ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

今回のテーマは、「ブロックチェーンのノードってなに?」。

  • ブロックチェーンのノードってなに?

ノードとは

仮想通貨の話題でよく出てくる「ノード」とは、取引情報の監視や管理、取引承認などを行う端末(通信機器)のことを言います。ネットワークにつながれた無数の端末は、仮想通貨取引を支える上で欠かせない存在です。

ノードの特徴は、中央で管理するシステムがなく「分散的」であるということです。特定の企業や組織ではなく、不特定多数のユーザーがノードの役割を果たしています。そのため、ノード同士は基本的に同格であり、ノード数が多いほど分散的で非中央集権型であると言えます。

仮想通貨の取引情報は、1カ所に集約されていないため、物理的な攻撃ができません。さらに、情報が分散されているため、改ざんすることが極めて難しくなります。データ改ざんが困難であることは、ブロックチェーンの特徴の1つですね。

そもそも、ネットワークにおけるノードとは、ネットワークをつなぐパソコンやルーター、サーバーなどのことを言います。「ノード(node)」には、節や接点、交点という意味があり、IT用語ではネットワークへの接続ポイントを意味する言葉です。

例えば、自宅でパソコンを使ってインターネットを利用するとき、使用しているパソコンがノードです。最近では、パソコンだけでなく、テレビや冷蔵庫など、さまざまなモノがインターネットに接続できるようになりました。そういった製品も、ネットワークにつながれている状態ではノードです。ノードは身近なところに数多く存在しています。

ノードの役割と種類

仮想通貨におけるノードの役割は、仮想通貨の取引記録のかたまりである「ブロック」を監視・管理することです。ブロックはチェーンとなって、P2P(ピア・ツー・ピア)システムを通じてノードに共有されます。P2Pとは、ネットワークにつながれた端末同士が同等の立場で通信を行うことです。P2Pシステムによって、中央管理者がいなくても、情報をやりとりすることが可能になります。

ノードには、以下の4つの種類があります。

「フルノード」

ブロックの誕生から現在まで、すべての取引記録を管理しているノードのこと。過去の取引情報をすべて保存しているため、仮想通貨の取引に不正がないか確認することができます。

「SPVノード」

ブロックチェーンの一部のデータを管理しているノードのこと。データ量が軽いため、パソコンよりも容量が少ないスマートフォンからでも参加することができます。ただし、SPVノードだけでは情報の正当性を判断できないため、フルノードを参照する必要があります。

「マイナー」

マイニングという作業により、取引を承認するノードのこと。マイニングに成功すると、報酬として新たに発掘した仮想通貨を獲得することができます。マイニングについては、第11回の記事をご覧ください。

「ウォレット」

仮想通貨を保管する機能を持つノードのこと。ウォレットには、パソコンで管理するフルノードのウォレットと、スマートフォンでも扱えるSPVのウォレットがあります。

ノードに参加するための条件は?

ノードに参加するには、それぞれの仮想通貨によって条件があります。

例えば、ビットコインのフルノードになるには、膨大なデータ量を扱う必要があるため、高性能なパソコンが必要です。マイナーとして参加する場合も、マイニングには高度な計算が求められるため、処理能力の高いパソコン(マイニングマシン)が必要になります。

ビットコインのマイニングは、参加者が多いほど難易度が高くなる仕組みになっています。2019年は難易度が上がり過ぎたため、個人で参加してマイニング報酬を得ることは難しいのが現状です。そのため、マイニングプールやクラウドマイニングを通じて参加するのが一般的になっています。

マイニングで利益を得るためには、「電気代」「土地代」「マイニングマシンの性能」「対象仮想通貨のマイニング難易度」などのポイントをおさえる必要があります。最近は節税商品としてマイニングマシンが勧められていますが、業者が提案してくるほどのリターンを得られるかはわかりません。実際にそのマイニングマシンを利用している人に実績値を確認することをお勧します。

次回は、「ハードフォークとソフトフォークってなにが違うの?」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。