「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回は前回に引き続き、金融教育の領域で独自の活動を続ける「株のトラ組織委員会」の名古屋大学4年生・神田華栄氏(学生代表)、名城大学3年生・岡凌央氏、名城大学2年生・片野源也氏の3名にお話を伺いました。

大学を越えて理念の共感者が集う

――前編では、主に学生代表の神田さんにお話を伺いましたが、名城大学の岡さんと片野さんにもお聞きできればと思います。なぜ「株のトラ」に参加しようと思ったのでしょうか? 「株のトラ」には、いろいろな大学から学生さんが集まっていて興味深いですよね。

片野源也氏(以下、片野氏):「中高大学生の金融リテラシーの向上」という理念に共感したことと、上場企業の取材ができるというところに魅力を感じました。自分でも投資をしているのですが、周りの人に「投資をしている」とはどこか言いにくかった。でも、金融教育は始まっているわけで、投資や資産形成に対する社会のイメージは少しずつ変化していくと思います。

岡凌央氏(以下、岡氏):私も理念に共感したことと、普段は会えないBtoB企業の方々と接点を持てることに魅力を感じました。どんな経営をしているか、どんな取引先があるのかなど、学生同士で話すときに具体的に話せますし、より実践的な企業分析の機会をいただけてとても勉強になります。「株のトラ」での経験は、就職活動でもとても活きてくると思います。

学生視点で見る昨今の金融教育

――「金融教育」という言葉は、ここ数年よく耳にする言葉ですが、学生視点ですとどう感じているのでしょうか?

神田華栄氏(以下、神田氏)教育自体は大事で、必要なことだと捉えています。「人生100年時代」「老後資金2000万円問題」「年金支給引き上げ」「年功序列や終身雇用の崩壊」「海外企業は強く、日本企業は弱い」など、将来に対するネガティブな情報は溢れていて、「不安しかない」「ただ仕事をしているだけではダメ」「定年後、40年も生きていけるのか?」と感じています。しかし、そんな中でも生きていかないといけないわけで。人生の選択肢の幅を広げるためにも、金融教育や投資は欠かせないことだと考えています。

――「株トラカップ」や「MIRAKIN」の活動は、金融教育や投資の活性化だけでなく、起業家の育成にもつながりそうですね。神田さんたちは、今後就活や起業をされるのですか?

神田氏:私は工学部なのですが、卒業後はメーカーに就職するのが一般的で、そのレールがなんとなくあると思います。しかし今は、SNSでいろいろな世界を知れるようになっています。起業に憧れる人は私の周りでも増えていて、私自身もAI農業をやりたいと思って工学部に入りました。株のトラの経験は、就活するにしても起業するにしても、今後の人生で活きてくると思います。

学生と社会を結び付けるプラットフォームに

――では最後に、「株のトラ」の今後について教えてください。

神田氏:今は「株トラカップ ~Season3~」に向けての準備を進めています。MIRAKINは、上場企業レポートを全国展開していき、テキストだけでなく動画版も展開していこうと鋭意動画編集中です。

学生が普段から見ている媒体でもっと発信していこうと、TikTokやYouTubeショートでの発信も検討しています。就活の前に、学生が企業を知るきっかけになればと思っています。

今は「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視している学生も多く、短い動画がよく見られます。広告は敬遠されますが、第三者の発信なら入ってくるので、学生と社会を結び付けるプラットフォームのような立ち位置になれたらと考えています。

――Season3にどんな人が参加するのかも楽しみですが、その後の反響や新たな展開がまたありそうですね。本日はありがとうございました。