Windows 10 Anniversary Updateのリリース日、8月2日が迫っている。前回のメジャーアップデートは2015年の11月だったので、約半年ぶりの刷新だ。この半年間に、Insider Previewとして数多のビルドがリリースされてきたが、この一か月はとにかく頻繁にアップデートがくりかえされ、追い込み作業が佳境に入っていることが実感できる。

タッチは必要ない、という風潮

ここのところ、PCベンダー数社と話をする機会があったが、どのベンダーも口を揃えていうのは、タッチスクリーンつきの製品が売れていないということだった。これだけスマホが定着し、スクリーンはタッチするものという意識が浸透していても、PCについてはタッチは必要ないという傾向があるようだ。

これは裏を返せば、PCがものすごく保守的なデバイスとしてとらえられていることがわかる。逆にいうと、快適で高速なキーボード入力が必須の情報生産デバイスであるという、ここ数十年のトレンドがそのまま生きているということだ。だからこそ、しっかりとした入力しやすいキーボードは必須で、そこをおろそかにしたものは受け入れられないということでもあるし、さらにはスクリーンにタッチができない代わりに、より使いやすいタッチパッドが求められる。モバイルデバイスとして考えたときに、タッチ非対応ならより軽量化がかなうし、多くのユーザーはそれを優先するということか。

特に、Windowsは、Windows 8でタッチに傾倒していった経緯があるが、Windows 10で多少の路線変更があり、あまり強くタッチには依存しなくなった。いわば、Windows 7への回帰現象といってもいい。今なお、膨大な数のユーザーがしがみついているWindows 7の世界観を、違和感のないように維持しながら、最新のプラットフォームとして提供するのが、今回のWindows 10 Anniversary Updateだといってもいいだろう。

東京オリンピックまでに移行は進むか

タッチが求められていないというのは、Windows 7にダウングレードして使うユーザーが半端なく多いということもである。極端な言い方をすれば、仕事に使うにはタッチは不要ということか。Microsoftとしても、この状況を放置するはずもなく、タッチ対応でも、非対応でも使いやすいWindowsにすることに努めている。そうしなければ、いつまでたってもWindows 7からの移行が起こらず、かつてのXPの二の舞になりかねない。

2020年になればWindows 7のサポート期間は終了する。東京オリンピックのあちこちでサポート切れのWindows 7が使われているというのはシャレにならないわけで、そのときになって、サポート延長に踏み切らなかったMicrosoftを責めるのは酷というものだろう。オリンピックの準備は、ぜひ、Windows 10 Anniversary Updateで進めていただきたく、関係者にお願いしたいところだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)