パナソニックから頑丈設計のAndroidスマホ、TOUGHPAD「FZ-N1」の指紋認証センサー搭載フラットモデルが発表された。
4.7型スクリーンのスマホだが、1.8メートルからの落下試験2000回の連続落下に耐え、IP66、IP68の防塵、防滴、防水対応、そしてMIL規格の耐振動性を備えたスマートフォンだ。au版とドコモ版が用意されているが、SIMロックを解除することで、どちらのキャリアのSIMでもVoLTE通話ができるという。LTEの対応バンドはB1、3、5、19、21、26となっている。
完全な業務用で、パナソニックのマーケティングもパーソナルユースはほとんど考えていない。充電用の連結クレードル、4連式充電器やその有線LAN対応、単体のバッテリーパックやパック専用充電器などの豊富なオプションは、完全に、集中管理される業務機器のそれだ。
堅牢スマホが欲しい人、欲しい場所
そもそも、パナソニックにとっては、これまであったバーコードリーダー搭載のモデルに加えて、一般的なスマホとして使うモデルがほしいという企業でのニーズがあることさえ驚きで、今回は、その要望に応えての商品化だそうだ。
だが、ちょっと発想を変えれば、この製品がウルトラパーソナルな頑丈スマホとして訴求できることは想像に難くない。個人的にはこの堅牢性が255gに収まっていることに驚きを感じる。こうしたスマホがほしいのは「働くおじさんたち」だけではないはずだ。
特にアウトドアスポーツの現場で、こうしたスマホがほしいというニーズはたくさんあるだろう。
手袋をしたままでも、また、水に濡れたままでも操作ができるタッチスクリーンに、マイナス10度でも実用に問題が無いタフネスは、真冬のゲレンデでスキーやスノボなどのスポーツを楽しむカジュアルユーザーはもちろん、その屋外で丸一日教えるインストラクターなどにも重宝するだろう。
季節が変われば、炎天下のビーチでの利用もまるで問題がない。ヨットや釣りといったマリンスポーツでも活きてくる。もちろんトレッキングや登山などでも活躍が期待できる。こうしたニーズはきっとある。
今のところはニッチかもしれないが、売れているスマホが話題になるのではなく、話題のスマホにしなければ売れない。パナソニック的には個人ユーザーを相手にするよりは、B2Bで企業相手に営業攻勢をかけたほうが効率のいいビジネスができると考えているのだろうが、ワークスタイルの変化などもトレンドで、だんだん働き方が変わりつつある今、企業内個人はもちろん、スマートフォンの多様化を求めるニーズに応えることも考えてよさそうだ。
無比のタフさをどう訴求する?
どのベンダーが作っても、板状の四隅のRが違うくらいで、あとは薄さ軽さを追求するくらいしかハードウェア的に差別化の余地がなくなってきているスマホの世界だが、まだまだできることはある。その存在をうまくアピールすることさえできれば、リテール市場にデビューさせて、ヒット商品にすることができるのではないか。
まずは、アウトドア用品店や海、山のリゾート、そこまでいかなくても、各スポーツの連盟や教師団体といったところへの営業から始めてはどうかと思う。ダサいはずの業務機が、お洒落なアウトドアグッズとしてエンドユーザーの目に映っていることを実感できるかもしれない。
ちなみにパナソニックは、直近では2017年1月13日~長野県白馬エリアで開催される「Freeride Hakuba」に協賛することが決まっているそうだ。白馬村は、これに併せてマスターカードや八十二ディーシーカード、三菱UFJニコスと共同で、来訪する観光客向けにキャッシュレス決済の環境整備を推進するような動きもある。
同機が本来はサポートしていないFeliCa決済も視野に入れた特別モデルなどが出てくればおもしろそうだ。もっとも内部ストレージ16GBというのは個人用としてはちょっと心細い。多少の仕様の見直しは必要だ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)