防犯ママ・桜井礼子氏直伝の最新防犯術
いつどこで犯罪に巻き込まれるかは、誰も予想がつきません。ただ、子どもや女性、高齢者が特に狙われやすいのは事実です。
子どもが被害者となる犯罪への知識を深めるべく、日本初の「女性防犯アナリスト」の桜井礼子氏に話を聞きました。防犯ジャーナリストの梅本正行氏の弟子で、「防犯ママ」として活動するスーパーウーマンです。
地域コミュニティが弱体化し防犯力も低下
警戒心が乏しく、抵抗する力も弱い子どもは、保護者などの大人が守る必要があります。核家族化、単身化が進み地域のつながりが弱くなった今、どんなことに注意すべきなのでしょうか。
――地域のつながり、地域コミュニティが弱体化し、防犯面でどんな変化がありますか?
桜井氏: 子ども、女性、高齢者の弱者が特に狙われやすくなっています。子どもは、年齢でいえば、小学校1年生が危ないです。それまで、保育園や幼稚園に送り迎え付きだったのに、小学校に入ると徒歩通学になります。最初は集団登下校をしますが、一人で登下校をするようになり、その頃が最も危険です。
――保護者はどのように安全指導すればいいのでしょう?
桜井氏: 「怖い目に遭ったら大きな声を出す」ということです。「ランドセルは捨てて、安全なところ、大人がいる方向に逃げる」と教えましょう。昔は、地域の目がしっかり機能していて、おかしな人が来たなどの異変にすぐ気付けました。今はそうした期待ができないので、家庭での防犯教育が重要です。なお、地域コミュニティは防災にも有効で、地域のつながりが強い地域では、記録的豪雨でも犠牲者がゼロだったそうです。
防犯ブザーと子ども110番の家
地域コミュニティが弱体化したことで、子どもの通学路への安全も確保されにくくなっています。となると、防犯ブザーは欠かせません。それから、町中で時々見かける「子ども110番の家」も、もしかして頼りになるのでしょうか。
――保護者などの大人が、子どもの安全のためにできることはなんでしょう?
桜井氏: 保護者は1日休みを取って、通学路を最初から最後まで子どもと歩いてみましょう。そうすると、危険な道と安全な道が分かると思います。防犯ブザーは必ず持たせ、使い方も教えます。ですが、防犯ブザーより人の声の方が認知されやすいという説もあります。「助けて」ではなく「ワーッ」のような声でも十分です。大声を出す練習ができると最高です。
――通学路といえば、子ども110番の家というのもありますよね。
桜井氏: 子どもたちが危険を感じた時に立ち寄れる家や施設です。不審者から声をかけられたり、つきまとわれたりした時、子どもが駆け込むと、身の安全を確保し警察に通報するなどの対応をしてくれます。でも、見知らぬ家に入るなんて普通はできません。だから、通学路チェックの時に、保護者と子どもでそのお宅に挨拶をしておきましょう。顔や名前を覚えてもらう必要はなく、子どもがその家の人の顔を知ることで「この家に行ったことがある」と覚えれば十分です。
※編集部注:子ども110番の家は地域により、こども110番の家などとも記述
――その他、覚えておくべきことはなんでしょう?
桜井氏: 昔は「知らない人についていかない」でしたが、今は、「家族以外にはついていかない」がルール。例えば、近所の人に「クルマに乗せてあげようか?」もダメ。子どもには、「あそこの人にクルマに乗せてあげようか?」と言われたことなど、外での出来事をすべて話すように教えます。後日、その家に子どもと訪問し、「親切なお申し出をしてくださったそうで、ありがとうございました。うちでは、家族以外のクルマに乗らないように教えているんです」と伝えましょう。そうすると、子どもは「自分は大切にされているんだ」と知り、防犯への意識ができます。
取材協力:桜井礼子(さくらい・れいこ)
防犯専門家・日本初女性防犯アナリスト。「予知防犯」を社会に浸透させ、正しい防犯知識を普及させることを目的とした「日本防犯学校」の副学長。防犯界のカリスマである梅本正行氏に15年間師事し、事件現場の検証と取材に携わる。女性・母親・高齢者の親を持つ皆様と同じ目線で、予知防犯を提唱中。