ロジクールがワイヤレスマウスの新製品「LIFT M800」を、人間工学に基づいた製品群であるErgoブランドで5月19日に発売する。
グラファイト、ペイルグレー、ローズの3色が展開され、直販ストアでの価格は7,700円となっている。事前に評価することができたので、そのインプレッションをお届けしよう。
この製品は、縦型マウスとされるもので、マウスの上から手のひらをかぶせるのではなく、ちょうど握手をするような角度で握ることができ、手をひねることなく自然な位置で使えるのが特徴だ。既存モデル「MX Vertical」と同様の設計だが、約22%コンパクトになり、手の小さいユーザーにもフィットしやすくなったという。
もちろん可搬性も高まった。実際に、既存モデルと比べてみると、かなりコンパクトに感じる。物理的にカドがとれ、丸みを帯びた印象もある。小さな手の持ち主だけでなく、手が大きいユーザーにとっても持ちやすくなったのではないだろうか。
LIFT M800の使い勝手は?
肝心の使い勝手だが、マウスに慣れた手には、ちょっと違和感があるかもしれない。でも、すぐに慣れる。個人的にはマウスの使用時に、手首をマウスパッド上に固定し、そこを支点に操作するので、パッドに手首が当たる位置が違うだけという印象もあるが、確かに縦型マウスの方が負担は少ないような気もする。
ワイヤレスマウスとして、3台のデバイスに接続設定をしておき、底面のボタンで切り替えて利用できる。また、ユーティリティに(Logicool Options)よるFlow機能によって、デバイス間の自動切り替えにも対応、複数台のデバイスを自在に往来でき、まるでマルチディスプレイのように複数デバイスを利用できる。ただ、まだ発売前ということもあり、ユーティリティが未対応だったため、ボタンへの機能割り当てなどについては試せていない。
Bluetoothが2接続、そして、新規格の「Logi Bolt」レシーバーで1接続の合計3接続を切り替えることができる。かつてのUnifyingレシーバーとの接続はできない点に注意したい。ロジクールの各種ポインティングデバイスは、順次、Unifying対応をフェードアウトし、Logi Boltに切り替わっていくことになっている。
Logi Boltについては、以前、このコラムでも紹介したが、ロジクールの次世代ワイヤレステクノロジーで、完全な暗号化による安全な接続ができるプロトコルだ。Wi-Fiアクセスポイントや周囲のワイヤレスデバイスからの干渉で混雑したワイヤレス環境でも、強力な接続を提供するように設計されているという。
Logi Boltレシーバーが本体に同梱
電源は単3形乾電池1本を使う。本体底面にマグネットで吸着するフタがあり、それを開いて電池を脱着できる。また、このスペースにLogi Bolt USBレシーバーを収納することができるようになっている。
レシーバーの収納スペースがあるのはうれしい。これができないとレシーバーの管理がたいへんだ。また、複数台のデバイスで使いたいときにも、使いたいデバイスのUSBポートにレシーバーを装着するだけでいい。Bluetooth接続すればいいのだが、あらかじめ設定しておける接続先は2台のみだ。レシーバーを抜き差しすればどんなデバイスでも瞬時に使えるようになるというのはとても便利だ。
自分専用のマウスを持ち歩き、フリーアクセスオフィスのどの共用パソコンを使うかわからない場合にもBluetoothでのペアリングなどの操作の必要なくマウスが使える。また、オフィスによってはBluetoothの利用が禁止されている場合もあるだろう。専用レシーバーとBluetooth、両方の接続に対応というのはもっとも使い勝手がいい。
レシーバーの収納がうれしい
Logi Bolt対応マウスやトラックボール、キーボードは「for Buisiness」製品として、既存製品の一部であるSignature M650 for Business、MX Anywhere 3、MX Master 3、ERGO M575ワイヤレス トラックボールなどがラインナップされているが、このLIFT M800でかつて重宝したレシーバーの収納スペースが復活したのはうれしい。
本当は、既存製品についてもリニューアルしてほしいところだが、せめて、今後発売されるマウス製品については、すべてレシーバー収納スペースを設けておいてほしいと思う。
電源に乾電池を使うことには賛否両論あるかもしれない。だが、マウスと充電式内蔵バッテリーの寿命を考えたとき、たぶんマウスの方が長持ちするだろう。先に内蔵バッテリーが寿命を迎えたとき、マウスとしてはまだ問題なく使えるのに廃棄しなければならないことを考えると、乾電池の方が使い勝手がよさそうに感じる。
ただ、単3形乾電池の入手性は高いが、いざというときに電池が空っぽということにもなりかねない。USBケーブルで接続して有線マウスとして使うといったこともできないので、この点は注意が必要だ。
マウスのSDGsを考える
乾電池を交換しながら使うことと、まだ使えるであろうマウスをバッテリの寿命でお払い箱にするのとどっちがサステナビリティが高いかということを考える。
カタログスペックでは、乾電池1本で最長2年間使えるということなので、やっぱり乾電池に軍配が上がるように思うが、最長2年間を鵜呑みにするなら、一回交換して4年間、さらにもう一回交換で6年間くらいで、そのころにはボディはハゲハゲで交換したくなるくらいだろうか。
マウス製品などに限らず、SDGsのサステナトレンドは、スマートフォンなどを含めたガジェット類の電源事情にも少なからず影響を与えそうだ。