独身時代はあまり考えていなかった保険。ですが、大切な家族ができたタイミングで入ろうか考えている人も多いはず。今回はそんな夫婦に向けて、保険事情をひも解いていきたいと思います。

  • ※画像はイメージです

「家族が増えた今だからこそ、不安にはしっかり保険で備えたい」という人もいるでしょう。保険を考えるときに必ず知っておきたいのが公的保険です。

保険加入の考え方として公的保険で足りない保障を民間保険に加入して手厚くする、というのが基本です。つまり公的保険を知らずして、保険加入について考えることはできません。

この記事では、ぜひ知っておきたい5つの保障について紹介します。

1. 高額療養費制度

1カ月(同月の1日~末日)に支払う医療費が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度。すべての医療費が対象となるわけではなく、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まれません。

自己負担額は年齢や所得によって決められています。

<69歳以下の人の上限額>

所得区分 ひと月の自己負担上限額(世帯毎)
年収約1,160万円~
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:所得(※)901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円~約1,160万円
健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:所得(※)600万~901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円~約770万円
健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:所得(※)210万~600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:所得(※)210万円以下
57,600円
住民税非課税者 35,400円

※前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除額(合計所得金額が2,400万円以下の場合は43万円)を除いた額。ただし、雑損失の繰越控除額は控除しない



たとえば、健康保険組合に加入している30歳・標準報酬月額30万円の人が1カ月で総額100万円の医療費を支払った場合、高額療養費制度を使うと自己負担の上限額は87,430円となります。

複数の受診や、同じ世帯の人(同じ医療保険に加入している人に限る)の受診については、自己負担額を1カ月単位で合算することができます。ただし、過去12カ月以内に3回以上、上限額に達した場合は4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

医療保険を検討している場合は、自身の自己負担上限額を確認した上で保障の上乗せが必要かどうかを考えましょう。

2. 付加給付

高額療養費制度に加えて、付加給付制度が使える場合はさらに医療費の自己負担は減ります。

付加給付とは、高額療養費制度の自己負担上限額に達していなくても、健康保険組合が独自に設定している自己負担上限額を超えると、その超えた額を健康保険組合が支給してくれる制度です。

その額は加入している健康保険組合によって異なりますが、25,000円前後です。

ただし、付加給付は保険組合独自の制度で、大企業の健康保険組合などに限られます。中小企業などが加入している「全国健康保険協会(協会けんぽ)」などのように、付加給付制度がない場合もあります。また、国民健康保険には付加給付制度はありませんので、自身がどれにあてはまるかを確認しましょう。

3. 傷病手当

病気やケガで会社を休んで、十分な報酬が受けられない場合に傷病手当金が支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと

この条件を満たす場合、「標準報酬日額」の2/3を傷病手当金として受け取れます。

支給される期間は、支給開始した日から最長1年6カ月です。国民健康保険に加入している人はこの傷病手当は対象外となります。

4. 障害年金・遺族年金

年金は「老後に支給されるもの」というイメージが強いかもしれませんが、それ以外にも大切な役割があります。1つ目は病気やケガで障害を負ってしまった時の「障害年金」、2つ目は亡くなったときに残された家族の生活を保障してくれる「遺族年金」です。

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金、遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。国民年金に加入している人は基礎年金のみ、会社員や公務員など厚生年金に加入している人は、基礎年金と厚生年金をあわせて受給できます。

5. 失業給付

雇用保険の被保険者が失業中の生活を心配しないで求職活動に集中できるように失業給付(基本手当)が給付されます。

基本手当は離職した理由や雇用保険に加入していた期間等によって、支給内容が異なります。自己都合退社の場合、基本手当を受給できるのは約3カ月後となります。その間は無収入となるので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか。すでに私たちはいくつもの公的な制度で守られています。ただし、働き方や加入している保険組合によって保障の手厚さは変わってきます。すでにある保障をしっかりと把握した上で保険への加入を検討すると、保障の過不足を防ぐことができますよ。