本日26日、日本HPが都内で発表会を開催、ビジネス向けのタブレット8製品を発表した。いずれも3月上旬からの順次出荷で、Core Mプロセッサ搭載のWindows搭載モデルから、8型Windowsタブレット、12型Androidタブレットなど多彩なラインアップを揃える。
発表記者会見では、同社代表取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が登壇、2012年から始まった5カ年の成長計画に言及、今年2015年は4年目となる中で、HP、そして日本HPの成長を加速するための施策を矢継ぎ早に実施していくとした。特に、今年は分社化もあり、事業のスピードを上げることは必須で、魅力的な製品を大量に投入していかなければならないという。
同社は、インフラベンダーとして業界に君臨するのが目標であり、PCとプリンターという観点でいえば、製品が強くなければ顧客に選ばれないと岡氏。同社では、これまで、製品開発に対する投資を年々10%ずつ増加させてきたが、その背景にある考え方として3Waveというものがある。
ひとつめは、コアのビジネスとして今日のテクノロジーを活かした最適な製品を届けること。
二つ目は、次のトレンドをつかまえて主流になる製品ではなくてもいち早く示すこと。
三つ目は、どのような製品に使えるかわからないが素材として人間の感性や創造性に寄与していけるものに対する投資。
つまり、現在、最新トレンド、未来テクノロジーの三つの波を的確にとらえ、将来を見据えて動くというのが3Waveの考え方だ。
こうしたなかで、同社は「モビリティ」を今もっとも力を入れている分野とする。同社にとっての「モビリティ」は、単にモバイルに対応した製品を揃えることではなく、会社の在り方や方向性、仕事のスタイル、従業員の意識までをトータルで考えることを指す。その戦略を加速するために、専任の組織も動き出しているという。
そんな中でのビジネス向けタブレット製品の発表だが、同社によれば、これまでは汎用品をSIerといっしょに導入してきたフェイズがあったが、そろそろモバイルデバイスが顧客企業にとって本当に使いものになるための必要要件、そして、求めるべきハードウェアの機能などがわかってきたフェイズに入っているという。そのイメージが確立したことで、テストフェーズは終わり、導入フェーズに入っているという。
キーワードは、ワークスタイル変革、業種・業務活用の浸透、教育ICTツールだ。これまでのスマートフォンやタブレットは、ビューワーであり、基幹システムとは切り離されていた存在だったが、これからは本当のビジネスにつなぐための活用が求められ、さらには教育市場にも浸透していくだろうと岡氏はいう。
また、Windowsタブレットが伸びていくことを示唆しながらも、当面のあいだはマルチOS戦略を続け、一般的なAndroid OSでは、カバーしきれないセキュリティ機能の付加価値などで攻めていくという。
製品説明で登壇した同社プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 テクノロジー・ソリューション統括本部 本部長の九嶋俊一氏は、現在のモビライズワークフローは、90年代半ばのインターネット普及時よりも、さらに大きなインパクトをビジネスに与えるはずだとし、投資としてモバイルデバイスを使うこと、そして同社が考えるモビリティに対して投資することは、ますます重要になるとした。また、情報消費については、BYODの流れが顕著になっていくだろうともいう。
岡氏によれば、米本社からの要求として、これまでの日本法人は利益さえ追求していればよかったが、今は、シェアをとれというように要求が変化してきているという。だからこそ、HPを探せば、すべてのソリューションがあるという流れを作らなければならない。そういう意味でも、企業内個人に適したデバイスから、医療用、介護用、建築土木用、教育用といった業種や業務にあわせたデザインの製品までのフルラインアップを揃える今回の発表は、同社にとって大きな節目となるだろう。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)