UQコミュニケーションズが提供中の「WiMAX2+」を、来春からキャリアアグリゲーションに対応することを発表、それにともない、現行の周波数帯域を切り替えることを発表した。現在、同社が持っている周波数は全部で50MHz分あるが、そのうち30MHzをWiMAX、20MHzをWiMAX2+で使っている。今回は、WiMAXが使っている30MHzのうち、20MHz分をWiMAX2+に移行し、キャリアアグリゲーションに対応させるわけだ。
結果として、WiMAXは10MHz分、WiMAX2+は40MHz分となる。これに伴って、来春以降はWiMAXの理論上の最大速度が、40Mbpsから13.3Mbpsに減速することになる。つまり、同社では、WiMAXのサービス規模を縮小し、WiMAX2+への完全移行をもくろんでいるということだ。
デジタルサイネージや駅のキオスクといったM2Mの通信手段としても使われているWiMAXが完全に停波することは当面なさそうだが、既存のWiMAXユーザーは、さっさとWiMAX2+に乗り換えた方がよさそうだ。
UQコミュニケーションズでは、既存WiMAXユーザーにむけて、WiMAX2+対応ルーターへの無償交換プログラム「WiMAX2+ 史上最大のタダ替え大作戦」を11月1日から展開する。このプログラムでは、手元のWiMAX端末を、同社の現行WiMAX2+対応端末である「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」、「NAD11」のどちらかに無償で交換してもらえるというものだ。
WiMAXサービスについては、モバイルルータのみならず、WiMAX内蔵パソコンでの利用も少なからずあるはずだ。今回のプログラムは、そうしたユーザーにも適用される。つまり、今、WiMAXを契約して使用中のユーザーは、すべてWiMAX2+対応ルータを無償で入手できるわけだ。また、MVNO各社でも同様のプログラムが開始されるという。
対応ルータへの交換後は、その時点から2年間、3,696円で速度制限なしのWiMAX2+利用が可能となる。ただ、継続期間のしばりがないプランで利用している場合も、2年しばりのプランへの移行が必要になる点には注意が必要だ。WiMAX2+はSIMを必要とするサービスであることで、機器追加オプションもなく、困るユーザーもいるかもしれない。
WiMAXにあえて留まることもできるが、2年間の契約ということを考えれば、来春のキャリアアグリゲーション導入時に発売されるであろう対応ルータを待つのではなく、少しでも早くWiMAX2+に移行して契約期間をスタートさせるてしまうのが得策だ。期間に応じて契約解除料を払うにしても、満期まで待つとしても、より早く移行した方が最終的なコストは安くなるだろうからだ。
今のところ、モバイルネットワークサービスで、速度制限なしを謳うのはWiMAX2+しかない。UQとしてもWiMAX2+への移行を促進することで、速度制限なしを2年間といった期間限定ではなく、ずっと続けることを望んでいるようにも見える。早期の移行に協力することが、最終的にはユーザーメリットとして戻ってくる可能性は高い。WiMAX2+への移行は、有限の資源としての電波を有効に使うことでもある。それによって、速度制限なしのサービスが延命されるのであれば、そこに乗っからない手はないのではないか。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)