シャオミがデスクトップモニタ「Mi 23.8” Desktop Monitor 1C」の発売を開始した。日本におけるモニターカテゴリとして最初の製品になるそうだ。ちょっと気になったので、同社にお願いして貸し出してもらった。

  • シャオミの「Mi 23.8” Desktop Monitor 1C」。23.8型のフルHDで、「据え置き」するデスクトップモニタだ

狭額縁、ブラック、USB Type-Cなし、ACアダプタ付き

仕様としては極めて普通のものだ。フルHD解像度(1,980×1,080ドット 60Hz)、23.8インチの非光沢IPSパネルを持つ一般的なもので、入力もHDMIとVGAだけと思い切られている。

上左右3辺のベゼルが5.7ミリと狭額縁になっていて、色はブラックのみだ。付属のスタンドでセンターを支えて自立させるようになっている。スタンドの装着にはネジ3本が必要でドライバーが同梱されている。可動は仰角の変更だけで、ピボットどころかスウィングもできない。高さも固定だ。ただ、本体が2.7キロと軽量なので、左右のスウィングができなくても特に困らないだろう。

スピーカーもなければ、トレンドのUSB Type-Cポートもない。コンパクトな12V2A出力のACアダプタが付属し、電源を丸型コネクタで供給する。ベゼルは純黒でシャオミのロゴなどもない。存在感は希薄で、いい意味で主張がない。ディスプレイはこういうのがいい。

ボリュームとしては、スタンド込みの実測が2.67キロと比較的軽量だ。スタンドが233gなので、パネルだけなら2,473gとなる。同梱スタンドを使わなくても、100均などで適当なスタンドを調達してもいい。ただしベース部分の厚みが30ミリ程度あるので、それを支えられるものが必要だ。

以前なら、モバイルモニタとしての利用を真っ先に考えただろう。ただ、接続したパソコンにUSB PDで電力を供給することができないし、本体への電源供給のために専用のACアダプタも必要だ。また、スピーカーも内蔵していない。出張時に携行するのは断念していたかもしれないが、少なくともコロナの前にスーツケースに入れて出張に携行していた同サイズのモニタは、電源内蔵の本体だけで約3.5キロあったので、電源アダプタが別に必要だとしてもずいぶん軽い。

存在感がほぼ感じられない、という魅力

据え置きモニタが軽量であるというのは、あまり気にする要素ではないかもしれないが、在宅勤務環境のように、日常的な暮らしのスペースに割り込む仕事道具としてのモニタディスプレイは、用が済んだら片付けなければならないという宿命があることも少なくない。そのことを考えると軽いことは大きな魅力となる。

23.8型フルHDというのは画素密度としては92dpiに相当する。Windowsの想定画素密度は96dpiなので、23.8型フルHDに100%表示させたときには104%サイズで表示される。まあ、ちょうどいいサイズということで、23.8型フルHDはモニタのスタンダードな仕様といってもよく、各社製品の定番的存在だ。価格もこなれている。拡大はできても縮小ができないWindows環境では、このサイズを超えると4K解像度対応のものが欲しくなるので、フルHD解像度用としてはここが上限サイズと考えていい。

そんな中で、今回のシャオミのモニタは22,000円台の価格だ。各社の競合製品を調べてみても、特に廉価なわけでもなければ、特別機能的な付加価値があるわけでもない。だが、質感もよく、設置してみたときに存在感がほぼ感じられないというのは大きな魅力で、それだけで十二分だという購入動機もありそうだ。個人的にはとても好感が持てるルックスだと思う。誤解を怖れずにいえば、無印良品的なたたずまいといったところか。

ノートパソコンとの組み合わせで使われることが多いことを考えると、USB Type-C運用ができないことだけが惜しいと思う。電源モジュールを内蔵していてもいいし、そうでなければ60W程度のUSB PD電源を供給すれば、パススルーでパソコンに45W程度を電源供給できる一般的なモバイルディスプレイと同じような使い勝手なら、製品としての価値は大幅に高まっただろう。

ハイブリッドな働き方では「据え置き」が「助っ人」に

画質的にも大きな不満はない。色温度については、スタンダード、クール、ウォームの3つのプリセットが用意されているが、ちょっと青みが強い感じがするので、カスタム設定で青を少し落としたらちょうどよくなった。調整は裏面のジョイスティックを使ったオンスクリーンディスプレイメニューの操作で簡単にできる。もちろん設定は、電源を切ってもそのまま記憶される。

ちなみにシャオミは製品の利益率を5%未満にすることをモットーとしている企業だ。2022年8月から円安などの影響で、一部の同社製品の価格改定がアナウンスされているが、この製品については発表当初の価格が維持される。

いずれにしても、ノートパソコン1台にモニタを追加するだけで生産性は大幅に向上する。愛用のノートパソコンよりも大きなスクリーンサイズが確保できるのであればそのほうがいいに決まっている。情報を生産するスクリーンは小さくてもいいが、情報を消費するスクリーンは大きい方がいい。

たぶん、これからのハイブリッドな働き方では「据え置き」という概念が少し変わるだろう。いったん設置したらそれでおしまいというのではなく、日常的に邪魔にならない助っ人感が求められるのではないか。必要なときだけインスタントに設置して最大限の結果を提供する存在が頼もしい。それは、光らないゲーミンググッズに通じるものがある。