「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは、今回のテーマは、「ビットコインと暗号資産の周期性」です。

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ビットコインの最高値更新とアメリカ大統領選の影響

2024年からビットコイン・暗号資産市場が再び活況を呈し、ビットコインが最高値を更新する中、アメリカ大統領選がその動向に新たな影響を与えてきました。トランプ氏は政府準備金としてビットコインの採用を公言し、SECのゲンスラー氏に対して解任宣言をするなど、ビットコインや暗号資産に対してポジティブなトークを展開していました。

そのため選挙中は、「トランプ氏の当選こそがビットコイン・暗号資産市場を盛り上げる」というムードが漂っていましたが、ハリス氏も「アンチ・ビットコイン」だったわけではありません。アメリカ大統領選の選挙戦略の中で、もはや暗号資産ホルダーの存在は無視できない規模になっています。イーサリアムの現物ETFの承認の早さは、選挙戦略の一環だったと見る声もあり、暗号資産が政治的にも重要な位置を占め始めていることは明白です。そのため、トランプ氏の後にだれが大統領になったとしても、この大きな流れは変わらないでしょう。

余談ですが、アメリカによる政府準備金としてのビットコインの採用はビットコインに対してポジティブなことですが、SECの「暗号資産が有価証券に該当するか問題」はビットコイン以外の暗号資産に対してポジティブなことというだけで、ビットコインにはあまり関係がありません。それほど、「ビットコイン」と「それ以外」は異なるものになっています。

ビットコインの無意味な価格予測は、もうやめよう

「ビットコインの価格予測に意味はない」と、4年に一度のブームが来るたびに感じています。価格予測発言のほとんどが、アテンションシーカー的(目立ちたがり屋)だからです。

例えば、「アメリカの上場企業の株価に上限はある」のでしょうか?「妥当な株価」はあるでしょうし、「今現在の株価」は確かにありますが、上限などないはずです。それと同じように、ビットコインの価格に上限はなく「青天井」です。

さまざまな人がさまざまな立場で未来の価格予測をしていますが、重要なのは「お金が擦り続けられ、そのお金が余るかどうか」です。中央銀行が今後も金融緩和政策を続け、通貨供給量が増え続けるなら、ビットコインの希少性がさらに注目され、価値の上昇が見込まれます。

人口ボーナスによる好景気であれ、政策による好景気であれ、世界のどこかに景気の良い国は常にあるものです。「国」という単位でなくても、地域や個社、個人であれば、どこかのだれかが常に好景気です。そんなカネ余り状態が生じていれば、儲かるどこかにお金が向かっていきます。いくら価値観が多様化すると言っても、人間に欲望がある限り、大きなお金の流れは変わらないでしょう。そのため、ビットコイン半減期後のビットコイン価格への影響が少なくなったとしても、人間に「儲けたい」という欲がある限り、ビットコインの価格は上がり続けると思います。

一方で、時価総額ランキングのトップ100銘柄ですら、ビットコインの半減期毎に大幅な入れ替わりが見られるように、暗号資産市場全体のリスクも忘れてはいけません。ブーム後に価格が下がっても長期的に価格が戻るのは、ビットコインや、せいぜいイーサリアムくらいです。下落してそのまま、という銘柄も珍しくありません。

一時はビットコインとともに「2大仮想通貨」のポジションだったリップル(XRP)でさえ、長年低迷していました。今現在の「2大暗号資産」は、ビットコインとイーサリアムなのだと思いますが、ナンバー2ですら入れ替わる世界です。下がっても戻って来る銘柄に焦点を当て、ドルコスト平均法で買い続ける戦略が長期的な成功の鍵となるでしょう。

周期性と市場のリズム

ビットコイン・暗号資産市場には、周期的な法則性があります。その中心にあるのが約4年毎に訪れるビットコインの半減期です。なぜかオリンピックイヤーと重なります。2024年4月には半減期に到達し、その約550日後に価格のピークが予想されています。この周期は過去の半減期2012年、2016年、2020年。それぞれの約550日後の2013年、2017年、2021年のピークと一致しており、2025年に向けた新たな高値更新の期待が高まります。

また、この周期性の中で注目されるのが「ビットコインターン」と「アルトコインターン」です。半減期直後にはビットコインが市場の主役となる「ビットコインターン」が訪れ、続いて特定のアルトコインがブームを巻き起こす「アルトコインターン」が始まります。最近は、メジャーなアルトコインの価格がまず上がり、その後に少し遅れてマイナーなアルトコインの価格が上がる傾向があります。

2017年にはICOブームがあり、2021年にはNFTやメタバース銘柄ブームがその役割を果たしました。2025年にはレイヤー2銘柄やミームコイン銘柄が注目されると予想されており、この流れを注視しておくと良いかもしれません。ただし、ブーム系の銘柄はそのほとんどが暴落後そのままの状態ですから注意が必要です。

クリプトの冬とその過ごし方

ビットコイン・暗号資産市場の成長には、避けられない冬の季節も存在します。約4年周期の中で、約1年半のお祭り状態(ブーム状態)の後に訪れる約2年半の低迷期は「クリプトの冬」と呼ばれます。真夏と真冬しかないのが、今のビットコイン・暗号資産市場です。真冬に入る前には大規模な事件が起こることが多く、過去にはマウントゴックス事件(2014年)、コインチェック事件(2018年)、FTX事件(2022年)が市場に影響を与えました。

2022年から始まった冬の季節が2024年に終わったとすれば、新たな成長期は目前です。この冬を乗り越えるためには、市場の騒ぎに動じず、長期的な視点での投資戦略を維持することが重要です。つまり、ドルコスト平均法で買い続けるということです。市場の周期性を理解し、価格下落時にも資産を買い増し続ける忍耐力が欠かせません。

暗号資産は特に値動きの激しい資産です。そのため、「メンタルが9割」と言っても良いでしょう。頭でわかっていても、いざ値動きを目にすると耐え切れずに売却してしまう人がほとんどです。ドルコスト平均法であれば、「上がって良し、下がって良し」の状態をつくることができます。上がれば上がったで嬉しいわけですが、買い続けていれば、下がったときも「安く買えた」と思えます。