「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは「投資という生き方」です。

  • 投資という生き方※写真はイメージ

お金を出すことだけが投資ではない

「投資」と聞くと、お金を投じて増やすこと(減ることもありますが)というイメージが強いかもしれません。しかし、なにもお金を出すことだけが投資ではないと私は思います。 お金以外にも、時間や労力、人とのつながり、知識・アイディア・ノウハウなど、投資先に出せるものは多々あります。

例えば私の場合、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を保有していますが、ここ数年は単にお金を投じているだけではなく、別稿『今からでも遅くない? 経験者が語る仮想通貨の現在とこれから』の連載やイギリス・アメリカ、日本で出版された書籍『The New Money: How and Why Cryptocurrency Has Taken over the World(邦題:THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える)』の監修などを通じて、仮想通貨の普及啓蒙を行っています。

これは、執筆や編集という時間と労力、知識、アイディア、ノウハウを投資しているとも言えます。

投資を始めるようになった20代半ばの頃から考えると、資産家や投資家、経営者の知人・友人が増えるにつれ、「会ってみたい」と声がかかることも増えてきました。

会いに行こうと行動するときの時間やコストも、ある意味では投資です。無駄足になることもありますが、それはそれで学びという価値があるわけです。

体験に投資していればお金は後から取り戻せる

よく、「投資」と「消費」と「浪費」という分け方をされますが、モノにお金を払う人はお金が増えないと感じます。芸術品やアンティークの場合、投資と消費と浪費がミックスされている気もしますが。

最近は「コト消費」とも呼ばれますが、体験にお金を払う人は投資的な生き方をしている人だと思います。体験に投資していれば、一時的に資産が目減りしたとしても、アイディア次第で後からいくらでも取り返すことができます。

例えば、私は27歳の頃にバリ島に住むという用事ができました。妻の希望もあって移住したのですが、この体験を通じて仮想通貨や海外不動産などの投資の世界に足を踏み入れることになったわけです。

妻から「バリ島に住んでみたい、あっちで働いてみたい」と言われた当時は、まだ新規事業の責任者をしていましたから「すぐには無理だな…」と思ったのですが、その約9カ月後には移住を決めていました。移住には当然それなりの費用がかかりましたが、お金は取り返せてもチャンスは取り返せません。

独立してすぐに海外移住するとは、今考えると少々無謀だったのかもしれませんが、後悔は1%もしていません。保険をかけるような生き方では、流れや勢いはわからないでしょう。

体験にも投資と消費がある

「体験に投資する」と言っても、何でもかんでも体験すれば良いというわけではありません。「人生で無駄なことは一切ない」と言い切れればカッコいいのですが、余計な学びがあるのも事実です。

私の場合、「みんなが肯定しないものが投資」で「みんなが楽しむものが消費」と考えています。投資という生き方や行動は自分で選べるわけですから、なるべくなら消費ではなく投資を選択したいですね。

仮想通貨に投資を始めた頃は「そんなものは詐欺に違いない」と言われましたし、バリ島で不動産投資を始めた頃も「そんなものはうまくいかない」と言われました。何でもかんでも否定したい人は、いつの時代、どの場所にもいるものです。

自分で学び、自分で決断して投資したのなら、投資先の可能性にかけても良いでしょう。当然、責任も自分で取らないといけませんが。投資の鉄則は「なくなってもしょうがないと思える範囲の資金ですること」です。

なにかを実現したいと思ったら、周りの雑音は気にしてはいけません。後から「やっぱり人の話はちゃんと聞くべきだなぁ」と思っても、それはそれで学びなのですから。