マクセルイズミがシェーバーの新ブランド「everedge IZUMI PREMIUM」を発表、切れ味が5年間持続するという長寿の刃「サステバ」を搭載した製品を発表した。10月25日から発売される。刃と本体を5年保証する5枚刃のシェーバーだ。
これまでの同社製品では、たとえば、2021年の6枚刃モデルIZF-V991で3年間の保証だった。同社が電気シェーバーを日常的に使っている弾性を対象に調査したところ、気に入ったシェーバーをずっと愛用し続けたいと回答したユーザーは90%を超えるという。その期待に応えることができるはずだと同社はいう。
切れ味と耐久性を両立した「サステバ」はサステナブルな刃をイメージして名づけられた。マクセルイズミは電気に関わる事業を通してSDGsの目標達成に努力していると自らをアピールする。同社は前身の泉精機製作所として、1956年に電気かみそりのOEM供給を開始している老舗企業でもある。
電気シェーバーにも広がるUSB-Cの波
この製品にはもうひとつの特徴がある。バッテリ充電/電源供給がUSB Type-Cなのだ。本体の根っこ部分にUSB-Cプラグを装着できるポートが装備されている。
実は、シェーバーの充電、電源供給のUSB Type-C採用は、パナソニックがこの春に実現している。
「everedge IZUMI PREMIUM」発表会の製品展示コーナーで説明に立っていた同社商品企画の社員は、ずっと以前からの企画だっただけに、先を越されたことをとてもくやしがっていた。
ちなみに同社は、この製品と同時に既存のVシリーズ全機種もUSB Type-C対応で新登場させている。ユーザーからは充電器、ケーブルを機器ごとに異なるものをいろいろと持ち歩くのはいやだという声が多かったことに応えたものだ。
ガジェットのUSB Type-C化が進んでいる
電気シェーバーに限定しなければ、各社から発売されている電気ガジェットのUSB Type-C化は、どんどん進んでいる。
ただ、安全性の確保などでUSB化をためらうブランドも少なくない。風呂や洗面所など、水気のある場所で使われることの多い電気シェーバーは特に気をつける必要があり、各社が臆病になるのもわからないではない。水は大丈夫でも、石けん水はどうなのか、水の温度はどうなのか、温泉でも大丈夫なのかといった懸念はたくさんある。
それでもUSB-Cは便利だ。先日は、iPhoneの新シリーズがUSB Type-Cに対応して発売されたことも話題になった。
機器ごとに異なる電圧やプラグを強いられる専用のACアダプタで本体に電源を供給したり、内蔵のバッテリに充電したりするのが普通だったところに、USB電源という汎用的な規格を取り入れることで、あのダンゴのようなアダプタ地獄から解き放たれるのはうれしい。
今回の新製品は、一度フル充電にすれば、ほぼ一か月は充電が不要という業界トップクラスのタフさをもつ。さらに、バッテリが空になったように見えてもリザーブモードで3分間だけ稼働する仕組みも搭載されている。
また、電池の残量も1%ごとに表示される。このシリーズでは2モデルあるが、片方は内蔵バッテリのみで稼働可能、もう片方は内蔵バッテリはもちろん、電源を供給すれば、バッテリ残量がゼロでも稼働する。
シェービングの頻度と5年間も保証がある製品寿命のバランスを考えると、その電源の汎用化は望ましい。使っているうちに専用アダプタを紛失するかもしれないし壊れるかもしれない。旅行などに携行する場合も、スマホの充電器を使って充電できるので、別途、アダプタを携行する必要はない。旅行前にフル充電して備えるという必要もなくなる。
USB Type-Cへの統一は大きな意味で「サステナ」でもある
ただ、製品に同梱されているのは約1.8メートルのUSB-A to USB-Cケーブルと、USB-Aソケットを持つアダプタだった。
これでは両端がUSB-Cのケーブルを使えない。展示コーナーの説明員も、今回は、ACアダプタを同梱しないことも考えたが、フラグシップの製品にアダプタを同梱しないのはないだろうとして考え直したという。ところがコストの関係で、USB-Cソケットを持つアダプタの同梱ができなかったとくやしがっていた。
それでも、USB-Cという規格のもとに汎用的な充電器やケーブルを、さまざまな電気機器に流用できるというのは、大きな意味でサステナだ。廃棄物削減にもなるし、消費者が持続可能性のあるメーカーに縛られない選択もできる。そういう意味ではメーカーの姿勢として、ACアダプタを同梱しない選択があってもよかったように思う。
欧州連合(EU)ではすべてのスマホ、タブレット、カメラの共通の充電ポートにUSB-Cを使うことを義務付けることになった。iPhoneのUSB-C化もこの義務化にしたがうためだろう。この義務化はモバイル機器に有効なもので、電気シェーバーは明確には含まれないが、持ち運びが想定される機器のすべてがUSB-C化するのは時間の問題だ。