AmazfitがスマートウォッチAmazfit Cheetahシリーズを発表、予約販売を開始した。無印のCheetahとCheetah Proの2製品を発売する。

  • Amazfit Cheetah Proを装着したところ

系図としては、以前のAmazfit T-Rex 2の進化形ともいえるものだが、チーター(Cheetah)という名前から想像できるように、ランナー向けに最適化されたスマートウォッチだ。無印とPro、両者の機能はほぼ同じだが、無印よりサイズが大きなPro版はトレーニングやレース中の視認性がよさそうだ。

ランニングを補佐するAIコーチが心強い

個人のプロフィールやランニングのレベルにあわせてトレーニングを提案するZepp Coach:AIトレーニングガイド機能を搭載し、自己申告したランニングレベルや目標とするレースの日付と距離、レースの目的などのデータを元に、ベストパフォーマンスを得るためにはどうすればいいかを提案する。

親身になってくれるコーチがいない孤独なランナーにとって心強いパートナーになってくれそうだ。

  • 数ステップの質問にこたえてAIコーチに自分のパーソナルデータを伝える

オフラインマップ機能を搭載し、スマホなどを携行しないトレーニングでも、盤面に地図を表示し、走行した軌跡を確認したり、見知らぬエリアでのトレーニングでは、スタート地点に戻るときのナビゲータになったりして機能する。GPSの精度も秀逸で、ビルの谷間などでも正確なトラッキングができるという。

競技場などを走るトラックランモードでは、走るレーンに応じてアルゴリズムが距離などを修正し、トレーニング記録を正確なものにする。いわば、スマートな走りを追求するための時計だ。

機能が横並びになってきたスマートウォッチ

昨今のスマートウォッチシーン全般は、バンドとウォッチの棲み分けがうまくいっているようにみえる。

運動や健康データの収集については腕につけていて邪魔にならない矩形のバンドが人気だし、お洒落な要素を求めるユーザーには丸型のウォッチが支持されている。

もはや機能としての健康とウェルネス、また、運動の記録などについては十二分にサポートされていて、製品ごとの機能差はわずかで横並びに近い状況になってきた。メッセージ着信などのスマホからの通知については、もう、ほとんどの製品で差がなくなってきている。

この製品は、腕に装着して走ることに特化するために、実に軽量に作られている。無印版の場合、1.39インチのAMLEDディスプレイサイズで32グラム、バンド込みでも47gで際立つ軽さだ。一般的なスマートウォッチより10グラムほど軽い印象だ。

30グラムに満たないスマートバンドほどではないが、かなり負担は少ないといえる。「走る」を極めるために「軽く」が追求され、ランニングへの最適化がハードウェア面の進化で具現化されている。

ダイビング、筋トレ……特定スポーツに特化していく?

バッテリについては、スペックとして最大14日間、ハードな使用で7日間となっている。常に時刻を表示したままにする常時表示モードで実際に使ってみたが5日間でバッテリが空になった。

スペックでは、GPSを使ったトレーニングなどでは26時間程度とされているし、トレーニング中は頻繁にデータを確認するだろうから、毎日の充電は必要なくても、バッテリ残り容量を気にして、残り少ないようなら充電するように習慣づけるのがよさそうだ。朝、満充電状態なら、少なくとも1日のトレーニングの最中にバッテリ切れということはないと考えていい。

  • ランニングに最適化したトレーニングでは精度の高いGPSも支援。ちなみにこちらは無印版Amazfit Cheetah

今後は、特定のスポーツに特化したスマートウォッチが一般的になるのかどうか、ダイビング用、登山用、筋肉トレーニング用、インドアジム用といったイメージだ。健康やウェルネス一筋のデバイスが、ある意味で踊り場に達し、次のステップとして、特定スポーツアシスタントをAI機能で支える方向の模索が始まっているといえそうだ。

これらは、老舗としてのGarminやSuuntoなどが歩んできた道だが、Amazfitのようなベンダーが、どのように、彼らをキャッチアップしていくかに注目しておきたい。その一方で、ファッショナブル路線を別に調達するという気配もある。

スマホ一台にウォッチ一台、のシステムは古い

Amazfitのデバイスに限った話ではないが、そろそろ、スマホ一台にデバイス一台という1対1の関係を強制するのは終わりにしてほしい。

目的特化型のデバイスが増えてくると、活動量計としてのデバイスと、トレーニング用のデバイスを別のものにするなど、複数の異なるデバイスをTPOに応じて使い分けたいと思うようになる。それがなかなかかなわない。

特に、あるメーカーを気に入ったとしたら、もうひとつの時計も同じメーカーにしたいのに、両方を同じスマホで同時使用できない。仕方がなく、別のメーカーの製品を選ぶというのは、なんだか理不尽だ。メーカーにとっても得策ではない。AmazfitのZeppアプリには、複数のデバイスを登録できるが、一台だけしかアクティブにできないのだ。

さらに、収集したデータの分析や履歴のチェックなどが、デバイス本体とスマホアプリでしかできないのも不便だ。トレーニングの設定などは大きな画面でできるのが望ましいし、過去データのチェックなどの一覧性も望みたい。せめてブラウザで確認できてパソコンなどでも参照でき、各デバイスに同期するようにしてほしい。

スマホに閉じた世界観というのはそろそろ捨てるべきだと思う。その点、GoogleのPixel Watch、つまるところはFitbitアプリなどは、スマホでもウェブでも同等のことができる。タブレットでさえ正式サポートのないAmazfitのZeppアプリには、このあたりをぜひキャッチアップしてほしい。