「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明さんが、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回は、「カビラ 30代会社員の投資で節約貯金術(cabira.money)」のアカウント名で、知って得するお金の話を発信しているインフルエンサーのカビラさんにインタビューを行いました。
カビラさんプロフィール
カビラ 30代会社員の投資で節約貯金術(cabira.money)
知って得するお金の話をインスタグラムで発信。投資歴8年目、ビットコイン保有歴5年目。ストーリーズでコアな投資の豆知識を紹介。趣味は暗号資産(クリプト)で遊ぶこと。
早い時期から注目していたSTEPN
――カビラさんは、Move to Earn(動いて稼ぐ)として知られるSTEPNにもいち早く注目されていましたが、どんな点がきらりと光って見えてたのでしょうか? 前編でお話したPlay to Earn(遊んで稼ぐ)やSTEPNのMove to Earn(動いて稼ぐ)の他にも、Sleep to Earn(寝て稼ぐ)やLearn to Earn(学んで稼ぐ)などありますが、なぜ注目したのかお聞きしてみたいです。
カビラさん:STEPNは、SolanaハッカソンであるIGNITIONゲーム部門で4位入賞していて、良いベンチャーキャピタルも出資していました。それで気になったのが始めてみたきっかけです。ハッカソンで第三者が判断してくれているというのは、判断材料の一つになります。
「×× to Earn」ですと、これまではゲーム(GameFi、NFTゲーム、ブロックチェーンゲーム)がメジャーでした。ですが、STEPN(Move to Earn)は生活の中にあります。「これは受け入れられやすい」と感じました。動く(歩く、走る)というのは、日常生活で欠かせないことですからゲームをするより、軽い感覚で始められます。日常生活とto Earnがすごくリンクすると感じました。どうせ日常生活で歩くわけですから、飽きがきません。これは流行るだろうと思いました。
――確かにそうですね。「ゲームで稼ぐ」というと、楽しく稼げそうではあるのですが、そもそもゲームが好きじゃないと始めにくいです。「稼げるなら楽しくなる」という面もありますが、稼ぐ行為となると、なんとなくお仕事感というかタスク感みたいなものがあって。「好きを仕事にするのが良いか悪いか」という議論と似た観点になってきますよね。
カビラさん:ゲームよりも日常とよりリンクするので、Move to Earnは今後も普及すると思います。歩くという作業の対価としてトークンを受け取るということなので、しっくりくる人もいるのではないでしょうか。そして自分が健康になるわけですからね。
――GameFiもそうですが、NFTの誕生によって暗号資産(クリプト)のユースケースは広がりましたよね。カビラさんは、インフルエンサーとして今後NFTはどんな風に広がっていくと思いますか?
カビラさん:海外では既に出てきていますが、コミュニティNFTなどの事例も増えていくと思います。例えば、GameFiなどの遊び方をレクチャーして一緒に遊ぶコミュニティギルドがあって、そのコミュニティギルドの会員権としてNFTを付与します。NFTを持っていると招待されるコミュニティです。そのコミュニティギルドNFTをセカンダリーマーケットで流通できるようにすれば、コミュニティの課金方法も変わります。
これまでは、オンラインサロンのようなコミュニティは月額課金制が一般的で、ユーザーは課金し続けるか課金を辞めて脱会するかしか選択肢がありませんでした。しかし、コミュニティギルドNFTとセカンダリーマーケットが普及すれば、そのコミュニティNFTを売却することもできます。コミュニティギルドなので、NFTに敢えてランクを付けることで、ランクの高いNFTホルダーしか借りることのできないNFTを準備したり、ランクの高いNFTを持っている人だけしか見ることのできないコミュニティの場を提供したりすることで、今後コミュニティギルド経済圏ができるかもしれませんね。
インフルエンサーマーケティングにもこの方法は応用できるので、インフルエンサーがNFTを活用して自分の経済圏を作っていくのは流行るのではないかと思っています。NFTクリエーターさんたちはNFT購入者を自分の作ったコミュニティDiscordへ招待したりとその流れは既に始まっていますね。
また、メタバースが普及すると、フォロワー体験がより重要になっていくと思います。オンラインサロンはチャットでのやり取りが多いですが、メタバースであればアバターなどを介して直接話すことができます。文字では伝わりにくいニュアンスも、直接話すことで伝わりやすくなり、フォロワーさんやファンの体験が変わります。
――それは面白いですね。一定期間で消滅する期間限定のNFTや、リアル会場限定配布NFT、メタバース会場限定配布NFT、ZOOM会場限定配布NFTなど、NFTを取得する場所によってNFT保有者への特典内容を変えていくこともできますし、「その瞬間、その場限り」という演出でフォロワー体験を変えていけそうですね。
メタバースやNFTで創るWeb3の未来
――カビラさんはほとんど毎日情報発信されていて素晴らしいなと思っているのですが、情報発信することでどんな未来を創れれば良いと感じますか?
カビラさん:僕が発信している情報を見て、投資や資産運用を若いうちから始める人が増えれば良いなと思っています。高校での投資・資産運用の授業がスタートしたり、Web3時代を見据えた環境整備に関する情報が政府から発信されたりと、方向性としては良い方に進んでいると感じています。
若い人たちが、今よりもワンランク上の生活を送れて、将来不安が解消されれば、もっと良い未来が来ると思います。スカラーシップであれば、NFTを持っているオーナーは損をすることがありますが、NFTを借りてゲームをして毎月の収入を得る分には損をしません。副業や複業として始めやすいのではないでしょうか。Move to Earnであれば、なおさら始めやすいですよね。
――高齢者の方が、健康寿命を延ばす目的でSTEPNを始めて、得た収入で孫にプレゼントを買うなんてこともあり得ますしね。
カビラさん:良いですね。あとは、日本にWeb3ビジネス特区などができれば良いですよね。Web3関連の起業家が海外に出ていってしまうのは国にとっても損失ですから。
NFTを担保に入れてイーサリアム(ETH)で融資を受けるNFTFiなどのサービスがありますが、NFTは部分利確できないのでNFTFiは普及すると感じています。今後NFTを担保にステーブルコインや、法定通貨を貸したい人と借りたい人がマッチングできるサービスが出てきて、新しい金融サービスを展開しやすい環境になると良いなと思います。
スカラーシップが普及して、暗号資産を触ったことがない層が参入してくるわけですから、やはり課題は税制ですよね。暗号資産に関する脱税や確定申告のニュースは毎年見かけます。確定申告をやったことのない人がいきなり暗号資産の申告をするのは難しいですよね。
いつか税務関係のページにウォレットコネクトボタンが出てきて、自動で税務申告や計算をしてくれるようになる未来がきてほしいなと思っています。難しいですけどね。でも不正も少なくなり、ウォレットに関する情報は全て紐づいてるので、透明性が上がり、税収が上がり、民度が上がり、生活の満足度も上がる。そんな未来がWeb3で来てくれることを願っています。