5月8日に予定されている新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴い、コロナ禍は強引に収束させられる。早い話が実質的に終わったことにしようというわけだ。全国旅行支援も再開されている。ゴールデンウィークには間に合わなかったものの、夏から秋にかけて、この数年ガマンしていた海外旅行を計画している方も少なくないだろう。むしろ、堰を切ったように殺到している感もある。
個人的にも、ずっと海外出張ができなかったし、するのも怖くてできていなかったが、この夏あたりから再開しようと考えている。海外イベントなどの取材も同様だ。そのついでに各国の様子も取材してみるつもりで、ブッキングサイトなどでチェックを始めた。
海外の音楽祭、チケットを買おうとしたら……
今年(2023年)は、毎年夏に開かれているオーストリアのザルツブルク音楽祭を聴いてみたいという家族の意向もあり、同音楽祭の公式サイトを物色してみた。モーツアルトを記念した世界最大の音楽祭のひとつだ。2020年は規模を縮小したものの、コロナ禍においても開催は続いていた。
お目当てのコンサートを指定し席のブロックを選んでチケットを申し込む。日本にいながら公式サイトでカンタンに予約ができる……、はずなのだが、決済はうまくいったはずなのに、いつまでたってもクレジットカードの利用明細に表示されず、有効な電子チケットの入手ができない。使ったのは具体的には三井住友カードのVISAなのだが、3Dセキュアによる本人認証サービスもクリアできているので問題はないはずだ。
何があったのかと、音楽祭の事務局に問い合わせてみたところ、限度額などの理由で決済ができないのでカード会社に問い合わせてみてほしいとのこと。×日までに決済できない場合は席を確保できないともいう。こうした問い合わせに、メールで即座に回答が戻ってくるのはさすがだ。
そこで、三井住友カードに問い合わせてみたところ、同社が拒否した履歴は残っていないが、海外取引の場合はインターナショナルのVISAが拒否した可能性があるという。そして、そのことは、エンドユーザーどころか、三井住友カード側にも伝わってこないとも。
そこで、三井住友カードにお願いして、VISAに問い合わせてもらったところ、ここのところのヨーロッパにおけるクレジットカードの不正利用を抑制するために、無作為に取引を拒否していることがわかった。今回の取引は、そのセキュリティ確保のために決済ができなかったとのこと。しかも、こうした対策はエンドユーザーにも伝わらないし、三井住友カード側でも把握ができないのだという。
そこで、いったん三井住友カード側からVISAに対してカードのセキュリティチェックを停止してもらい、コンサートの事務局に連絡して再決済のチャレンジを依頼、無事に決済を完了することができた。そのまま放置していたら、せっかく確保したコンサートチケットが流れてしまうところだった。
あらかじめセキュリティ解除を申し出ておく手も
こうしたチェックは随時行われている。たとえば、訪問した国のレストランで支払いをしようとしたら、いきなり決済ができないということも起こりうるようだ。日本にいれば、電話をして、すぐに解除してもらうといった対応もできるが、時差のある海外ではそれが難しいこともある。別途、予備のカード口座などがあれば、それでチャレンジすることもできそうだが、とにかく心臓に悪い。
三井住友カード側の説明では、そのようなことがないように、海外に行く前に、一定期間のセキュリティ解除を申し出て欲しいということだった。それで、心当たりのない決済拒否は起こらなくなるそうだ。準備段階でもホテルや各種イベントの予約等で決済が行われる場合は要注意だ。
こういうことは以前もあった。近所のスーパーマーケットで買い物をしたときに、クレジットカードが使えなかったのだ。これもカード会社に問い合わせてみると、23区の境界を短期間に往来しながら使われる決済の一部を止めているということだった。その当時、頻繁に起こっていたカード犯罪を抑止するというのが理由だと説明された。
安全のためとはいえ、エンドユーザーが知らないところでこんなことが行われている。久しぶりに旅行をしようと思っているなら、各種の予約がきちんと決済され、メールなどで予約完了の連絡が来ているかどうかなど、旅程に沿って一通り確認してから旅に出よう。もちろん旅行中のセキュリティチェック解除の連絡もしておく。いざ使おうとしたときに使えないキャッシュレス決済ほど怖いものはない。