ドコモが2020-2021年冬春新商品と新サービスの発表会を開催、今後のロードマップの詳細をアナウンスした。新機種については予想に違わず、スタンダードモデルが中心だ。5G対応機のみならず、4Gモデルも提供される。

また、今冬はタブレット機がリニューアルし、ドコモとしては初のレノボ機の登用となる。「dモバイル」といったサブブランドでの廉価プランの提供など、政府の要請による値下げについては、NTTによるTOBが進行中であることから、明らかにならなかった。

  • 2020-21年ドコモ冬春製品の端末展示会。ソーシャルディスタンスを守って開催された

    2020-21年ドコモ冬春製品の端末展示会

同社吉澤和弘社長は、新しい日常を5Gで支えることをスローガンに、新たな価値を創出し、社会問題の解決に向けて取り組む決意を新たにした。

同社は5Gについて、2021年3月末までに500都市、その3カ月後には1万局、2022年3月末に2万局で人口カバー率55%、2023年3月末には3万2000局、人口カバー率としては70%まで広げる予定で「瞬速5G」エリアを積極展開していくという。明らかになっているのはここまでだ。

社会問題解決という課題もあり、5Gについては4Gとは少し異なる傾向もある。というのも地方創生などをもくろみ、必ずしも人口の多いところに集中してエリアを拡大するだけではないような戦略もあるそうだ。

普通につながるまで4年かかった4G

4Gのときはどうだったのかを思い出してみる。ドコモが4G LTEとしてXiサービスを開始したのは2010年の秋だった。その翌年、震災があったが2012年頃には、個人的に「GALAXY Note」と「GALAXY S III」を使って4Gの通信を享受していた。

ただ、サービスインから2年が経過しているにもかかわらず、自宅ではLTEにつながらない状況だった。まだまだサービスエリアは虫食い状で3GとLTEの切り替えが頻繁に発生し、それが端末のバッテリの保ちに影響するといった弊害もあった。都心部でも、地下鉄駅構内やビル屋内ではLTEはつながらないというのが、当たり前だった。

それでも翌2013年3月末には人口カバー率75%を達成し、2014年3月末で97.5%、2015年3月末には100%を達成している。すべての国民に行き渡るには4~5年間が必要だったというわけだ。

  • 展示会ではミリ波の一体型基地局が披露されていた

立ちはだかった7GBの壁、5Gでは一瞬

5Gを当てはめてみると、タイムラインを10年分シフトさせればいい。とすると、2014年頃にはほぼほぼ日常生活のエリアではOKになると考えるのが妥当だろう。そしてドコモのロードマップも、ほぼそんな感じだ。

Xiのサービスイン当初は、エリアも万全ではなかったので、端末の購入は保留し、契約だけLTEに対応させ、いわゆる「なんちゃってXi」を謳歌していたのを思い出す。Xiのプランでは音声のかけ放題が提供されたり、テザリングで追加料金がかからないといった利点もあった。いろいな施策があってXiに変更した方が1カ月あたりのコストが下がったのだ。ならばプランを変更しない手はない。だからこその「なんちゃってXi」だった。

あの当時はデータ通信量のお代わり寸前7GBの壁をどう守り切るかが課題だったが、5Gなら一瞬で使い切ってしまうような容量で笑ってしまう。今、5Gギガホはキャンペーン中でデータ量も無制限だ。7GBが10年で無制限とは長生きするものだ。

  • ミリ波での5G通信は実測2.47Gbps(下り)を記録していた。展示会場で計測

「なんちゃって5G」は契約が難しい

ところが、今、5Gについては「なんちゃって5G」の契約ができない。ドコモショップに行って、技適のある5G端末を所有していることを確認してもらい、その場での対面によるプラン変更が必要だ。そして手数料として3,300円が必要となる。機種変更で端末を購入する場合にはこの手数料はない。何のための端末とサービスの料金分離なんだかと思う。オンラインの手続きではさまざまな事務手数料が無料だが、4Gから5Gへの変更はオンラインではできない。

3,300円という手数料は、プランを4Gから5Gに変更したときの割引である「5Gギガホ割」で得られる金額の半額分に相当する。初回適用月から最大6カ月間、対象料金プランの月額料金から1,000円を割り引くというものだ。つまり半年で6,000円だが、そのために3,000円が必要というのは、なんだか騙されたような気持ちになる。

iPhone 12シリーズの販売 / 予約が始まっているが、仮にSIMロックがかかっていない端末をアップルストアで調達して、それで5G契約に切り替えようとすると、ドコモショップにおもむく必要があると同時に、3,300円が別途必要になるわけだ。

もっともアップルは、キャリア端末を購入すると8,000円を割り引く施策を提供しているので、SIMロックにこだわらなければ、アップルストアでキャリアモデルを購入するという手がとれる。そのため、こうしたトラップにはひっかからずにすむが、わかっていればいいものの、どうにもモヤモヤする感じは否めない。