レノボ・ジャパンが鎌倉・由比ヶ浜に海の家をオープン、本格的な夏休みシーズンを前に、プレス向けにPCベンダーだからこそできるというビーチハウスのサービスを披露した。レノボの提供する新しいスタイルの海の家「Lenovo House Beach Marche」とは。
江ノ電の由比ヶ浜駅から5分歩けば、そこはもう海。水平線が目に飛び込んでくる。
国道を渡って砂浜に出れば海の家が軒を連ねている。砂浜を歩いていくと、知っているからこそ「Lenovo」のロゴで「Lenovo House Beach Marche」が見つかる。この「Marche」というのはフランス語で「市場」を意味する。由比ヶ浜がある鎌倉市と姉妹都市関係にある南フランスのニースの市場にちなんだものだそうだ。遠くからでもすぐにわかるといった特徴的な外観があるわけではない。
ハウス内のテーブルの上にはタブレットが無造作に置いてある。オーダー専用に「Lenovo YOGA TABLET」が置かれていて、飲み物や料理を注文することができる。飲食店システムとしてはお馴染みのもので、特に工夫があるわけではない。さらに、各テーブルには食事中に、スマホの充電ができるようになっている。
また、これらのタブレットとは別に、インターネット接続された状態の「Lenovo YOGA TABLET」が無償でレンタルされる。ビーチハウス内では、それを使い、レンタルしたタブレットを使って電子書籍のコミックを読んだり、インターネット上のさまざまなコンテンツを楽しんだりすることができる。
さすがに砂浜まで持ち出されるタブレットは、防水ポーチに収納された状態でレンタルされるようだ。でも、テーブルの上のタブレットはすべてむき出しだ。当然、海からあがってきた砂だらけ、海水でベトベトの手で操作される。一昔前の感覚では「絶対ダメ」の環境だ。
でも、ここでは、いわゆる精密機器としてのスマートデバイスの概念が崩壊している。今では防水防塵のスマートデバイスは当たり前の存在になりつつあるが、レノボのタブレットはそうじゃない。でも、精密機器と海の家という対極の関係にあるものが、ここでは共存しているのだ。そこにレノボの覚悟を感じることができる。
なぜ、レノボが海の家なのか。レノボ・ジャパン株式会社の留目真伸氏(執行役員専務、コンシューマ事業担当)は、パソコン低迷の状況下、業務用パソコンビジネスにフォーカスしていくベンダーが多い中で、レノボはコンシューマーをなんとかがんばってやっていきたいとする。同社とNECパーソナルコンピュータの両ブランドでカバーすることで、多くの日本のニーズを満たせるはずだと。
「90年代の日本人のIT活用力は世界一だったといえるでしょう。他の先進国がどうあがいても追いつけないような超えられない壁がそこにはありました。でも、今、その状況は変わっています。ITへのスキルに天井感が出てきています。他国にキャッチアップされるどころか、追い越されています。日本ではパソコンさえ使われなくなりつつあります。タブレットの普及率にしても18%に留まりアーリアダプタに行き渡ったところで、足踏み状態を続けています。これには個人的にも危機感を感じています」(留目氏)。
留目氏は、その背景として、日本人が使いたいと思うデバイスが提供されなくなっているのではないかという。だからこそ、レノボはそのニーズをしっかりとらえて、日本人に合ったデジタルライフを提供していかなければならないとする。
NECパーソナルコンピュータが幅広い層に訴求していくのに対して、レノボは若い世代にフォーカスした製品作りをめざす。そして、2020年の東京オリンピックまでに、日本人のIT活用力をトップレベルに持ち直させたい。それができるのは、レノボとNECパーソナルコンピューターだけだとその意気込みを語る。
レノボがいうところの「ミレニアムズ」は、物心がついたころからデジタルがそこにあり、Twitterやfacebook、LINEを当たり前のように使うデジタルネイティブ世代だ。スノボゲレンデ、ダンスハウス、ビーチと、場所を問わず、レノボはそんな若者のいるところに、これからもどんどん出かけていくという。
「Lenovo House Beach Marche」は2014年シーズン8月31日まで毎日9:00~22:00までの営業だ。7月23日には鎌倉花火大会をゆったりくつろぎながら干渉できる予約制のサービスも提供される。
夏の終わり、心配なのは海水、砂にさらされ、過酷な状況を耐え抜いた「Lenovo YOGA TABLET」が、いったいどうなっているのかが気になるところだ。レノボ側は「絶対大丈夫、心配ない」。
たとえ、故障して予備機がどんどん補充されるにしても、それをあえてやってみようとする同社の姿勢に、コンシューマーニーズへのあくなきチャレンジを感じる。そういう意識で砂浜を眺めれば、若者が防水ポーチを使うことなく平気で自分のスマートフォンを使っている光景があちこちに見られる。それが、新しい当たり前ということなんだろう。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)