Galaxyシリーズの最新機S22シリーズが発売された。Galaxyは、初代Galaxy Noteシリーズ(2012年)で個人的な衝撃的洗礼を受けて以来、ずっと注目しているシリーズだが、今回、久しぶりに手にしてみることができた。

  • Galaxy S22シリーズは2022年4月21日にドコモとauで発売した

Galaxy S22、安定の使い勝手は健在

日本で発売されるのは、S22とS22 Ultraの2モデルだ。シリーズが統廃合され、かつてのNoteはUltra型番となり、クラシックなスタイルのスマホはS22としてリリースされている。

個人的な現時点での好みはS22の方で、比較的コンパクトで軽量なスマホとして、まさにスマートフォンの原点に帰ったかのような印象を受けた。6.1インチのFHD+ 有機EL、168グラムという基本スペックはかなり食指が動く。

実際に使ってみると、まさに安定のGalaxyであり、何の不安もない。デザイン的に、スクリーンの狭額縁が角張っていること、また、スクリーンの四隅のRが比較的大きいことが気になるかもしれない。また、ホーム画面のアプリドロワーでのアプリ一覧が横スクロールというのはGalaxyの伝統だが、そこが気になるユーザーもいそうだ。

  • 量販店の中にあるキャリアショップでもGalaxy S22シリーズが売られていた。上がGalaxy S22、下が同Ultraで、UltraではSペンも一緒に展示されていた

さらに、Galaxyシリーズは、そのUSB Type-Cポートを使って、外部ディスプレイに映像出力して、まるでPCのようにスマホを大画面で使えるDeXと呼ばれる機能をもっている。

ケーブルで接続、あるいはワイヤレスでディスプレイに接続すれば、モバイルパソコンでやりたいことのほとんどを、それですませることができる。また、Windows 10以降での「スマホ同期」アプリとの連携もサポートされている。

スマホ画面を拡張するDeXは若者向け?

今、Windowsの「スマホ同期」アプリは、「Phone Link(スマホ連携リンク)」アプリとして新たなスタートを切っている。WindowsのデスクトップにGalaxyのスクリーンをウィンドウ表示し、まるでWindowsアプリのひとつのように、Windows上で利用できる。

AndroidスマホのアプリとWindows OSとの連携がもたらす世界は素晴らしいチャレンジだとは思うし、これが今後、WindowsネイティブでAndroidアプリを使えるようになる世界につながっていくのだろう。

ただ、高性能パソコンを持たない選択肢をとった若年層にとっては、DeXによってスマホ画面を拡張する使い方の方が現実的かもしれない。14インチ前後のモバイルディスプレイを接続し、キーボードとマウスを接続すれば、スマホがそのままパソコンのようなデバイスになり、Chromeのようなブラウザはもちろん多くのAndroidアプリを使える。この世界は、手のひらサイズのChrombook的なものだといってもいい。シンプルな使い方としては、ケーブルでディスプレイと接続するだけというのがわかりやすくていい。

とはいえ、据え置きのPC用ディスプレイは、一部の高付加価値モデル以外、Type-Cポートで映像を入力できるわけではない。だが、PC本体と比べて遙かに低価格で入手でき、しかもスマホ本体よりも長いライフサイクルで使えるモバイルディスプレイ製品は、そのほとんどすべてがType-Cで映像を入力できる。スマホに接続するディスプレイとして不満はない。

ちなみに、S22にはType-Cポートを通じて他のデバイスに電源を供給する機能がない。つまり、ディスプレイに電力を供給できないのだ。ビジネスマンが会議室に、あるいは学生諸君が教室にスマホとディスプレイだけを持ち込み、ノートパソコンのようにスマホとディスプレイを組み合わせて使うためには、別途モバイルバッテリーなどを用意しなければならない。ここはなんとかしてほしいところだ。

Galaxyとディスプレイだけで便利なデスクトップ環境に

Galaxyとモバイルディスプレイの組み合わせで得られるデスクトップ環境は、Androidのようでそうではなく、Windowsのようでそうではない、たとえばウィンドウ間のドラグ&ドロップなどをしたくなる場面でちょっと違和感を感じることもあるだろう。ただ、マウスを接続すれば、それなりにリッチな操作方法にも対応できる。欲を言えば、外部マウス接続とスクリーンのタッチパッド利用の切り替えがもっとわかりやすくなっていないとまずいと思う。

ここまで完成度が高まれば有用なもうひとつのパーソナルコンピューティング環境として、必要十分な環境を提供できる。マウスやキーボードを接続すればより快適だが、スマホのスクリーンをタッチパッドとして使うこともできる。世代によってはフルキーボードを使うよりも、フリック入力が速いという層もいそうだ。S22ほどのパフォーマンスがあれば、低スペックのWindowsパソコンを使うよりも快適に使えるかもしれない。

もはや、スマホは、それ単体で完結するものではなくなりつつある。折りたたみスマホや、二つ折りのフォームファクタによってタブレット的な利用が可能なまでに大きな画面を持つニュータイプのスマホも生まれた。確かにタブレット未満、スマホ以上の世界観を提供したが、スマートなモビリティという点ではどうだったか。決して、スマホの主流にはなりえないようにも感じている。今回のS22は、その反省をふまえ、新たな方向性を探ろうとしているのではないだろうか。