「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回のテーマは「投資・資産運用する前に知っておきたい3つの投資分類」です。
投資の種類は大きく分けると3つある
投資には、大きく分けると「不動産投資」「金融商品」「事業投資」の3つの種類があります。
「不動産投資」とは、マンション投資やアパート投資、オフィスビル投資、更地投資(ランドバンキング)、海外不動産投資(マンション、アパート、コンドミニアム、更地、プレビルド等)などのことです。
「金融商品」とは、国債や投資信託、株式投資、FX(為替)投資、外貨預金などのことです。意外に感じるかもしれませんが、日本円の普通預金や定期預金も金融商品(投資)の一種です。最近では、仮想通貨(暗号資産)投資もここに含まれるのかもしれませんね。
「事業投資」とは、起業や新規事業の立ち上げ、M&A、事業譲渡、フランチャイズ加盟、出資、海外進出などのことです。
投資・資産構築の王道は不動産投資?
「不動産王」という言葉があるように、不動産投資は、資産家になるための王道とも言える資産構築方法でしょう。アメリカのドナルド・トランプ大統領も、不動産王と呼ばれています。
不動産投資の良い点は、銀行・金融機関からの融資を受けやすいことです。自己資金が少なくても、不動産投資を始められることがあります。しかし、スルガ銀行によるシェアハウスへの不正融資問題などを巡る"スルガ・ショック"や、レオパレス21による違法建築問題などがあり、不動産投資に対する融資のハードルは上がっているかもしれません。
また、ブームになっているということは、好条件の物件にはすでに投資希望者たちの行列ができてしまっているということです。不動産会社との付き合いがない限り、良質な物件を購入することは難しいのかもしれません。普段から不動産会社との信頼関係を築いておくことも重要ですね。
すでに日本は人口減少社会ですから、需要と供給のバランスから見ても、良い立地・良い質の物件でなければ、不動産は資産ではなく負債になってしまうかもしれません。
不動産投資は局地投資とも言えますので、物件選びは容易ではありません。しかしそれでも、不動産投資が資産家になるための王道であることには変わりないでしょう。株式投資や事業と違って、紙切れや資産価値ゼロになるリスクは低いですからね。
流動性・換金性が高いのは金融商品?
金融商品の良い点は、流動性・換金性が高いことです。つまり、「現金にしたいと思ったら現金化しやすい」ということですね。何気なくしている普通預金も、実は投資の1つ。ATMや銀行・金融機関に行けば、大金でない限りすぐにお金を下ろせますよね。
預金には、外貨建ての預金や海外の銀行口座への預金も含まれます。日本ですと、「銀行にお金を預けても増えない」という印象ですが、海外では必ずしもそうではありません。年5%ほどの利息が付く国もありますし、日本の郵貯もかつては数%の利息が付く時代がありました。
「じゃあ、金利の良い海外で口座をつくれば良いのか!」と思うかもしれませんが、外国人が観光ビザで口座開設することを公に認めている国はほとんどありません。就労ビザなどのビザが必要な場合がほとんど。ときどき「海外口座開設ツアー」などを募っている人や企業もありますが、こういった営業行為は場合によっては金商法などに触れる違法行為ですので注意が必要です。
株式投資やFX(為替)投資、仮想通貨(暗号資産)投資も、流動性・換金性が高い投資です。不動産や事業は、売りたいと思ってもすぐに現金化できるわけではありません。そういう意味では、金融商品は取り組みやすい投資先かもしれませんね。
実は事業も投資です
わかりにくいかもしれませんが、起業も投資の1つです。なかでも最近は、M&Aや事業譲渡がベンチャー企業・中小企業の間でも盛んになっています。ゼロから新しい事業を立ち上げるよりも、すでに軌道に乗っている会社や事業を譲り受けた方が効率的、というわけですね。
また、「ノウハウを買う」という意味では、フランチャイズ加盟による起業・新規事業の立ち上げも効率的です。しかし、加盟店から搾取することばかり考えているフランチャイズ本部も存在しますから、事業選びや本部選びには注意が必要でしょう。
自分に合った投資スタイルを探す
不動産投資、金融商品、事業投資と、さまざまな投資スタイルがありますが、それぞれ自分の性格に合うかどうか考えてみると良いと思います。
不動産投資で財を成した人は「不動産投資が最も優れている」と言いますし、金融商品で財を成した人は「金融商品が最も優れている」と言いますし、事業投資で財を成した人は「事業投資が最も優れている」と言うはずです。
自分に合う投資の種類、方法かどうかを見極めることが、幸せな投資ができ、投資で幸せになれるかどうかの分かれ道でしょう。
ちなみに私の場合は、
「世界観を含めて投資先が好きかどうか(親しい友人に話せるくらい)」
「長期保有(長い視野で考えて価値上昇するか)」
「投資したことを忘れる(値動きに一喜一憂しない)」
「流動性・換金性(必要になったらすぐに現金化できるか)」
「貢献性(世界や社会、地域に良いインパクトを与えるか)」
を重視しています。そのため、仮想通貨(暗号資産)が私の投資スタイルと相性が良いようです。もちろん、相性は人それぞれですね。
執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。