Googleは、中高生を対象に、インターネットを安全・安心に活用するためのヒントやアイディアを広める活動として「ウェブレンジャー」を募集している。中高生であれば誰でもウェブレンジャーとしてエントリーすることができ、さまざまな活動の報告を動画にしてYouTubeにアップロードする。それが関係者によって審査され、最終的にアンバサダー賞が授与されるというものだ。

募集は5/14まで継続中だが、このプログラムのステップとして、東京と大阪において各50名の希望者を集めたトレーニングセッションが開催された。朝から夕方まで続く本格的なセミナーだ。

東京会場には北は北海道から南は沖縄までの生徒諸君が集まった。また、保護者として、グループの所属する学校の教職員や父兄なども「大人レンジャー」として参加した。

北は北海道から南は沖縄まで、全国から中高生が集まった

Googleの社員がモデレータとなり、インターネットとの関わり方と、そこに潜む問題についてディスカッションが行われ、そのあと、効果的な活動報告のために、マーケティングの手法や効果的な動画の作り方などがレクチャーされた。あることをした結果が認知されるのは40%だとすれば、その内容を理解されるのはその30%、さらにそれにしたがって行動に移されるのは6%にすぎないといった本格的なマーケティングの概念が、TVのCMの認知、内容理解、購買といったわかりやすい例で示された。

また、そのあとは、参加者がグループに分けられ、東京会場では「中学生の間で年賀状を流行らせよ」というテーマが与えられ、グループ単位でのディスカッションを経て、それぞれのグループがアイディアをプレゼン披露した。これは、与えられたテーマに基づいて、どうすればそのテーマを効果的に実現できるかの実践をトレーニングするものだ。

まず座学の時間。マーケティングの手法や効果的な動画の作り方などレクチャー

次いで実践。グループ単位でプレゼンまで通してトレーニング

午前中のセッションではインターネットの安全について、個人情報の重要性、情報の公開範囲の配慮、誹謗中傷などで他人を傷つける可能性の回避といったことが、生徒諸君を交えてディスカッションされた。父兄がインターネット詐欺に遭ったことなど、さまざまなエピソードが飛び出し、インターネットの危険が身近なものとして体験されていることがわかる。

実際に起こった詐欺のエピソードなども踏まえ、インターネットの安全についてディスカッション

生徒諸君はほぼ全員が携帯電話を持っているが、LINEやTwitterを半分くらいが利用、facebookとなるとチラホラという状況で、よく見るサイトはニコニコ動画とYouTubeといったプロフィールだ。決して全員がヘビーなインターネットユーザーではない。

Google側からは、

  • 投稿する前に考えよう
  • 自分の情報を守ろう
  • 設定を理解して、使いこなそう
  • 詐欺に気をつけよう
  • ポジティブに

というポイントが挙げられ、ちょっとした工夫でみんなが安心してインターネットを使えるようにする方法は必ずあるという指針が示された。そして、ウェブレンジャーは正義の味方、絶対に人を傷つけないという絶対的指針も。

興味深かったのは、大人はすべてを禁止しようとするけれど、禁止するだけでは何も解決しないという声が生徒諸君の中から出てきたことだ。臭いものにフタをするだけではなく、根本的な解決に向けて工夫をしなければならない。そのために何をすればいいか。ウェブレンジャーの活動を通じて、子どもたちが、そこをきちんと考えることができるだけでも意義はある。大人にはその気持ちをきちんと理解し、悲劇を起こさないために、それ以上の考察が求められる。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)