Googleによれば、Androidのうち、もっともシェアが高いのはLollipopの2番目のバージョン5.1で20.0%、5.0の15.4%と合わせれば35.4%となる(6月6日までの1週間の調査)。4.4 KitKatがそれに続く31.6%で、まだまだ根強く残っていることがわかる。現時点で最新のAndroidは6.0 Marshmallowで、こちらはまだ10.1%だ。
一方、先日開催されたGoogle I/Oにおいては、コードネームAndroid Nがベータステータスとなり、いよいよ、リリースに向けての追い込みに入ろうとしている。
Android Nは秋にリリースの予定で、そのお菓子の名前の募集も実施されている。ベータが出るまでは、とても実用に使える状態ではなかったが、登場したベータは実際に使ってみても、それほど大きな不具合があるようには感じられない。かろうじて、手元で使っているアプリケーションではAmazon Photosがエラーを起こして落ちてしまうくらいだが、バックグラウンドでのアップロードはうまく機能しているようなので、目をつぶることはできる。
独自のシェル作法、使いにくい時もある
手元では、Android 5.1、6.0、N、個々の環境を揃えているが、普通の使い方をしている分にはそれほど大きな違いを感じない。アプリのUIが5.0以降でマテリアルデザインに統一されつつあり、その見かけの統一感があるからだ。もちろん、OSそのものは着実に進化し、特に、バッテリの節約のための機能などは飛躍的な進化を遂げている。
となると、ここにきて気になってしまうのは、スマートフォンメーカーが独自にインプリメントしているシェルのふるまいだ。たとえばNexusシリーズはGoogle Nowランチャー、GalaxyシリーズはTouchWiz、Huawei機はEMUIと微妙にそのシェル作法が異なる。その他のベンダーも、それぞれ独自のシェルを実装し、あるいはキャリアも独自のシェルを用意している。これによって、名目的にはユーザーの利用体験の質向上に貢献しているわけだ。
ただ、個人的にはその微妙な違いが気になってしまうので、Android端末を使う際には、各社のシェルをGoogle Nowランチャーにすげ替えてしまっている。端末を持ち替えるたびに異なるシェルを使うのは、ちょっととまどってしまうからだ。それによって使えなくなってしまう機能もあるが、これには目をつぶるしかない。
シェルの統一で「バージョンの断片化」を緩和できないか
Googleは、Androidがみんな違うから楽しいことをアピールしている。最近でこそSIMフリー端末が各社から発売され、量販店やアマゾンなどのショッピングサイトで、端末単体で入手できるようになっているが、まだまだ、端末の多くがキャリア経由で発売され、Androidのバージョンの断片化を招いている。きっと最新のNが一般的になるのは、来年の春頃なのではないだろうか。各端末でせめてシェルを統一する動きがあれば、こうした断片化による影響をを多少なりとも抑制することができるのではないだろうか。
これからは高齢化社会。そして日本人の半分が今なおガラケーを使っている。iPhoneがスマホの半分を占有しているのは、よくわかっていないユーザーにとって、隣のあの人も同じだから安心という理由も大きいのではないか。
そういう意味ではAndroidも、そろそろ共同戦線を張ってもよいころだ。せっかく、マテリアルデザインによってOSのバージョンにかかわらず、アプリのルック&フィールに統一感を出すことに成功しているのだから、シェルも同じようにして、OSの断片化を隠蔽することを考えるべきではないか。根本的な解決にはならないかもしれないが、それを望むユーザーは少なくないと思う。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)