ASUSが約608gのWindowsパソコンを発表した。

パソコンといっても一般的なクラムシェルノートPCではない。ポータブルゲーム機「ROG Ally」だ。とりあえずはゲームのためのパソコンということになっている。すでに台湾で発表済みの製品ではあるが、日本での発売が追って決まったそうだ。

れっきとしたパソコンなので、Windows 11 Homeを搭載し、さまざまなゲーム配信プラットフォームのゲームに対応、しかも、Windowsは昨秋からAlndroidアプリも動かせるようになったので、Androidゲームについても遊べる。

  • ASUSが発表した「ROG Ally」。Windows 11 Homeを搭載し、さまざまなゲーム配信プラットフォームのゲームに対応している。右側のデバイスは外付けGPUモジュール製品「XG Mobile」

ゲーム機がゲームのために使われるとは限らない

昨今のトレンドとしては、「ゲーム用パソコン」というイメージに少し変化が起こっている。

七色に光るというのがゲーム用パソコンではなくなりつつある。というのも、ゲームをするためのPCも、ビジネスに使われるPCも、そして、アーティストが作品作りに使うPCも、汎用機としてのWindows PCなので、その基本的な部分はまったく同じだからだ。

だから、ゲーム機がゲームのために使われるとは限らない。ゲーム機の高いスペックをクリエイティブワークに使うアーティストは多いし、カジュアルなゲームをビジネスPCで楽しむユーザーもいる。逆の言い方をすると、こうしたプラットフォームをゲームのためだけに使うというのは、ちょっともったいない。世の中がようやくそのあたりに気がついてきたようにも感じる。

そんな野次馬的な感覚でこの製品を見ると、意外にビジネスにもバリバリに使えるんじゃないかと思った。なにより、メモリ16GBに512GBストレージ、そしてディスプレイはタッチ対応高速フルHD液晶で、DP Altモード対応のUSB Type-Cポートを実装。そのあたりに注目すれば、ビジネスに使わない手はないといわんばかりだからだ。

  • 開発にあたり試作されたモック群。どう快適にグリップするかで検討が重ねられた

608グラムのなかに高性能を詰め込む

もちろんメーカー側のASUSとしてはそんな余計なことは言わない。筋金入りのゲーミングPCとして売る。

だが、普通にドライブを楽しむクルマであってもセダンにクーペ、SUV、ハッチバックなどいろいろで、雪道や砂漠を一度も走ったことがなく、街中ばかりを徘徊するジープだってたくさんあるわけだ。高性能なPCは、何に使っても快適に仕事や遊びができるし趣味にも活かせる。

その高性能を608グラムのコンパクトな筐体に封じ込めたのはいい仕事だ。得意先でのプレゼンにこのPCを使ったら確実に注目を集めることができる。普通のビジネスワークのためには、このサイズに無理に文字入力用のQWERTYキーボードを実装してしまうよりも、自分で使いやすいBluetoothキーボードやマウスなどを組み合わせて使った方がよさそうだ。

  • ROG Allyにキーボードとマウスを組み合わせた例。USB Type-Cケーブルでディスプレイともつなげられる

外付けGPUで最強クラスのゲーミングPCにも変身

ASUSにはROG XG Mobileという持ち運びができる外付けGPUモジュール製品がある。ROG Allyにこの製品を接続すれば最強クラスのゲーミングPCに変身する。というのも、最大150WのクラスのNVIDIA GeForce RTX 4090 Laptop GPUを外付けすることになるからだ。

ROG XG MobileはASUS独自規格バスでの接続になるが、本当はここがThunderbolt 4などの標準規格での接続ならもっとよかったのにとも思う。だが、そこに目をつぶれば、GPUの拡張のみならず、USB、SDカード、有線イーサネットなど、それこそビジネスPCに求められるあらゆる要素が後づけできるのだ。

そこまでやらないにしても、最近は、USB-Cのドッキングステーションやハブなどのバリエーションも増えてきていて、実装されたポートの数や種類の少ないPCであっても、それらを使って自在に拡張することができる。充電についてもUSB-CのUSB PDで、互換性の心配がないだけに惜しいところだ。パソコン選びのツボが少しずつ変わってきているといえそうだ。