Ankerが世界最小クラスのモバイルバッテリー「Anker Power Bank(10,000mAh, 30W)」の販売を開始した。
手のひらサイズのコンパクトさで重量も220グラムと軽量だ。USB-Cポートが2つ、USB-Aポートが1つ装備されている。ディスプレイが搭載されていて、バッテリーの残量が1%単位で確認できる。カラバリは5色だ(ブラック以外は8月以降に販売開始予定)。
容量は10,000mA、5V 5,200mAで26Whが定格となっている。出力は30WのUSB PDだ。昨今の多くのスマートフォンは、その急速充電のために大きな電力を要求するが、今のところは、出力が30Wあればまず大丈夫だ。
また、パソコンなども、30W充電を受け入れる製品が増えている。以前は45W未満だと、充電回路やバッテリ保護のために仕様として充電を拒否するパソコンが多かったのだが、最近は小さな電力でも、もらえるものはもらうポリシーの製品が増えてきているようだ。
また、26Whという容量についても220グラムという重量とのバランスを考えれば絶妙だ。これが倍容量で倍重量では、確かに心強いかもしれないが、気軽な持ち歩きというわけにはいかないだろう。
バッテリー切れ寸前のノートPCに使ってみた
手元で使っている13.3型ワイド液晶のノートパソコン「LIFEBOOK UH-X/E3」で使い勝手を試してみた。この製品は2年前の製品だが、世界最軽量の634グラムを実現した画期的な製品で、今なお愛用している。
搭載バッテリは必要最低限といったところで25Whしかない。つまり、スペック的には、このノートパソコンのバッテリと、Ankerのモバイルバッテリーは、ほぼ同じ容量だということだ。バッテリが2個あるようなもので、今までの倍の時間使えると期待したいところだが、さすがにそうは問屋が卸さない。
実際にやってみた。バッテリ運用のWindowsパソコンは、特に指定しない限り、バッテリの残り容量が20%を切ると節電のモードに入る。「バッテリ節約機能」がオンになるのだ。バックグラウンドで実行されているアプリがブロックされ、更新プログラムのダウンロードなども停止される。また、ディスプレイの明るさも数割下げられる。こうして少しでも稼働時間を延長しようとしてくれるわけだ。
出先でノートパソコンを開いたら、いきなり「バッテリーの残量が少なくなっています」という警告のメッセージに遭遇した経験はないだろうか。この時点で、すでにバッテリー節約機能が有効になっている。
そこで「Anker Power Bank(10,000mAh, 30W)」を使って電力を供給する。まさに非常用電源だ。今回は、充電開始の時点ですでに本体バッテリの残り容量が10%を切っていた。
モバイルバッテリーを接続すると、電源が接続されたことが認識され、できる限り、本体内蔵バッテリに充電をしようとする。もちろん処理のためにも電力は使われる。ただ、モバイルバッテリーはACアダプターと違って得られる電力が無限に続かない。定格の26Whというのがそれだ。
しかも、バッテリからバッテリへの充電になるので効率も悪い。エネルギーが熱となって失われてしまったりするからだ。
ノートPCが90分以上“延命”。緊急用の電力には十分
とりあえず、配信サイトで映画などを見ながら、気がついたことをエディタでメモしていくライトな使い方を続ける。モバイルバッテリーの接続後、約20分でバッテリ残り容量は20%まで回復した。45分後には27%となった。
だが、そのあたりから頻繁に本体バッテリを消費してしまうようになり、残り容量がほとんど増えなくなってしまった。これは、本体バッテリが20%を超えたことでバッテリ節約機能が無効になり、消費電力が増えたからなのだろう。
最初に接続したときから100分後、本体バッテリーの容量が33%まで回復したところで、充電が停止した。モバイルバッテリーの残り容量はゼロになっていた。すっからかんだ。
つまり、このテストでは、このモバイルバッテリーが90分以上、ノートPCの駆動時間を延命し、おまけとして20%ほど本体バッテリを充電してくれたことになる。非常用の220グラムのガジェットがもたらす恩恵としては、十分ではないだろうか。
一般的に販売されているUSB PD対応モバイルバッテリー既存製品の出力は、そのほとんどが20W前後だ。今後、ますます浸透していくであろう急速充電対応を考えると、ちょっと心細い。
就寝時の充電は、多少時間がかかっても大きな問題はないが、出先でのバッテリ切れは、1秒でも速く多くの残量回復を欲張りたい。そういう意味では「Anker Power Bank(10,000mAh, 30W)」は、緊急用の電力確保手段として、とてもバランスのとれた製品だ。