「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回は、「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ。」というビジョンを掲げる株式会社ダイブの広報・原由利香氏にリゾートバイトについて伺いました。
ダイブの事業内容
リゾートバイトダイブ:日本国内の観光施設に特化したリゾート人材サービス
宿泊業界のための外国人求人ナビ:宿泊施設に外国人紹介・支援を行うサービス
グランピング施設ブランド「ザランタン」:宿泊事業
リゾートで働くのはどんな人?
筆者は2014年頃にインドネシアのバリ島に一時移住し、リモートでリゾートワークをしていました。ライティングなどの完全在宅デスクワークでしたから、ホテルや旅館などの宿泊施設で仕事をするリゾートワークとは異なりますが、リゾート地という一般的には「非日常」な空間で仕事をする経験は貴重だったなぁと思い起こされます。
コロナで大きな影響を受けた宿泊業界ですが、コロナの時期やコロナ後の今、リゾートで働くのはどんな人たちなのでしょうか? ダイブの原さんに詳しくお聞きしました。
「弊社のユーザーは女性が6割。年代は20代~45歳と幅広く、コロナで働き方を変えた方が多いです。正社員雇用に対するこだわりは低く、コロナ禍でも移動することに懸念がないユーザーがほとんど。転職のハードルが低いため、3~4ヶ月で滞在先を移動するユーザーが多いのも特徴です。
都市部の喧騒に疲れた、現状の仕事を変えたい、変化させたい、新しいことをやってみたいのでリゾートバイトで気持ちをリセットしたいというニーズもあります。また、ご夫婦でリゾートバイトをされる方もいらっしゃいます。60代でバイクの免許を取得し、それを機にいろいろな地域を回りたい。青春を取り戻したいと、今は沖縄で就業されています。若い人や外国人と一緒に働くことで視野が広がり、どんどんアクティブに、どんどんチャレンジャーになって人生を謳歌されています。
ゲストハウス経営をされているご夫婦は、雪の季節はお客さんが来ないのでゲストハウスは休業し、その期間はリゾートバイトをして過ごされています。他にも、ワーキングホリデーで来日する外国人の方々のリゾートバイトのニーズがあります。1年ほど滞在し、リゾートバイトと学業をうまく両立されています」
と、意外にも幅広いニーズがあるようです。リゾートバイトと聞くと、「学生の夏休みのアルバイト」のイメージが強かったのですが、働き方や働く場所を変えるためのリゾートバイトという選択肢もあるようです。
リゾートバイト・リゾートワークで得られる体験価値
ダイブでは、「旅行以上、移住未満」という言葉が使われていますが、将来的には移住したいけれど、いきなり移住はハードルが高い。リゾートバイトでその地域を知り、移住先を検討していくというニーズも一定数あるそうです。
「旅行だと、滞在するのは2泊3日ほどです。短い時間では、地域の人と触れ合う機会も少ない。また、旅行だと良いところしか見えず、いざ住んでみたら想像と乖離があることがあります。例えば、沖縄に移住したいという人は多いのですが、独自の歴史や文化があり、コミュニティは狭いので移住のハードルは高いです。リゾートバイトで地元と関係構築をしてから本格的に移住を検討する方が、後々の後悔が少ないと思います。実際に、リゾートバイトをきっかけに移住された方もいらっしゃいますよ」と、原さん。
確かに、バリ島などの東南アジアに移住したものの早々に帰国するケースも多くあります。「年中暑いのは嫌」「食べ物が合わない」「虫が多い(デカい)」「言葉が通じない」など、理由はさまざまですが、旅行で数日滞在するだけでは見えなかった部分が住んでみると見えてくるわけです。
若い方々には、リゾートで働くことによって得られる高い体験価値というメリットもあるようです。
「ワーキングホリデーで滞在する外国人の方にとっては、旅をしながら働き、日本文化を知れるというメリットもあります。また、リゾートバイトだと住まいや光熱費、食事が無料になるため、経済的なメリットも多くあります。ある韓国人の方は、山梨にある富士山近くの旅館で仕事をされています。日本の着物文化に関心があり、着物で働きたいという夢がリゾートバイトで叶いました。
また、最近のインバウンドニーズの高まりから8割が外国人スタッフというホテルや旅館もあり、留学前にそこで働く日本人の方もいらっしゃいます。国内でワーキングホリデーの疑似体験ができるので、異文化を知ることができると人気です。
他にも、自転車で日本一周をしていて、お金が尽きたのでリゾートバイトしたいという方もいらっしゃいます。地域活性・地方創生に関心があり、旅行以上に地域に入り込みたいという若い人も多いです。リゾートバイトをしながらSNSで地域の情報を発信している人もいて、中にはダイブのアンバサダーになっていただいた方もいらっしゃいます」
など、そこでしかできない体験に価値を見出し、時間を使っている人も多いようです。自分の時間を使うことはある意味では自己投資だと思いますが、リゾートバイトだとお金も体験も得られるので良いですよね。
宿泊業界の課題解決と新たな価値創造
ダイブでは、地方創生の一環としてグランピング事業の「ザランタン」も展開されています。非観光地で使われていない公共施設と遊休地を活用し、グランピング事業で雇用を創出して地域活性化を図っていると言います。
「ザランタンは現在5カ所展開しています。コロナでグランピングが流行ったのですが、企画する会社はたくさんあるものの、集客・運営まではできないという課題がありました。そこで弊社では、企画から集客・運営まで一気通貫で対応しております。また、リゾートバイト人材をご紹介することも可能です。リゾートバイトをする方の中には、施設運営にも携わりたいという方もいますので、アルバイトからマネジメントへのキャリアプランを描くこともできます。
弊社はこれまで、宿泊業界の課題解決と新たな価値創造に一貫して取り組んできており、人材の課題だけでなく、グランピング事業では施設の企画や運営にも取り組んでおります。人が働きたくなる雇用を生み出すことが重要で、若い人が来ると地域も元気になります。そんな地域を、これからもっと増やしていけたらと考えております」(原さん)
仕事があればなんでも良いというわけではなく、「どこでだれと働くか」がQOLを高めるためにはとても重要だと思います。リゾートで働くというのも、自己投資のひとつとして良いかもしれませんね。