5Gネットワークのサービスエリアが拡がっている。各社から発売されるスマホもそのほとんどすべてが5G対応だ。ただ、5G対応といっても、その対応にはさまざまな違いがある。

  • 9月28日に発表された5Gスマホ「AQUOS zero6」。AQUOSスマホのハイエンド機で、6.4インチの大画面を146gの軽さにまとめあげた

一般に、5Gのネットワークは、Sub6と呼ばれる6GHz以下のバンドを使うものと、ミリ波と呼ばれる高い周波数のバンドを使うものがある。さらに従来のLTEで使われていたバンドを、5Gに転用して使うバンドもあり、その運用は各キャリア各様だ。また、今後は、LTE通信と組み合わせて5Gを使うNSA(ノン・スタンドアロン)に対するSA(スタンドアロン)通信対応も予定されている。

現行で発売されている端末のほとんどは、Sub6、NSA対応にとどまり、ミリ波やSAには非対応のものがほとんどだ。今、購入した端末は2年間しか使わないというなら特に困ることはなさそうだが、5年は使い続けたいと思っているならミリ波やSA非対応というのはちょっと躊躇するかもしれない。

また、各キャリアともに、政府の要請に伴った格安ブランドの提供が始まっている。オンラインでの契約の場合、初期事務費用等がかからないために移行もしやすい。

つまり、ドコモからau、auからソフトバンク、ソフトバンクからドコモといった乗換に際するコストのハードルが低くなっているのだ。キャリアメールにさえこだわらなければ、電話番号はそのままで毎月別の事業者に乗り換えても特に困ることはなかったりもする。

旅行や出張にも役立つキャリア格安プラン

今は、海外出張などまだ考えられない時期ではあるが、出張や旅行のためにその一カ月だけ格安ブランドの回線を契約するというのも使い方として悪くない。たとえばドコモのahamoは、20GBデータ通信を2,970円/月で提供するブランドだが、海外ローミングは、その20GBをそのまま使えて追加料金等は発生しない。

しかも契約に際する事務手数料は無料なので、出張する月だけ契約して戻ってきたら解約するといった使い方もできる。この金額は、行き先の国にもよるが、手間をかけて海外で現地SIMを入手したりするよりもずっと安上がりだ。これで、データ通信に関する海外ローミングはとてもリーズナブルなものになったが、音声通話についてはまだまだ高止まりだ。

もっとも、昨今では、音声通話にはLINEやFacebook Messengerを使えばいいので、そのことをあまり気にしないかたが増えているようだ。ただ、現地での音声通話で困ることはあるかもしれない。

同じ5Gスマホでもキャリア間で仕様が異なる?

キャリアの乗り換えに際しての問題は、手持ちの端末が乗り換え先のキャリアでも今までと同様に使えるかどうかだ。

先日、シャープが新型スマホとして、「AQUOS zero6」と「AQUOS sense6」の商品化を発表した。

この2端末は現時点でキャリアを通じて発売されるのだが、

  • 「AQUOS zero6」 KDDI(au)、ソフトバンク

  • 「AQUOS sense6」KDDI(au)、ドコモ

とキャリアごとに発売する端末が異なる。

この秋からは、基本的にどのキャリアのSIMでも使える状態で製品が出荷されるので、一般消費者としては、名前が同じ製品なのだからどこで買っても同じ仕様であることを期待するだろう。実際、iPhoneは、どのキャリアで買っても仕様としては同じだ。

ところが、端末の仕様についてシャープにきいたところ、zero6のKDDI版はミリ波非対応、ソフトバンク版のみミリ波対応であるという。つまり、KDDIで買った端末を持ち込みでソフトバンクに移行したときにミリ波が使えないということになる。

SIMフリー化するなら必要な情報の開示を

一方、KDDIとドコモで「AQUOS sense6」の仕様を確認すると、KDDIでは対応周波数は今後公開予定、ドコモでは詳細情報が掲載されていない。5GはもちろんLTEの対応周波数についても公開されていない。発売前とはいえ、これはひどいのではないか。

通信機器であるにもかかわらず、肝心の通信電波についてのことが公開されず、また、一般消費者から見たら同じ製品に見える端末の通信機能が異なるというのはやっかいだ。せっかくSIMフリーで出荷されるようになったのに、こうした面で、キャリアごとの囲い込みが行われるのでは意味がない。

キャリア側の要望で仕様が決まっているのかどうかは定かではないが、そこをなんとか共通仕様で出せるようにするのがメーカーの役割ではないだろうか。