中学受験のための塾を考える時、実績があり、カリキュラムの整っている大手を検討する家庭が多いだろう。関東ではSAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研が中学受験に強い4大塾と言われ、各地に教室を展開している。前回はそれぞれの塾の特徴を解説したが、果たしてわが子はどの塾が向くのか。「塾ソムリエ」として塾の活用方法の指南書を多数執筆している、カリスマ家庭教師の西村氏にお話をうかがった。
4大塾、わが子に向くのは?
SAPIXのようにクラスがたくさんあり、切磋琢磨させる塾は、負けず嫌いで勉強面での自己肯定感の強い子が向いています。SAPIXで余裕を持ってやっていくためには、入塾前に算数の計算と漢字を先に進めておくとよいでしょう。目安として1学年上の計算と配当漢字がわかるようになっていれば授業についていけると思います。
先取りはできていないけれど、元々の処理スピードが速い子は早稲田アカデミー(以下 早稲アカ)が向いています。早稲アカは大手進学塾の中でも特に宿題が多いので、スピードは重要です。体育会系の若い先生が多く、子どもたちへの強制力が大きくなりがちなので、繊細で感受性の豊かな子は萎縮してしまう危険性がある反面、たくましくて打たれ強い子は伸びていくと思います。
逆に繊細な子、一つひとつ納得しないと気がすまない慎重な子は四谷大塚が向いています。毎週の確認テストがクラスのレベル別に出されるので、どのクラスの子もがんばりがすぐに結果に表れ、達成感を得やすいです。宿題は決して少ないわけではありませんが、授業で習ったレベルに限定されるため、負担感は低いでしょう。
日能研はカリキュラムが比較的ゆったりで、隔週のテストは基礎問題も選べるので、基礎からじっくり固めたいという子にはよいでしょう。難関校から基礎力重視の学校まで¬¬¬受験対象の間口が広いので、他の3つの塾が合わないという子の選択肢に入ってくると思います。学校の成績はよいけれど、控えめで繊細という子やマイペースな子は日能研が向いています。
最後は子どもの気持ちがのってくるところを
以上、子どものタイプ別にお薦めの塾をあげましたが、通塾時間も大切な要素です。小学生ですから片道1時間以上もかかるところに通わせるのは無理があります。
逆に通える範囲に複数の教室があったら、同系列の塾であっても実際に行って話を聞いてみてください。教室長によって教室のカラーが大きく左右されることもあるからです。志望校への合格者数も塾全体ではなく、教室単位で見るべきです。体験授業は、パフォーマンスの上手い先生をその時だけ出してくることもありますので、その場合は参考程度にすべきです。子どもが「ここならがんばれそう」と気持ちがのってくる塾を選ぶことが大切といえます。
※記事の内容は、あくまで西村則康氏の個人的な見解によるものです
※写真と本文は関係ありません
著者プロフィール
西村則康
首都圏・関西圏の難関校に2,500人以上を合格させてきた実績を持つ、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人の読者が参考にしている。