Ankerが充電器の新シリーズとしてAnker Primeを発表した。GaNPrimeテクノロジーの急速充電や、140W以上の出力対応など、従来のAnkerのテクノロジーの集大成ともいえるシリーズだ。

  • 「Anker史上最高峰」と銘打って登場した、新しい充電器シリーズ「Anker Prime」

製品カテゴリとしては、充電用のACアダプタ、大容量バッテリとケーブル接続不要の充電ベース、そして、ACタップ兼用のチャージングステーションで構成されている。一部の製品はすでに発売されているし、未発売の製品も8月末から秋にかけて順次発売される予定だ。

ACコンセント付きの充電器が旅行によさそう

なかなかよさそうだと思ったのは、Anker Prime Charging Station(6-in-1, 140W)だ。プレート状の本体にAC電源を供給することで、本体に実装されたUSB-C×2、USB-A×2、ACコンセント×2の6つのポートを使って充電などができる。

  • Anker Prime Charging Station(6-in-1, 140W)の本体とケーブル。ケーブルの長さは約1.6メートル。太くて長いがACの延長コードを携行する必要がなさそう。本体のケーブルソケットが特殊な形状なので、汎用品を別途使うことができないのは残念。普通のメガネケーブルならよかった

液晶ディスプレイを搭載していて、各ポートの状態をW表記やアンペア&ボルト表記で確認できるようになっている。旧製品とはここが大きく違う。

2つのUSB-Cポートは、当然、USB PDに対応していて、単ポート使用時には140W、2ポート使用時には65Wずつの出力となる。旧製品より出力が上がったために、両ポートが60W超に対応、機動力が高まった。その代償が60gの重量増だが、実測ではカタログスペックよりも軽かった。

  • 液晶表示で現在の供給電力がわかる。総電力だけでなく、ポートごとの電圧や電流もわかる。eMarker内蔵のケーブルを使うと、その旨も表示されるが、eMarkerの内容まではわからない。できればそれも表示してほしかった。そうなっていればケーブルチェッカーとしても役にたつ

1台で毎日使うガジェット群を充電できる

出張や旅行には、このステーションを携行すれば荷物を最小限にできる。

宿泊先で翌日の行動に備えて充電が必要なのは、常用スマホ、モバイルバッテリ、スマートウォッチ、ノートパソコンといったところだろうか。USB-PD対応のUSB-Cポートは2つなので、足りなければ、ACコンセントに手持ちのUSB PDアダプタを装着して使えばいい。

たとえば、コンパクトな40gのAnker 511 Charger (Nano 3, 30W)をここに並べて装着すれば鬼に金棒だ。80gの増量で2ポートを追加して、USB PD 4ポート対応の充電アダプタのできあがりだ。

重量としては実測で本体が284g、同梱のACケーブルが124gで合計408gだった。カタログスペックでは本体のみで300gとなっていたが実測では少し軽い。これに、30Wアダプタを2個追加しても500g以下だ。

そして、6本のUSBケーブル、スマートウォッチ用の充電アダプタなどを100均で調達した透明ポーチに入れて計測したら620gだった。ケーブル選びの工夫次第でもう少しダイエットできそうだが、まあ600g前後といったところだろう。

  • 下部にUSB-Cポート×2とUSB-Aポート×2

  • 上部のACコンセントに40gのAnker 511 Charger (Nano 3, 30W) を装着してみたところ。18Wのものでよければもっと軽くなる。実際にはデジカメバッテリの充電などもしたいので、ACコンセント装備は便利

ちなみに、USB PDで60Wを超える電源を供給するには、対応ケーブルが必要となる。見かけだけではまったくわからないが、100均で入手できたりする廉価なケーブルは、大電力には非対応なので注意が必要だ。

でも、充電に60W超の電力を要求する機器は、それほど多くない。現状ではパワフルな高性能パソコンくらいのものだから、多くの場合は60Wまでのパワーで十分だ。

とはいえ、そんなことを言っていられるのは今のうちだけというのがAnkerの考え方なのか。今回発表された各種製品も、そのほとんどが100W超をサポートしている。大は小を兼ねるが、ボディは十分に小であるということか。

充電器選びではポートごとの出力の違いに注目しよう

ともかく、出張や旅行など宿泊を伴う外出では、少なくとも500mlのペットボトルより重い600gを少し超える程度のガジェットケア用品が必要だということだ。複数のスマートデバイスを携行するのが現代人の当たり前になり、それに伴いケア用品が求められるようになった。

複数のポートを持つ充電用品で注意したいのは、単ポート使用時、複数ポート使用時のポートごとの電力だ。

合計最大出力と、複数ポート使用時の出力、さらに、単ポートでもポートごとに最大出力仕様が異なるものがある。このあたりはまだ混沌としているので、製品を選ぶときには気をつけたい。

  • ケーブル類などとひとまとめにして出張・旅行用パックを作る

  • 100均で調達した透明ポーチにつめてできあがり。総重量は620g。本体が280gなので、やはりケーブル類が重いことがわかる

もちろん、自分の使っている機器が対応している充電電力にも注意しなければならない。多くのスマホがUSB PD 30Wでの急速充電に対応しつつあるが、まだまだ18Wまでのものも多い。モバイルバッテリなどもまだ入出力ともに18Wのものがほとんどだが、だんだん30W対応のものも出てきている。このW(ワット)の値がほぼ充電時間に比例する。

モバイルパソコンを充電するには45Wあればいいが、60Wあればさらに安心だ。かと思えば、就寝時などでスリープさせているときに30Wを供給できれば朝起きたときには満充電になっていることを期待できたりもする。

けれども小さな電力供給を拒否するデバイスもある。どっちにしても、ガジェットごとの充電時対応電力を把握し、その挙動を理解し、それらをすべてまかなえるようにケア用品を用意しておく必要がある。

いろいややこしくて混乱してしまうが、少なくとも、Anker Prime Charging Station(6-in-1, 140W)がひとつあれば、ほとんどの充電パターンに対応できる。

ずんぐりむっくりのウォールチャージャーがうまく装着できないコンセントしか装備していないホテルルームもよく見かける。朝起きたら、コンセントからチャージャーが自重で抜け落ちていたという失敗もある。とにかく充電しなければならないものが多いという方には、忘れ物のリスクもなく、うってつけのケア用品だといえる。