ここのところ、Windows 10 Insider Previewの更新頻度が高い。
Windows 10は、セキュリティパッチや不具合修正に加えて、新機能の追加などが随時行われているが、それがWindows Updateですべてのユーザーにいやおうなく適用されるわけではない。
更新頻度は一般的なユーザーのものに加えて、Insiderとして登録することで、ファーストとスローを指定して更新を受けることができる。今、一般的なユーザーは昨年の11月にあったアップデートが適用された状態で、ビルド番号は10586となっているはずだ。だが、ファーストのInsiderは、すでに14332を受け取っている。その直前のビルドは14328だったが、たった4日間で新しいビルドが公開された。
更新タイミングのことをリングと呼んでいるが、複数のリングを用意し、段階的に更新を提供することで、新しい機能をいちはやく知りたいユーザーは、リスクを覚悟でファーストリングとして早期の更新を入手できるし、多少は配布が遅くなっても安定した更新を受け取りたいユーザーは、スローリングとしてファーストリングのユーザーの中で大きな問題が起こらない場合に限って更新するといった方法をとることができる。
Windows 10の大規模アップデートが今夏登場
Microsoftはこの夏にWindows 10の大規模更新として、数多くの新機能を追加したAniverssary Updateを提供する予定だが、それに向けて最後の追い込みに入っているようだということが、ここのところの頻繁な更新でみてとれる。
モバイルOSでは、Androidについては端末メーカーではなく、携帯電話事業者の都合でOSの更新タイミングが決まることが多い。今、Androidは次期バージョンの「N」が開発者向けプレビューの段階で、この秋のリリースに向けてテストが続いている。その一方で、一般的なスマートフォンは、昨秋にリリースされたMarshmallowこと6.0にバージョンアップされるものが出てきている。次に出る「N」は、7.0に相当するバージョンだ。それが現役のスマートフォンに適用されるのは、来年の今頃だろうか。
一方、iOSについては、携帯電話事業者の都合というよりも、アップルの都合で、ほぼいっせいにソフトウェア更新が行われる。ハードウェアとソフトウェアの両方を提供するベンダならではの更新戦略だ。Androidのように、OSは同じでも、ハードウェアを作る会社がたくさんある場合は、なかなかこうはいかない。
まだ見ぬ未来のOSのために
これまでのWindowsは、OSの約3年おきにリリースされてきたメジャーバージョンアップに必ず費用が求められた。でも、Windows 10は違う。ずっとWindows 10のままであり続ける。そして機能追加を含めて当面はアップデートが無償で提供されることになっている。それどころか、Windows 7以降のユーザーは、無償でWindows 10に更新することができる。
太っ腹なように見えるが、実際には、Windowsの複数のバージョンが世の中で使われることを少しでも抑制するための施策だといってもいい。理想はWindows 7以降のユーザーが、全員Windows 10に移行することだ。これは、特定バージョンのWindowsがサポート期間いっぱい使われ続けることをも抑制し、実質的なサポート期間を短縮するということにもつながる。そして、そのことは、Microsoftが古いWindowsに対して確保しなければならないコストを下げられることを意味し、その分を新たな研究開発にまわすことができるようになる、ということでもある。
未来のOSに対する投資。多少のリスクを覚悟の上でも、無償のWindows 10へのアップグレードを受け入れるのはそういうことなのかもしれない。残された猶予はあと100日を切った。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)