ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本連載では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。
乱立するQRコード決済や電子マネー
「100億円あげちゃうキャンペーン」で話題になったPayPay(ペイペイ)などのQRコード決済や、Suica、WAONなどの電子マネーの普及がここ数年で一気に進んでいます。種類が豊富すぎて、正直なところどれを選んだらいいのかわからないですよね。
筆者はどちらかというと現金派で、その理由は「スマホやカードをなくしたら困るし、再設定や再発行が面倒だから」と「種類が多くてどれが自分に合っているのかわからないし、調べるのが億劫だから」でした。しかし今では、クレジットカードとSuicaしか持ち歩いていません。現金を持ち歩くことはほとんどなくなりました。小銭を探す面倒さもありませんし荷物も減るので、一度その便利さに触れてしまうと、もう現金派には戻れないですね。
キャッシュレス化の究極は身体で決済?
キャッシュレス化が進むと、ユーザーとしては現金を持ち歩かずに済んだり、ポイントがついたり、海外旅行のときに外貨両替の手間が省けたりといったメリットを享受できるでしょう。企業やお店側としても、現金を数えるレジ精算の労力やコストを削減できるなど、メリットは多いと思います。また、現金をあまり所持・保管しない社会になれば、強盗や空き巣などの犯罪も減るかもしれません。
海外では、生体認証で自分の身体をクレジットカードと紐づけるサービスも実用化されています。例えば、韓国のクレジットカード会社であるロッテカードは、ロッテグループが韓国で展開しているロッテマートやロッテリア、セブン-イレブンなどの店舗で、手のひらをセンサーにかざすだけで商品を購入できる「Hand Payサービス」を提供しています。生体認証なら暗証番号を忘れてしまう心配もないですし、セキュリティ的にも安心ですよね。
お小遣いもキャッシュレス化していく?
「Pigzbe(ピグズビー)」という次世代型ブタさん貯金箱をご存知でしょうか? 同商品は、子どもが楽しみながら仮想通貨を学べるということで話題になりました。ブタの貯金箱型のデバイスとモバイルアプリを組み合わせており、知育ゲームで遊んだり親のお手伝いをしたりすると「Wollo」という仮想通貨がもらえる仕組みになっています。
Wolloは貯めると円などの現金(法定通貨)に交換でき、入出金は親のデバイスで管理します。まずは親が仮想通貨やキャッシュレスについてリテラシーを高める必要もありますが、子どもへのお小遣いを仮想通貨であげたり、LINE Payや電子マネーであげたりすることが普通になる時代が来るかもしれません。現金を持つこと自体が時代遅れになるのかもしれませんね。
課題は決済スピードと信頼性
PayPayのキャンペーンでは、アクセスが集中したことで決済が遅くなったり、あるいは利用できなかったり、さらには不正利用による被害が出るなどの問題が起こりました。どんなに話題になっても、安心して便利に使えなければ普及はしませんよね。
仮想通貨も2017年のブームで話題にはなりましたが、普及はまだまだです。決済は、できれば一瞬、遅くても数秒で完了してほしいですし、不正利用はあってはならないことだと思います。本連載の第6回でご紹介したFusion Bank(フュージョンバンク)のような銀行が増え、銀行カードでの決済が実用化されれば、仮想通貨を決済で利用するユーザーも増加し、キャッシュレス化とともに仮想通貨全体が社会に普及していくのかもしれません。
仮想通貨の確定申告もオンラインで完結する?
本連載の第13回でご紹介したとおり、決済利用を含め仮想通貨取引で得た利益には税金がかかります。計算がなかなか面倒で、できれば税理士さんに丸投げしたいと思うのが人間の性なのですが、仮想通貨税務に精通している税理士さんはそう多くありません。
しかし、近いうちにその手間からも解放されそうです。仮想通貨損益計算サービス「Gtax」を提供するAerial Partnersとクラウド会計ソフト「会計freee」を提供するfreeeが業務提携し、「会計freee × Gtaxプラン(仮称)」というサービスの開発を始めたのです。「Gtax」で計算した結果を「会計freee」と連携させることで、確定申告をすべてオンライン上で完結させるサービスを目指しているそうです。
キャッシュレス化や仮想通貨の普及が進んでも、税務申告が複雑すぎると使うのも億劫になりますので、サービスが充実するのはユーザーとしては嬉しいですね。
次回は、「貸仮想通貨(レンディング)」についてご紹介します。
執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。