「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回は、「『笑顔』『感動』が広がるNo.1ビジネスコミュニティ」というビジョンを掲げる、GMOコネクト株式会社の代表取締役社長兼CEO・安田暁史(やすだあきひと)氏にインタビューを行いました。
安田暁史氏
出会いが人生のターニングポイントに
――本日は、ありがとうございます。安田さんは、GMOコネクトというビジネスコミュニティ・ビジネスマッチング事業を展開されていますが、今回は「人とのつながりへの投資」をテーマにお話を伺えればと思います。
「人生100年時代」「VUCA時代」などと呼ばれるように、現代は先行きが長く、かつ不確実・不透明な要素が多い。それもあって、FIREブームのように経済的な自立を目指して若いうちから投資を始める人も増えていると思います。ただ、どんな時代でも普遍的なのは「究極は自己投資」であると個人的には思っていて、資格を取ったりスキルを磨くことも重要ですが、それ以上に「人とのつながりに時間やお金を投資すること」が重要だと感じています。人は、環境によって成長も衰退もする生き物ですし、人生って、たった一人との出会いで簡単に大きく変わることもあるので。安田さんも、そんな出会いを経験されていますよね?
安田氏:そうですね。僕の場合、一冊の本と一人の人との出会いが人生を変えました。
新卒の23歳の頃に出会ったのが、GMOグループの熊谷正寿代表の『20代で始める「夢設計図」-必ず“スピード成功”する5つの原則』でした。
この本を読んで感銘を受けて、一冊の手帳を書き始めたんです。その手帳で、24歳、25歳、26歳……と、年齢ごとの計画を立てていきました。そして、27歳で年収4000万円、28歳で年収6000万円、29歳で2億円と計画を立てて、どんどん達成することができたんです。25歳のときに個人事業主として起業し、27歳で会社を設立、広告事業をメインに一人社長として、どんどん売上を伸ばすことができました。
そして、30歳を迎える前に、ある人との運命の出会いを果たすことになります。それが、熊谷正寿代表です。2013年5月15日の0時36分のことでした。細かな経緯は今日は割愛しますが、初めて出会ったときに、いろいろな話をしました。「代表の本に書いてあった通りに手帳を書いていて、自分では最近は本にまとめているんですよね」と報告も直接することができました。そしたら、僕の実績も含めて気に入ってくださって、サインまでもらうことができたんです。
その後、代表とランチに行った際に「一緒に会社をつくろう」となったんです。そして、資本金500万円で一緒に会社をつくることになります。人生って、本当になにが起こるかわからないですよね。
それまでは、ほぼ一人+少数精鋭でやってきたわけなので、人との出会いによって、人生が本当に豊かになるんだと実感した瞬間でした。それも、尊敬している人と一緒に会社をつくることになったわけですから。
数々のビジネスコミュニティで感じた非効率さ
――まさかの出会いですよね。その後、すぐにGMOコネクトでされているビジネスコミュニティ事業の構想になったのですか?
安田氏:すぐにというわけではなかったですね。エンターテイメント事業を始めたんですが、2020年3月の新型コロナウィルス感染拡大のため緊急事態宣言が出されて、うまく波に乗ることができませんでした。でも、このことがきっかけで「自分が本当にやりたいことはなにか」をしっかりと振り返ったんです。
20代から事業を始めて、いろいろな夢を実現させてきました。手帳に書いたことはほとんど実現させてきたんです。でも、振り返ってみると「いろんな人との出会いのおかげで実現できたのだ」と思ったんです。それで、価値ある出会いをつくりたいという想いからGMOコネクトを発足しました。
今まで、たくさんのビジネスコミュニティや交流会に参加してきたのですが、ビジネスコミュニティの必要性や可能性と同時に、1つの課題も感じていました。それが、「非効率さ」です。
もっと効率的にしていくことで、お互いにとってより充実したビジネスコミュニティになると考えるようになりました。ただ効率化だけを求めて、成果に繋がらなかったら本末転倒です。そこで、効率化を図りながらも、参加者同士がより信頼を築いて成果に繋がる新しいビジネスコミュニティのビジネスモデルを運営するようになりました。僕たちはこれを「ビジネスコミュニティ2.0」と呼んでいます。
――他のビジネスコミュニティのどんな点が、「非効率」と安田さんは感じたのでしょうか?
