「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは、「Web3(暗号資産、NFT、ブロックチェーン技術、メタバース)の基礎知識と投資意義」。連載内シリーズとして、何回かに分けてご紹介します。

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Web3とはなにか

「Web3」という言葉をウェブメディアやSNS等で目にする機会が増えました。「web3」「Web3.0」などと表記されることもあり、読み方は「ウェブスリー」「ウェブさん」「ウェブサンテンゼロ」などです。Web3を知るためには、その前にWeb1とWeb2を知る必要があるでしょう。

Web1は、1990年代後半頃からの時代とされます。象徴的な商品は、Windows95でしょうか。PCが中小企業や個人に普及し始めた頃です。このWeb1時代は、「ユーザーはRead(読むだけ)。企業や事業者はCreate & Make Money(つくって稼ぐ)」という関係性です。

次のWeb2は、2000年代頃からの時代とされます。象徴的な企業は、アメリカのGAFAでしょうか。いわゆるSNSが生まれた頃で、フェイスブックやミクシィ、LINE、楽天などの今では身近なIT企業がたくさん誕生しました。このWeb2の時代は、「ユーザーはCreate(つくる)。プラットフォーマーはControl & Make Money(管理して稼ぐ)」という関係性です。

では、Web3はいつ頃からの時代なのでしょうか。一説では、2020年頃からの時代とされますが、ビットコインが誕生した2009年がWeb3元年であるという主張もあります。Web3の時代は、「ユーザーはCreate(つくる)だけでなく、Control & Make Money(管理して稼ぐ)」もします。つまり、ユーザーと企業・事業者・プラットフォーマーの境界がなくなるということです。

Web2の時代、GAFAをはじめとするいわゆる「テック・ジャイアンツ」は、捉え方によっては一つの国よりも大きな影響力を持つようになりました。SNSは、TVや新聞、ラジオのようなオールドメディアに対するアンチテーゼとして生まれた、あるいはアンチテーゼ的に機能した面があります。ところが、やがてSNSもオールドメディア化し、力を持つようになっていきました。そんなテック・ジャイアンツ≒Web2に対するアンチテーゼが、Web3誕生の背景にはあるとも言えるでしょう。

しかし、Web3の時代はまだ始まったばかりです。Web3が定義されるのは、Web4やWeb5の時代が来てからでしょう。今はさまざまな主張があり、Web3の定義がされていますが、どれが正しいということはありません。

Web3で変わるプロジェクトや団体、企業の応援方法

では、Web3の概念やテクノロジー、サービスが社会に広まることで、投資家やユーザーにはどのような変化があるのでしょうか。

ゲーム事業を例にすると、理解しやすいかもしれません。

Web3時代には、あらゆるものがトークン化されるようになります。トークンとは、「他の価値に交換できるもの」の総称です。広義では、円やドルなどの法定通貨、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産もトークンです。

ゲーム毎に独自トークンが発行され、管理はその独自トークンを保有する人たちのコミュニティに委ねられるようになります。

一方、ゲームを開発・提供するゲーム会社は、ゲームを開発する組織として、これまでどおり株主・取締役会によって管理されます。

個別のゲームに魅力を感じる人は、ゲームの独自トークンを買って応援(投資)すれば良いですし、ゲームを産み出す会社に魅力を感じる人は、ゲーム開発会社の株を買って応援(投資)すれば良いということです。もちろん、両方を買って応援(投資)しても良いでしょう。

銀行や信用金庫など、金融機関からの間接金融での資金調達を「デットファイナンス(借入融資)」と言い、投資家からの直接金融での資金調達を「エクイティファイナンス」と言いますが、最近はトークンによる資金調達「トークンファイナンス」を行なうWeb3企業も増えています。日本では金商法に触れるためトークンファイナンスは簡単には行うことができませんが、トークン上場と株式上場はやがて共存するようになるでしょう。

そして、トークンファイナンスによって資金調達を行うのは、企業とは限りません。プロジェクトのために集まったDAO(分散型組織)かもしれませんし、DAOですらないかもしれません。企業、会社という概念すら、Web3は揺さぶっているのです。