オウルテックが極薄のUSB PD充電器「OWL-APD65SC1-BK」を発売した。厚みは1.25センチと極薄だ。サイズは約42×87ミリ、重量は76グラムとなっている。とにかく薄くて小さくて軽い。しかも、PPSにも対応し、最大65Wの給電が可能だ。

  • オウルテックの極薄USB PD充電器(右)と、60W対応のモバイルバッテリー(左)

このサイズ感で65W対応には驚く。出先でのちょっとした充電ニーズは高速充電ができる大電力対応のものにこしたことはないのだが、持ち歩きのことを考えると、なかなかそうはいかない。

今どきのノートパソコンは45W程度あれば、使いながらの充電でも内蔵バッテリを消費することなくパソコンが使えるが、65W対応していれば心強い。長時間使って空っぽになったバッテリも、より短い時間で満充電状態に戻せるはずだ。

極薄のPD充電器は「出色の出来」

形状としては、数連のコンセントを使うときに、隣の差し込み口に干渉してしまったり、あるいは床に埋め込まれた狭いコンセントに差し込めなかったりすることも少なくないのだが、ここまでコンパクトだとそれも許せる気持ちになってしまうから勝手なものだ。オウルテックとしては特に最小最薄最軽量等をアピールしているわけでもないが、軽薄短小好きとしての目で見る限り、出色の出来だと思う。

オウルテックはさらに、60W対応のモバイルバッテリーの新製品「OWL-LPB20015-Rシリーズ」も発売した。こちらは60W出力対応で、充電は30W対応となっている。スペックとしての容量は72Whだ。

一般的なパソコンに搭載されている内蔵バッテリは50Wh程度なので、340グラムのモバイルバッテリがカバンの中にあるというだけで、ほぼ倍の運用時間を確保することができ、かなり安心できる。

先に紹介した充電器とこのバッテリの組み合わせは、現時点でかなり魅力的な組み合わせだと思う。ガジェットからスマートフォン、タブレット、パソコンまでをフルカバーしてくれる安心グッズだといえる。

ちなみに、長時間使うことがわかっているときには、満充電状態のときからモバイルバッテリをつないでおき、モバイルバッテリの電力から先に使うようにする。そうすることで、バッテリからバッテリに充電してそれを使うという効率の悪いことをしなくてすむ。

欧州でUSB Type-C搭載デバイスが広がる

そういえば、欧州議会が電子機器の充電端子をUSB Type-Cに統一する法律を採択したそうだ。どうせなら、シェーバーなど、「電子機器」じゃない製品も含めればよかったのにと思う。

ちょっとした電力が必要なガジェット類がたくさんあるが、それらが専用ACアダプタを使っていては意味がない。本体は大丈夫なのに、専用アダプタを紛失して廃棄というパターンも少なくない以上、そこもなんとかしてほしかったところだ。

いずれにしても、2024年以降は、すべての電子機器がUSB Type-C端子で充電するようになるという。今買った電子機器を5~6年は使うとすれば、2030年頃の買い替えのときにはUSB Type-Cしか選べないということになる。不安なのは、そのときに、USB Type-Cが最良の現役端子として生きながらえているかどうかだ。

わかりにくいことで有名なUSBだが、速度についてはGen表記ではなく、今後は、5Gbps、10Gbps、20Gbps、40Gbpsと値を添えてのロゴ表記になるそうだ。

カフェや図書館といったパブリックスペース、電車や飛行機、バス、乗用車といった乗り物内、ホテルの部屋、あらゆるところの端子がUSB Type-Cに置き換わっていく。

USB規格がもっとわかりやすい世界へ

データ伝送から電力伝送まで、電子機器を使う上で広く使われているUSB規格だが、それでもまだUSBといえば板状のUSB Type-Aプラグを想像するのが一般コンシューマーだ。まずは、その意識の改革が必要だ。

ちなみに今回紹介したオウルテックの製品、充電器はUSB Type-C端子のみを装備しているが、バッテリについてはUSB Type-AとType-Cの双方を装備している過渡期的なスペックだ。

まずは、世の中のUSB端子からType-A用プラグが装着できるものを撲滅させることをもくろんでほしい。100均ショップを訪れて売り場をのぞくと「USB - Lightningケーブル」と称して片側Type-Aのプラグを持つLightningケーブルが並んでいるのを見るたびにそう思う。まずはそこからだ。