Googleが同社のスマホシリーズPixelに、最新機能のアップデートとして「12月のPixel Drop」の提供を開始した。
Pixel 6シリーズ以降のモデルに新機能、セキュリティの強化、オペレーティングシステムのアップデート、バグの修正などを含むソフトウェアアップデートを定期的に提供するもので、今回はGoogleからのクリスマスプレゼントといってもいい。
Pixelシリーズは、Pixel 8以降、米国のGoogleストアでの販売開始日から7年間のアップデートが保証されている。また、先だって、Pixel 6以降Pixel 7aまでが、3年間のアップデート保証だったところ、それが5年間に延長された。Pixel 5a以前のモデルについてはすでにアップデート保証は終了している。
「らくらくPixel」的に使える? シニアに優しい新機能
今回の新機能追加で注目すべきは「シンプル設定」機能の提供だ。購入して最初のセットアップ時にこの機能をオンにすることで、
- ◎テキストとアイコンのサイズが大きくなる
- ◎ホーム画面のレイアウトがシンプルになる
- ◎シンプルな3ボタン ナビゲーションで操作できる
- ◎タッチの感度が高くなる
- △ショートカットで連絡先、時計、天気情報アプリを利用できる
- △壁紙のコントラストが高くなる
- △アプリグリッドが4×4表示に拡大する
- △おすすめアプリが固定される
といった機能がひとつの操作で有効になる。すでに使っているPixelでこの機能をオンにすることもでき、その場合は、◎項目のみが有効になる。
シニアに優しい表示と操作を狙い、いわば「らくらくPixel」に切り替えるといったところかと想像した。実際、使用中のPixelにこの設定を適用するには、設定アプリでユーザー補助の項目を開く。
ところが、手元の実機で実際にこの機能をオンにしようとすると「フォントのサイズが小さくなります」という警告が出た。どうやらこのシンプル設定が想定しているよりも大きなフォントサイズをすでに設定してしまっているようだ。
「らくらく」かもしれないが、そこまで大きい表示だとは自分では思っていなかった。かまわずに実行すると、フォントサイズ、表示サイズともに小さくなってしまった。確かにこれでは「らくらくPixel」と呼ぶにはちょっと難がある。
だが、「戻る」や「ホーム表示」をボタン操作できる3ボタンナビゲーションに切り替わり、タッチの感度が気持ち高くなっている。
「シンプル設定」オフで以前の設定に戻るのがうれしい
もういちど設定アプリを開き、シンプル設定をオフにしたところ、単純にデフォルト設定に戻るのではなく、以前使っていた設定を記憶していて、そこに戻る仕様のようだ。これは便利だと思った。
というのも、フォントサイズや表示サイズを大きく設定していると、ウェブサイトやアプリなどで画面からボタン類がはみ出してしまい操作ができなくなることがよくあるからだ。そんなときは、いったんフォントサイズを小さくして、必要な操作をすませてから元に戻すということをやってきた。
本来はこういうことがないように、どんなフォントサイズ、表示サイズでも支障がないようにアプリやサイトを作り込んでおくのべきなのだが、なかなかそうはならなくて往生することが少なくない。だが、シンプル設定のオン/オフで瞬時に切り替えができるというのは便利だ。
実際にはフォントサイズと表示サイズを現状より小さくするためにシンプル設定をオンにするというややこしい使い方になってしまうわけだが、アプリやサイトが操作不能になるという理不尽な状況から簡単に逃れることができる。
独自機能は手軽な操作で元に戻せる設定が広がってほしい
誰もが簡単だと思っている操作も、スマホの操作に慣れないユーザーにとってはたいへんだ。
こうしたユーザーのために特別な配慮のある製品もあるが、一方で、その使い方が独特すぎて、誰も相談に乗ってあげられないということもある。よくも悪くもiPhoneが人気なのは、多くのユーザーが使っていて、身の回りの誰かに聞けばたいていのトラブルが解決するからなのだろう。
サポートができるというのは、誰もが同じ操作をしているからであって、わかる人がわからない人に教えてあげることで、ヘルプが成立する。
だからこそ、独自でユニークな機能は、瞬時に解除できて標準的な状態に戻せるようになっているべきだ。シンプル設定は、こうしたことも視野にいれて進化させ、Pixel以外のAndroidスマホにも拡がっていってほしいと思う。
最近は、中高年のユーザーが、Androidスマホを使うことが多くなっているともいうだけに、「標準」であることの重要さも留意したいものだ。