ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本連載では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

仮想通貨を現金化したい! そんなときは……

第7回の記事でご紹介したように、仮想通貨は決済(支払い)に利用することができますが、日本円などに現金化することもできます。現金化の主な方法は、「仮想通貨取引所を利用して指定の銀行口座へ送金してもらう方法」と「ビットコインATMを使って現金を引き出す方法」の2つです。

仮想通貨取引所で現金化

仮想通貨取引所を使って現金化する方法は、最もメジャーなものだと思います。現金化するには、まず取引所での口座開設が必要です。取引所で口座を開設するためには、本人確認書類の提出が必要になることが多いため、開設までは約1週間かかります。現金化の手順は以下のとおりです。

  1. 仮想通貨取引所で口座を開設
  2. 口座開設後、現金化したい仮想通貨を取引所へ送金
  3. 仮想通貨を売却して日本円に交換
  4. 希望する金額を指定の銀行口座へ振り込み依頼
  5. 銀行口座から現金を引き出す

取引所で扱っている仮想通貨であれば、ビットコイン以外の仮想通貨も換金することができます。

ビットコインATMで現金化

ビットコインを現金化したい場合は、ビットコインATMで現金化する方法もあります。ビットコインATMなら、取引所で口座を開設しなくてもビットコインの購入や現金化が可能です。モバイルウォレットを使ってビットコインATMのQRコードを読み取り、任意の金額のビットコインをATMに送金することで現金化できます。現金化の手順は以下のとおりです。

  1. SMSやメール、指紋認証などによる個人認証
  2. 引き出したい現金額を入力すると、換金に必要なビットコインの額が表示される
  3. ビットコインATMのアドレス(QRコード)を読み取る
  4. 表示された額のビットコインをATMに送金
  5. 現金を受け取る

ビットコインATMは購入もできる

ビットコインATMの中には、現金化(出金)だけでなく、購入(売買の両方)に対応したATMもあります。その場で現金でビットコインを購入できる点は便利です。機種によって購入手順は異なりますが、流れは以下のとおりです。

  1. SMSやメール、指紋認証などによる個人認証
  2. モバイルウォレットの受信先ビットコインアドレス(QRコード)をかざす
  3. 現金を入れる
  4. ビットコインウォレットにビットコインが送金される

ビットコイン以外の仮想通貨にも対応したATMが出てきていますので、ビットコインATMではなく仮想通貨ATMと呼んだ方が正しいかもしれませんね。

仮想通貨ATMはどこにあるの?

仮想通貨の売買に対応したATMの設置場所は、「Coin ATM Radar(コインATMレーダー)」という情報サイトで確認できます。日本国内で確認できるATMは、東京都に5カ所、茨城県に1カ所、福岡県に2カ所、広島県に1カ所です。まだまだ数が少ないため、利便性には欠けていますね。

  • ビットコインキャッシュATM
  • ビットコインキャッシュATM

また、仮想通貨ATMは手数料が高いのが難点です。ATMによって設定は異なるようですが、手数料は2~10%となっています。10%ですと1万円を引き出すのに1,000円かかりますから、正直なところ高いと感じますよね。設置台数や手数料の面で仮想通貨取引所より利便性は劣りますが、旅行時や緊急の際にはATMを利用してみてもいいかもしれません。

遅れる日本の普及。世界では仮想通貨ATMが増加中

前述の情報サイト「コインATMレーダー」によると、2019年2月時点で、世界には仮想通貨ATMが4,355カ所、現金と仮想通貨を交換できるサービスを提供している店舗は14万4,808店舗あるとのことです。

仮想通貨ATMが最も多いのはアメリカで、2,622カ所。カナダは701カ所、イギリスは220カ所、スイスは48カ所、香港は32カ所、シンガポールは9カ所と、世界各国に設置されていることがわかります。香港ではビットコインキャッシュのATMも設置されていました。今後も世界の設置台数は増えていくでしょうから、日本における設置台数が増えないとなると、日本での仮想通貨の普及は遅れてしまいそうですね。

外国人旅行客の中には、仮想通貨での買い物や仮想通貨ATMの利用に慣れている人もいます。日本でも仮想通貨への正しい理解が進み、企業や店舗での仮想通貨決済の導入事例や仮想通貨ATMの設置台数が増えるなど、今以上に普及していく未来を期待したいですね。

次回は、「仮想通貨に関するポジティブ発言&ニュース」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。