コロナ禍がもたらした変化といえば、なんといってもオンライン会議の機会だろう。以前は、電話で小一時間かけて打ち合わせなどをこなしてきたコミュニケーションのほとんどが、TeamsやZoomのようなアプリに取って代わられてしまった。1対1ではない数人のミーティングなども、ほとんどの場合はオンラインだ。

特に、社内外のメンバーで構成されるミーティングをリアルな会議室で開催しようとすると、どちらかがどちらかのオフィスに移動する必要がある。その移動時間を省略できるのだから御の字というわけだ。在宅勤務が主になっているオフィスでは、余計にその恩恵を受けることができる。

ビデオ会議に使うWebカメラが高画質化

急激に浸透したオンライン会議も2年以上が経過して、洗練されつつある時期に入った。普通にノートパソコンに実装されたウェブカメラを使い、ノートパソコンの内蔵マイクを使ってテレビ電話のようなことができればいいというのではすまされなくなってきている。

コミュニケーションの中身としては通話だけでよいようなものも多いのだが、なんとなく顔を見せないと相手に信用してもらえない雰囲気もある。だから「オンライン会議=ビデオ会議」というのはデフォルトだといっていい。

そんな流れもあって、高品位の映像をキャプチャできるUSB接続による外付けのWebカメラがいろいろと出てきている。たとえば、「OBSBOT TINY 4K」は「AI追跡4K高画質WEBカメラ」として、現時点でWebカメラに求められるさまざまな「あったらいいな」が機能として凝縮されている。

4K/30fpsとフルHD/60fpsの画像が美しいのはもちろん、さらにその付加機能としてAIが被写体を追跡してのオートフレーミングやHDR、フォーカシング、そして、ジェスチャーによる追跡と追跡解除、ズームイン/アウトなどができる。

  • レンズに存在感があるOBSBOT TINY 4K。レンズを下に向けることで、音声・動画の記録を停止する

    レンズに存在感があるOBSBOT TINY 4K。レンズを下に向けることで、音声・動画の記録を停止する

興味深いのは、プライバシー保護のために、スリープモードが装備されている点だ。ここはやはり今風だ。パソコンの内蔵カメラの中にはシャッターなどでカメラをミュートできるものもあるが、本当に映っていないのかどうか不安に感じることもある。使わないときには、ノートパソコンのカメラレンズに付箋などを貼り付けている方も少なくないという。

このカメラは、レンズ自体を物理的に下向きにすることができ、それでビデオと音声のキャプチャがシャットダウンされる。状態が一目でわかりやすい。

「ワンオペ撮影」に便利な高解像度と自動撮影

オンライン会議には2種類ある。ひとつは、ほぼほぼ一方的に相手の話を聞くだけでいい(送り手側はしゃべるだけでいい)ブロードキャスト型、もうひとつは、双方向で密な対話をするする(送り手と受け手が対等)コミュニケーション型だ。どちらもこの2年で方法論等が確立されてきている。

前者については映像のプロフェッショナルの仕事の領域までを含めて、かなり豪華なものになってきている。セミナーなどで放送番組に近いものを配信するコンテンツも目にするようになった。ここまでくるともうテレビ放送と変わらない。

OBSBOT TINY 4Kのような製品は、撮影のためにプロに頼るようなことまでは予算や時間の関係で難しいが、撮影者の存在を頼ることなく、機械にある程度の自動撮影を委ねたいというニーズに応えるものだ。

4K画質が、会議に必要なのかどうかというと、現時点では微妙だ。きっと映像の解像度を望むよりも、明確な音を届けているかどうかを気にした方が会議の質は高まるだろう。だが、AIによる分析や自動撮影を質の高いものにするために4K解像度が貢献する。こうした使い方を考えると、今後のWebカメラは4K超の解像度になっていくだろう。

今、映像配信というと、スマホの動画撮影機能が手軽に使われている。場合によってはミラーレスカメラや一眼レフカメラ、ビデオカメラなども。だが、今後は、それらに加えて、こうした自動撮影機能を持つWebカメラが台頭していきそうだ。

会議のための撮影のみならず、YouTubeなどでちょっとしたコンテンツを配信したり、オンライン授業など、他人を頼るのが難しいシチュエーションでのワンオペ対応にきっと役立つはずだ。

Webカメラから可動パーツが消えていく?

Webカメラの自動化は今後も進化する。ノートパソコンに内蔵されているカメラでも、電子的なズームやパンに対応するものが増えてきている。こうしたデバイスは、最終的にはすべてが電子制御され、物理的な可動部分がなくなっていくのが常だ。その方が壊れにくいし、製造コストも安くなる。

たとえば、スマホに内蔵されているようなカメラのズームは、実際にレンズを動かす光学ズームがよいとされていたが、画像処理の技術の進化により、電子ズームでもよいとされるようになってきた。きっと、Webカメラでも同様のことが起こる。

カメラの位置にかかわらず、まるで正面から撮影しているように補正することなどは、ソフトウェア処理のもっとも得意とすることじゃないだろうか。

OBSBOT TINY 4Kのような製品は、可動部分も多いし、電子的に処理できるであろうことも、パーツを物理的に動かして処理している。つまり、とても贅沢な製品だ。まるで小型のジンバルにカメラを実装したような作りになっている。

そんな製品を使ってオンライン会議に参加するのは、無駄なように感じるかもしれないが、コミュニケーションに伴う気持ちの余裕にもつながるのではないだろうか。少なくとも、そんなリッチな気持ちで会議ができるのは、今のうちだけかもしれない。