自分の年齢さえ、そろそろ先が見えそうになっているわけだが、身のまわりには多くの諸先輩がいる。親戚縁者もろもろだけでもけっこうな数になる。

最近は、グループ老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などを検討しているがどうだろうといった相談も多い。経験はないので、調べるしかないというのが理不尽だ……。また、ワクチン接種の申し込みや、臨時特別給付金の申請などを頼まれたりすることもあったりする。

  • 意識しないまま通話料がかさむケースもあるので、毎月の電話料金は明細もチェックしておきたい

こうした手続きは、完全にリモートで成立するものから、郵便のやりとりが必要なもの、どうしても本人が立ち会う必要のあるものまでいろいろだ。

そんなやりとりの中では、電話などでのコミュニケーションが必要になることもある。シルバー世代相手ではすべてをメールというのがなかなか難しい。

必要なら容赦なく「かけ放題」を選びたい

やりとりのなかで、彼らの預金通帳を目にすることも少なくないのだが、そこで気がつくのが携帯電話事業者からの高額な請求金額だ。聞いても、特に電話の割賦料金があるわけでもなければ、コンビニでの買い物料金が充当されているわけでもないようだ。

犯人はたぶん通話料金だ。通話料金をなめてはならない。だから、年配の人たちには、もう、まちがいなくかけ放題のサービスを申し込むようにアドバイスしている。とにかくかければ10分以内で通話が終わるはずがなく、えんえんと話し続けるし、ちょっとした用事でもメールやメッセンジャーを使わず、頻繁に電話をかける。

しかも目の前に固定電話があっても携帯電話を使う。もちろん相手の電話も携帯だ。そんなものだから、通話料金はじわじわと増えていく。携帯電話同士の通話は一般に30秒あたり22円の通話料だから、1時間長話をすればそれだけで2,500円程度かかる。

だから5分以内は無料とか、そいういプランは見なかったことにしよう。たとえば、ドコモの場合、

  • かけ放題オプション 1,870円で国内通話かけ放題
  • 5分通話無料オプション 770円で国内通話5分以内

となっている。ここで、差額の1,100円をケチって5分通話無料にすると、通話するたびに5分たっていないかどうかが心配になり、さらに超過が25分間で1,100円分でチャラになる。そもそも1,870円は42.5分の通話料金だ。身の回りを眺める限り、シルバー世代の電話がそれで収まるとは思えない。

厳格に通話時間をコントロールして話ができるならともかく、それはとうてい無理だと思うなら、最初からかけ放題を選んでおいたほうがいい。

使う人に適した割引オプションがないか確認しよう

UQモバイルのように、60歳以上に特別割り引きの通話オプションを用意しているキャリアもある。

使う人のキャリアにそういうプランがないかどうかを調べることも必要だ。若年層であれば、通話を使わず、メッセンジャーなどの無料通話機能を使うようにするなどの自衛策もあるが、シルバー層にはなかなか難しい。

それに、行政関連、金融機関関連をはじめとするところでの問い合わせや諸手続が、ほとんど壊滅的に通話に依存しているというのもシルバー世代の通話依存が高まる原因になっている。

本人確認が必要だということもあるが、本人を主張し、生年月日と電話番号と住所をスラスラといえれば本人確認OKというのは、サービス提供側の都合にすぎないようにも思う。

データ通信費は下がったが、通話料金は高い

ここ数年で、データ通信に関する費用は劇的に下がったが、通話料金については驚くほど高額な状態のままだ。

このコラムを読んでくださっている読者の方々も、両親や親戚等の老後について考えることは多いと思う。シルバー世代のQOLを支えるのはまさにITだ。その第一歩として、毎月の電話料金がどのような名目で使われているかをチェックするのは重要だ。