4月になって新生活が始まった読者の方も多いと思う。街も、心なしか活気づいているように感じられる。学校を出て初めて社会人になった方たちもたくさんいるはずだ。きっと今は、研修などでこれから働く組織の中のICTの作法を身につけているところだろう。

音声通話の機会が激減、主流はメールやSNS

個人的にはもう、何十年もの間、ICTによるコミュニケーションで日常の生活を成立させてきたし、その本流はなんといってもメールだった。ただ、ここのところ、ちょっとした連絡は、メール以外で受け取ることが多くなっている。たとえばそれはFacebookメッセンジャーだったり、Skypeだったり、TwitterのDMだったりする。あるいはLINEのトークもある。また、最近は、携帯電話のSMSを使って連絡をもらうケースもある。少なくとも電話での音声通話による連絡が激減しているというのは確かだ。

携行しているスマホには、これらのメッセージをいつでも受信できるように、すべてのデバイスにアプリをインストールして待ち受け状態にしてある。だから、ほぼ見落とすということはないのだが、電話の着信、SMSについては見落とすことが多い。というのも、常時数台のスマホを携行しているので、必ずしも、特定の電話番号に紐付いたスマホを手にするとは限らないからだ。電話やSMSは特定の電話番号に対して着信するし、その電話番号を持つスマホは一台だけだ。だが、必ずそのスマホを手にするとは限らない。

筆者が普段携行しているスマホ群

数台のデバイスを持ち歩いているケースはまれかもしれないが、人によってはプライベートと仕事のスマホを使い分けているかもしれない。あるいは、席でパソコンに向かって仕事に集中しているときには、スマホをサイレントモードにしているような場合もある。

特定のデバイスに対する通信を他のデバイスにも通知するユーティリティはいろいろあって、個人的にも愛用しているが、それでも見落とすことはある。

SNSはデバイス全てに通知が届く

その一方で、SNSのメッセージはアカウントに対して配信されるので、そのアカウントでログインしているデバイスすべてにメッセージがほぼ同時に届く。例外は、電話番号に紐付いてアプリが成立するLINEくらいのものだ。だから、LINEは基本的に一台のスマホにしか入れることができず、届いたメッセージを見るのはずっと時間がたってからということが多くなってしまう。そういう意味でLINEは電話番号への連絡と同義なのだ。

こうした事情もあるのだろう。仕事で知り合った相手にFacebookで友だちになってほしいと言われることが増えた。継続的になんらかの連絡を取り合う場合、企業内でよく使われているSkype for businessといったコミュニケーションツールよりも、社外であっても確実に連絡がとれるという点では、遊びと仕事の間のグレーなユーティリティの方が便利なケースが多いからなのだろう。

あの人と確実に連絡をとるには、どの手段が最適なのか

かつて電話番号は固定された場所にかかってくるものだったが、携帯電話の普及で個人に紐付けられるようになった。そしてそれは今、なんらかのコミュニケーションツールに代替するようになってきている。

パソコン通信サービスが始まった30年ほど前、いくつものサービスに加入しているユーザーは名刺にズラリと各サービスのメールアドレスを併記していた。だから、毎日の朝は、各サービスのアドレスの新着メールを順にチェックすることから始まった。人にアドレスを伝えた限りは、そこへの着信をきちんとチェックするのが礼儀だからだ。

フレッシュマン諸君に覚えておいてほしいのは、もっとも確実な連絡手段は電話番号ではなくなりつつあるということ、さらに、電話番号に紐付く連絡手段は読まれるのが遅れる可能性があるということだ。

世の中には電話には応答しないが、SNSのメッセージにはすぐに反応するという人種も増えてきた。会議中などや電車での移動中で電話に出られなくても、SNSにサッと応答するのはカンタンだからだ。

あの人と確実に連絡をとるには、どの手段が最適なのか。そこの見極めは、今後の社会生活の中できわめて大事なことになっていくはずだ。相手に自分の連絡手段を伝えるときも、それを確実に自分がキャッチアップする覚悟が必要だ。読まない手段は伝えず、伝えた手段は確実にフォローする。その原則は死守してほしい。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)