ロジクールがハイエンドマウスのMX MASTER 3をリニューアルしたMX MASTER 3Sを発表した。

6月16日発売が予定されている。直販オンラインストアでの価格は14,960円で、7月14日まで発売記念10%オフのプロモーションが実施される。

  • クリック音が静かなMX MASTER 3S。カラーはグラファイトとペイルグレーの2色

    クリック音が静かなMX MASTER 3S。カラーはグラファイトとペイルグレーの2色

クリック音が90%静かになった人間工学マウス

前モデルからは、静音性とトラッキング精度の強化、そして、独自無線規格のUnifyingからLogi Boltへの変更がリニューアルポイントだ。

まず、静音クリックは、前モデルに比べて90%もノイズをカットしている。ロジクールのマウス新製品は、徐々に、この静音スイッチを採用するようになってきている。その効果は著しく、実際、マウスボタンをクリックしてみてもほぼ無音で操作ができる。

マウスのクリックの擬音は、「カチッ、カチカチッ」だったが、それを死語にしそうな静寂さだ。これなら静かな図書館などの環境で相当ヘビーな使い方をしても周辺に迷惑をかけることはなさそうだ。

また、Darkfieldトラッキングセンサーが4,000dpiから8,000dpiへと強化されたことで、高解像度モニターなどでの使い勝手が向上している。4Kモニタ2枚を横に並べたような環境でも、端から端までの長距離移動に困ることはない。マウスポインタを見失いにくくなったような印象もある。

また、ロジクールの無線マウスはドングルを使った独自無線規格とBluetoothで計3系統の無線接続を切り替えられるのだが、独自無線規格が、新規格のLogi Boltへと切り替えられ、従来のUnifyingとの互換性が失われた。同社は、こうして、新製品ごとにLogi Boltへの切り替えをすすめていく方針だ。

本体サイズや重量などは以前のモデルとまったく同じだ。また、内蔵充電式のリチウムポリマー電池を電源とする点も同様だ。

マウスは静かになって、キーボードは音が復活

マウスやキーボードなどのHID(Human Interface Device)と、その操作に際して発生する音についてはいろいろな議論がある。このところのロジクールはマウスの静音化に熱心だし、それがトレンドでもあるが、今回はMX MASTER 3Sと同時にメカニカルパフォーマンス キーボードを発表している。

キーボードはフルキーボードとテンキーのない製品が提供され、さらに、赤軸、茶軸、青軸のスイッチを持つ3種類の仕様で製品が提供される。スイッチごとに打鍵音が異なるので、購入前には必ず試打、ならぬ視聴をしてみることをお勧めする。

ロジクールは、このキーボードをゲーマーではなくエンジニアやクリエイターを想定してデザインしたという。つまり、キーの打鍵音がないと闘志がわかないゲーマーと同様、自分のタイプの音でやる気が高揚するオフィスワーカーのためのキーボードということだ。

マウスの静音化とキーボードのメカニカル音復活の流れは、相反するものだ。当然、キーボードについても静音化の流れはある。こればかりはいつまでたっても平行線をたどることになるのだろう。

パソコンの操作音の擬音は「カチャカチャ」だが、まさにそれはキーボードの打鍵音で、パソコン操作はキーボードを使うことを意味していた。メカニカルキーボードはそれを絶やさない流れだ。

操作のフィードバックはリアルがいいか、仮想化がいいか

かつて、ロジクールは、マウスの操作で触感のフィードバックが得られる仕組みを提供していた時期があった。

たとえば画面上のGUIとして用意されたボタンをクリックすると、ボタンを押したような感触が指先に感じられた。また、マウスカーソルがGUI的に凸面として表現されているオブジェクトの上を通過すると乗り越えたような感触が指に伝わる。けっこう画期的だと思った覚えがあるが、いつのまにか消えてしまった。

五感のうち、味覚と嗅覚をのぞいた視覚、触覚、聴覚を何らかの操作に対するフィードバックとするのはわかりやすい。スマホのタッチ操作に伴うバイブもそうだ。それを仮想化するのか、それともリアルなものにするのかも大きな議論になるのだろう。

デバイスそのものは無音化し、仮想化したサウンドを別途調達するというのは容易に想像できるソリューションだが、そういうわけにはいかないという考え方もあるというのがおもしろいところだ。

  • 違いがわかるだろうか。使い古された左のMX MASTER 3に比べ、右側のピカピカのマウスがMX MASTER 3Sだ