通貨をつなぐブリッジ通貨として、世界中で活躍する可能性を秘めた、将来性のあるコインです。
イーサリアムとリップルは、2位と3位をよく競っていますので、ビットコインとあわせて「3大仮想通貨」と呼ばれることもあります。
仮想通貨の時価総額ランキングを見ると、1位と2位には大きな差があることがわかります。時価総額ランキングからも、世界初の仮想通貨であるビットコインの人気の高さがわかりますね。ビットコインが不動の第1位をキープしているのは、圧倒的な知名度の高さと、仮想通貨の世界の基軸通貨であるからです。これは、今後も揺るがないように感じます。
時価総額ランキングを確認することで、多くの人が保有し取引している人気のコインがどれなのかが一目でわかります。ただ、「CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)」は情報サイトに過ぎません。お金を払えば掲載できるという面もありますので、「『CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)』に掲載されているから安心できるコインだ」と解釈するのは安直です。
「CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)」に載っていなくても安心して取引ができるコインはありますし、「CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)」に載っていても詐欺が疑われるコインはあります。サイトを妄信せず、目利き力を養うことが大切ですね。
次回は、「LINEが目指す手のひら金融 仮想通貨取引所BITMAXと独自仮想通貨LINK」についてご紹介します。
執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。