「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回は、「1000年継栄」を経営理念に掲げ、サステイナブルソリューション事業を展開する総合保険代理店・R&C株式会社 代表取締役の足立哲真氏にお話を伺いました。
学生インターンから保険業界へ
――本日は、ありがとうございます。足立さんの会社は、今年で設立15周年を迎えたとか。おめでとうございます。
ありがとうございます。今年で設立15周年を迎え、全国22拠点、社員数157名の組織になりました。お客様、パートナー、そして何より大切な社員とそのご家族の支えのお陰で今があります。
弊社の経営理念は、「1000年継栄」。1000年継ないで栄えるという言葉を掲げています。壮大で言葉負けするところもありますが、そこを愚直に見据えています。1000年という長いスパンで見ると、まだ生まれたばかりの赤子です。理想としている形にはほど遠いですから、これからも真摯に愚直に邁進していきたいと思っています。
――足立さんの謙虚な姿勢が素晴らしいですね。保険業界にはずっといらっしゃるのですよね?
そうですね。インターンの頃からですから、社会人になる前からこの業界にいます。でも、実は保険業界に入ろうとは思っていませんでした。
経営コンサルタント志望だったのですが、入社3年目の先輩に話を聞く機会があり、コンサルファームや大手商社、銀行などの方の話を聞いて愕然としてしまって。話してくださった先輩方は、その企業でもエース級のはずなのですけど、私は魅かれなかった。当時はベンチャー企業が全盛で、むしろそちらの方に魅かれました。
そんな学生時代に、株式会社インフォランスという財務や経営支援をするコンサルティング会社と出会いました。個別相談をして、気づいたらインターンが決まっていて(笑)。
――インターンで入って、その後新卒で入社もしたのですよね。学んだことは多かったですか?
はい。インターンで約1年、その後は新卒入社で2年ほど在籍しました。インターンで入ってすぐに「考えて企画して」と言われて、特に具体的な指示があるわけでもなく、座学やOJTもありませんでした。
ですから、「どうやって数字をあげるか」をあの手この手で考えて、税理士紹介やベンチャー企業への就職斡旋、交流会の開催など、見込み客開拓になりそうなことは何でもやりました。ベンチャー企業への就職斡旋に取り組んだのは、「利益が出ていないと採用しないだろう」という仮説のもとです。
――なるほど、足立さんは仮説立てや実行力が素晴らしく優れているのでしょうね。インフォランスを退職してからは何を始めたのですか?
フィックスジャパンという保険代理店で働きました。他に、ウェブ制作会社を3人で設立して、ブランディング支援なども行っていました。26歳で今の会社に入社し、2012年から現職です。創業者は別にいるのですが、ビジョンが重なったので合流した形ですね。
サステイナブルソリューション事業を展開
――足立さんが想う「理想形」は、どのようなものですか?
ファミリーオフィスが私にとって理想形です。「その人に相談すれば、何でも解決する」というサービスをお客様にご提供したいと考えています。
法人のお客様にしても個人のお客様にしても、ご相談内容は多岐に亘ります。ですが、すべての領域のプロフェッショナルにはなれません。多岐に亘る相談事に対応するためには、士業や専門家とチームを組み、解決に向けて取り組む必要があるわけです。
――ハブやブリッジのような役割になって、課題解決や成功に伴走する人が必要ですよね。
そのとおりです。潜在ニーズや欲求、想いを顕在化させられるかもポイントだと思います。「そうそう、そういうこと」という会話をお客様とできれば、とても良いですよね。
お金や税金のことだけではなく、お子さんやお孫さんの教育、留学、結婚、事業承継、相続、会社の売上アップ、人材採用など、幅広いご相談であっても「困ったらこの人に聞けば解決してくれる」という関係性を、一代で終わらず世代を超えて代々続けていくことが理想ですね。
――足立さんの会社は、リスクファイナンスにもとても明るいですよね。コロナの影響もあり、中小企業経営者の方々の関心も高まっていると思います。
そうですね。やはり、日本だけにお金を置くということはリスクだと感じます。海外にも資産を分散して、リスクヘッジする必要があります。「資産をどう残すか」「来るときに攻められるように資産を温存する」ことが重要です。
――「資産家は不況時に生まれる」と言いますから、仰るとおり来るときに攻められるように温存することは極めて重要ですね。
誠実さと経験が武器になる
――足立さんは、どのような人が保険業界に向いていると思いますか?
誠実で素直な人ですね。採用のときも判断ポイントになります。実績や経歴には人となりも表れますから、「何をしてきた人なのか」も重要なポイントです。他には、仲間からの評価も判断ポイントになりますね。例えば、「敵が多い」としても、それは「尖っている」とポジティブに捉えることもできます。
――なるほど、確かに過去や実績から人となりもわかってきますね。「どんなことを考えて、どんな行動を取る人なのか」は、一緒に仕事をするうえで重要ですからね。足立さんは、ご自身が今20代だったら、どんなことを学びますか?
金融とITですね。今で言えば、フィンテック領域です。金融とITの両方に詳しいと、今後も幅広い活躍機会があると思います。弊社は、自社で商品をつくれる強みがありますので、フィンテックで新たなマーケットをつくっていけると考えています。改ざんが困難でトラストレスなブロックチェーンと保険は相性が良いです。
――そうですね。保険料の支払いや保険金の一部の支払いを仮想通貨で行うことも今後はできるようになると思います。最後に、今後のビジョンについて教えてください。
当面は、保険領域で事業ドメインを深掘りしていく計画です。保険商品を「売る」保険代理店事業から弊社はスタートしていますが、保険商品を「つくる」ことで、お客様のニーズに今以上にお応えできると思います。拠点も、日本だけではなく海外でも展開していきます。
また、マネーリテラシーを底上げしていきたいので教育にも力を注いでいこうと考えているところです。サステイナブルソリューション事業で、世代を超えて代々頼られる存在になるには、教養と品性を身につける必要があると思います。
――教養と品性、とても大切ですね。足立さんの今後のご活躍が楽しみです。