「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回のテーマは、「海外不動産に投資する前に知っておきたい、有益な情報が集まる場」。
海外不動産はまともな情報が少ない
「海外不動産に投資したい」「海外不動産を持ってみたい」と思ったとしても、まともな情報に辿り着くのは難しいでしょう。
ネット上で見つかる海外不動産情報は、ポジショントークされているものが多いからです。ランディングページやセミナーでは、
「人口ボーナス期の新興国の土地を買っておけば間違いない」 「タイムマシン経営(投資)で、昭和の日本のような新興国に今、投資しよう」 「新興国の不動産は、やがて銀座や青山の不動産のようになる」
そんな謳い文句がよく見られます。他の国を悪く印象付けるような表現をしたり、あるいは日本の財政破綻など将来的な危機を煽ったりしながら、海外不動産への投資を勧誘してきます。
海外の、特に新興国のまともな不動産情報が少ない理由には、取引実績のデータが少ないことも挙げられます。新興国の田舎まで足をのばせば、「村長がボロボロのノートに手書きで地主を書いて管理している」ような、デジタル化にはほど遠い環境や習慣が残っています。そのような環境にある国の不動産投資と、過去の取引実績がデータベース化され、情報がオープンになっている不動産投資を比べること自体がナンセンスです。
前述のように、財政破綻などの日本危機を煽って海外不動産投資に誘導するのはよくあるストーリーですが、海外不動産投資はあくまでもキャピタルゲインやインカムゲインを狙うものであって、資産保全にはならないと私は思います。資産保全したいのなら、今持っている資産よりも世界的に見て信用度の高いものや価値が安定したものでないと意味がありません。日本円で資産を持っているとすれば、ドルや世界都市の不動産に替えないと資産保全にはならないでしょう。
オンラインサロン「ASEAN不動産研究所」
海外不動産で資産保全をしたいのか、資産を増やしたいのか、デュアルライフの拠点やセカンドハウスとして不動産を持ちたいのか、などの目的によって国や物件の選択肢は変わってくるでしょう。
そんなとき相談したいのが、ポジショントークせずに自分に合った情報をくれる人や企業、コミュニティです。
『ASEAN不動産のプロに聞く、海外不動産投資の注意点と醍醐味』でインタビューさせていただいたエイリックの田中圭介氏はそんな一人でしょう。
田中氏は、株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)に入社し、2011年から同社のタイ子会社を立ち上げ、現地子会社の代表取締役社長を務めていました。その後、独立され、ASEAN不動産に関する相談やコンサルティング、企業の海外進出支援、個人投資家へのサポートなどの活動をされています。詳しくは、上記のインタビュー記事を読んでみてください。
そんな田中氏が主催しているのが、ASEAN不動産研究所というオンラインサロンです。会員同士の交流もあり、有益な情報を交換できる場ですので、一見の価値はあると思います。コロナが落ち着けば、現地視察なども実現するでしょう。
オンラインコミュニティ「海外不動産投資 アマチュア投資家の会」
オンラインで海外不動産に関する情報交換ができる場には、征矢野清志氏が主催する海外不動産投資 アマチュア投資家の会もあります。
海外不動産投資 アマチュア投資家の会は、「海外不動産投資しているなんて、職場や友人になかなか言えない」という人向けに、アマチュア投資家同士の自由な交流や意見交換をしているグループです。「不動産は実業である」と掲げ、成功体験も失敗談も、誰にしたら良いかわからない相談も、タブーなく自由に飛び交うのが特徴です。
“アマチュア投資家”とありますが、実際に海外不動産に投資しているメンバーが多いため、プロ以上にプロな情報や意見も飛び交っています。情報のやり取りを見ていて「全然アマチュアじゃない…」と感じることもよくあります。
YouTubeチャンネル「不動産の学校 プロパティアクセス」
最近は、オンラインサロンやコミュニティだけでなく、YouTubeでも有益な情報を得られるようになりました。
不動産の学校 プロパティアクセスは、不動産業の経営者やビジネスパーソン、大家さんをはじめ、国内・海外不動産の投資・売買を検討している方のためのYouTubeチャンネルです。
主催しているのは、プロパティアクセス創業者(Property Access株式会社代表取締役)の風戸裕樹氏。風戸氏は、不動産ファンド会社のクリード、ダヴィンチ・アドバイザーズでアセットマネジメントを担当し、不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立、米国型エージェント制度の「売却のミカタ」を開始し全国展開している方です。2014年にはソニー不動産にFCTを売却し、ソニー不動産執行役員売却コンサルティング事業部長兼コンサルティング事業部長として事業拡大。2016年にはシンガポールに移住し、東南アジア不動産を調査。2018年にProperty Access株式会社を設立されています。
「不動産取引の透明化と高い水準の不動産取引構築を通じ、多くの若者世代が不動産業を職業として選択したい世界を創ること」を個人ミッションとして掲げており、上記の田中氏や征矢野氏とも交流の深い方です。
近著には、『失敗しない海外不動産投資 富裕層がフィリピンに注目する理由』がありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
YouTubeチャンネルには、とても本には書けないような本音トークが公開されています。
世界70ヵ国をカバーする「国際不動産エージェント」
より具体的な案件情報を知りたいのであれば、国際不動産エージェントの鈴木学氏に相談するのも良いでしょう。鈴木氏は、6ヵ国語を操るアナリストで、ヨーロッパ、アジアなど広域の海外不動産に精通されています。あくまでも「投資家目線(顧客目線)」を貫いていますので、安心して相談できます。
鈴木氏は、アジア太平洋大家の会の会長も務めており、2002年にシドニーで不動産を購入して賃貸に出し、日本から遠隔で管理、成功を収めています。現在では日本、オーストラリア、アメリカ、カナダ、タイ、インドネシアの世界6ヵ国で不動産を所有し、投資・経営を実践するグローバルな大家さんです。
今回ご紹介した田中氏、征矢野氏、風戸氏、鈴木氏の4人は、みなさんポジショントークすることなくフラットなスタンスなのが素晴らしいところです。海外不動産のような大きなお金が動く世界に携わっていると、「不動産を目の前の人に売ること」が正義になってしまい、当初は素晴らしい理念や哲学を持っていても、いつの間にか正義が置き換わってしまうことがしばしばあります。
信頼できる人や会社であるかは、自分で足を使わないと判断できません。情報を鵜呑みにするのではなく、自分で考えて決断することが必要なのは海外不動産投資でも同様ですね。