安田氏:コロナウィルスが拡大する前は、居酒屋やホテルなどの会場を押さえて行うビジネス交流会がほとんどでした。会場を使用すれば、費用が発生します。また、会場に行くまでの往復の時間や交通費もかかってしまいます。
また、実際のビジネス交流会では名刺交換会が行われます。この名刺交換というのが非効率だと思うわけです。名刺交換をしても、相手の会社名や連絡先などはわかっても、事業内容をしっかりと理解することはできません。それに名刺交換だけでは、出身や趣味、価値観などパーソナルなことはなにもわからないままです。だから、失礼な話かもしれないのですが、後日名刺を見ても、どんな人だったのかを忘れてしまうことも多々ありました。
――確かに、一度に大勢の人と名刺交換するとわからなくなりますよね。よほど印象に残るインパクトがあれば別ですが。GMOコネクトさんのビジネスコミュニティは、どのような人が対象になるのでしょうか?
安田氏:2022年1月からサービスを開始していて、企業・個人事業主・フリーランス・ビジネスを営むすべての人が対象です。
僕は人との出会いによって人生が変わったことを実感してきましたし、これからもそうだと思います。人生100年なら、まだまだ先は長いわけです。これからもきっと、素敵な人たちとの出会いによって、成長意欲やモチベーションが生まれると思います。手帳に書いた目標や夢を実現してきて、モノやお金ではなく、「人」がなによりも財産なんだという自分なりの一つの答えに辿り着きました。そういう想いを、GMOコネクトには込めています。
――対象を限定するクローズドなコミュニティもありますが、GMOコネクトさんはオープンで良いですね。安田さんが多くの人との出会いによって人生を変えてきたからこそ、出会いをデザインできるわけですね。
GMOコネクトの特徴
――私も参加させていただきましたが、GMOコネクトには志やモチベーションの高い人が集まっていると感じました。どのような内容か、改めて教えてください。
安田氏:GMOコネクトでは、週1回は顔を合わせることができるコネクトミーティングを開催しています。このコネクトミーティングでは、30秒ほどで自己PRをしたり、仲間の自己PRを聞くことで、お互いの仕事の理解を深めていきます。
しかし、30秒の自己PRを聞いただけでは、仕事や商品・サービス内容の深いところまでは理解できません。そこで、1on1という1対1で話をする機会を積極的に推奨しています。1on1では、お互いの仕事の内容だけでなく、プライベートな内容の話をして、よりお互いを知っていただきます。実際に飲みに行くことになり、さらに仲を深めて、お仕事に繋がったというケースもありました。
――確かに、30秒話すと何人かから1on1を希望するメッセージが届いて、すぐに次のアポが決まります。ビジネスコミュニティや交流会って、その場だけ盛り上がって次につながらないことが多いと思うのですが、「次のアポが決まる」って大事ですよね。それに、「30秒でどう伝えるか」を考えるので、事前に準備しますし、自己PRも鍛えられる。何度も参加すれば、「次はこう工夫してみようか」と思考を凝らすので、そんな過程もある意味では自己投資になります。
安田氏:GMOコネクトは、「『笑顔』『感動』が広がるNo.1ビジネスコミュニティ」というビジョンを掲げていて、実際にコミュニティに関わるみんなに多くの『笑顔』が生まれています。参加した人から、「GMOコネクトのおかげで一生のビジネスパートナーができた」という声もいただけていて、この事業を始めて本当に良かったなと思います。
ただ、『感動』はこれからです。「経営者は孤独」とよく言われますが、コミュニティに参加することで仲間ができるし、他の人のプレゼンを見て学び、成長することもできます。自分の真価がわかり、新しい人脈もつくれます。そんな積み重ねで、やがて『感動』を体感してくださる参加者が増えていけばと思っています。
(後編に続きます)