4月。年度も変わって新しい生活が始まる。転職、転勤、新入社、新入学などであわただしい時期を過ごしている方も多いだろう。
そんな年度末の最終週の土日、インテルが東京・原宿でAI PC Gardenと称する体験イベントを開催した。カフェを借り切って、最新のAI PCを披露し、新時代の到来を告げる製品を広く体験してもらおうという企画だ。
クラウドから解き放たれるAI PC
イベント開催の前日に行われたプレス向けのプレビューでは、インテル株式会社 執行役員 マーケティング本部 本部長の上野晶子氏が登壇、発表されたばかりのインテル Core Ultraプロセッサーを搭載した新しいAI PCでは、ユーザー自身のPCでAIをより円滑に利用できるようにすることができ、PCの利用方法・体験を大きく変革するとし、その幕開けはインテルによるものだとアピールした。
上野氏は、彼女自身がインテルに入社した当時のことを振り返り、今のWi-Fiの源流となる2003年のCentrinoブランドについて話した。いわゆる無線LANの普及により、当時のPCはケーブルから解き放たれて自由になった。それはもう画期的なことだった。
それから20年余を経た今、PCのAIはクラウド処理からローカルで処理されるようになろうとしている。クラウドにつながっている束縛から自由になるわけだ。インターネットにつながっていないパソコンやスマホほどつまらないものはないといえるが、これからはそうでもなくなる。それだけのことだが画期的な時代の変わり目となる。
だが、上野氏はインテルによってハードウェアはできたが、ローカルでAIを処理するアプリが不足しているともいう。今、もっとも大きな懸念だ。だからこそ、ここから花を咲かせてほしいからこそのAI PC Gardenというわけだ。
ローカルでAI処理するアプリの登場が待たれる
プレビューイベントにはゲストとして世代・トレンド評論家の牛窪恵氏も登壇、おひとりさまやソロ活、そして草食性男子のトレンドをいち早くマーケティングにつなげた人物だ。牛窪氏は、生まれたときからデジタルがある今の若い人はたいへんだとしながら、その直感力に期待したいとエールを送った。
結局のところ、クラウドAIは、従来からの勝ち組がさらに強固な地盤を築いてその勝ちを堅牢なものにする手段にすぎない。でも、誰かがローカルAIで何かができるようにすれば、その建て付けは変わると上野氏。若いうちはいい意味での勘違いができるから大丈夫じゃないかと結論づけた。
展示されていたパソコンでは、ローカルでAIとチャットできるシステムも展示されていた。今、CopilotやChatGPTなどのAIシステムと対話するシステムが、インターネットと遮断された状態でのパソコンで稼働する様子がデモされていたのだ。
さすがに今日の夕方雨が降るかどうかを尋ねても教えてはくれないが、既成事実的な質問には的確な答えを返す。十分な知識と実用度を持ったAIだが、それが抱えるデータベースは10GB程度ということだ。意外に少ない。
AIはいつかネットがなくても役にたつ存在に
今、平均的なスマホは128GB程度のストレージを持っている。ノートパソコンならその倍の256GB、さらにその倍の512GBといったところだろうか。そこにインターネットの集合知が凝縮されて格納されれば、それだけでも世界は変わる。
上野氏がいうように、つながっているときにせっせと自身をアップデートし、インターネットから切り離しても、十分に役にたつAI、そして、そのアッと驚くような利用モデルを思いつくことができて、それを実用に供することができれば、世界を変えることができそうだ。
あと2年もあれば、そんな風景が当たり前になる。