富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、コロナ禍における新施策を提案するオンライン発表会を開催した。同社の齋藤邦彰氏(代表取締役社長)らが、同社の在宅・オンラインニーズに最適な支援施策提案を説明した。

  • FCCLの齋藤邦彰氏(代表取締役社長・右)と竹田弘康氏(副社長・左)

    「fccl 新施策 オンライン発表会」に登壇した齋藤邦彰氏(代表取締役社長・右)と竹田弘康氏(副社長・左)

テレワークに必要なもの1位は「パソコン」

この発表会に先立ち、同社はポータルサイト「My Cloud(マイクラウド)」において、新型コロナウイルス感染拡大による行動と消費の変化についての調査を行っている。調査期間は5月20日からの一週間で、回答数は7,161件だった。

この調査でいろいろなことがわかったと同社はいう。

まず、調査によればコロナ禍によって、約6割のユーザーが1日のパソコン利用時間が増加したと回答している。2時間以上増加したという回答も25%あったという。

どうしてパソコンの利用時間が増えたのか。それは、想像に難くないが、ニュースサイト、オンラインショッピング、動画配信サービスの利用機会が増加したからだ。だが、その利用状況には世代差があるということもわかった。さらに、40代未満ではSNSの利用が進む一方で、70代以上ではトラディショナルなメールの利用が根強い結果となっているそうだ。

さらに40~50代の回答者のうち、5人にひとりがテレワークを実施し、テレワークのためにいろいろなものを購入している。マイクやヘッドセット、ルータなどが目立つ中で、実に1位はパソコンだったという。テレワークやリモート授業などのニーズが追加購入を促進した結果だ。

  • My Cloudにて「新型コロナウイルス感染拡大による行動と消費の変化」を尋ねた調査結果。各世代の10~20%がテレワーク・オンライン学習に必要なものがわからない、と回答

  • ニューノーマルに必要なものはまず「パソコン」。だが、次点はネットワーク関連デバイスではなく、音声デバイスだった

毎年恒例「世界最軽量PC」は刷新なるか

齋藤社長は、オンライン生活が強いられるようになってほぼ半年が経過した今、最初はオンラインでのさまざまな働き方、暮らし方がかつての日常の「代替手段」としてしかとらえられていなかったのに対して、時間の経過とともに、オンラインのほうが効率的で豊かなコミュニケーションを得られることもあると理解され、それにさらなる価値を与えたいという要望に変化してきたともいう。

「いずれにしても、世代間でのPC活用の違いがあるのは確かだが、各世代の10~20%がテレワークに必要なものがわからない。それでも一家に複数のPCがある状態を望んでいるようです」(齋藤社長)。

同社では、こうしたニーズを的確にとらえ、軽量化と大画面化に注力すると同時に、ハードウェアだけではできないことのために、サービスを伴うことで顧客が困っていることにはすべて取り組みたいとしている。

また、期待される今後のプロダクトとして、マイスター、エンジニア、匠の技術が最後の仕上げに入っていることをアピール、もうすぐ紹介できるとした。世界最軽量パソコンとしてのLIFEBOOK UHシリーズなど、毎年恒例の「世界新」刷新などにも期待が高まる。

ニーズを拾う、だけじゃない提案が必要

コロナがあぶり出した家庭、いや、日本という国全体のITリテラシー不足についての問題は、各方面でさまざまな議論が進行中のようだ。管官房長官の記者会見では、デジタル行政のために行政や民間のデジタル化の必要性に言及、デジタル庁の創設などを検討していることが匂わされてもいる。

家庭においては、そのインターネットトラフィックの増加によって、モバイルネットワークのギガ不足、家庭内Wi-Fiの帯域不足、一家に一台パソコンの奪い合い、落ち着いて仕事や勉強ができる隔離されたスペースの確保、光ファイバーなどのFTTHの必要性など、これまでないがしろに近い状態に近かった問題があぶりだされてもいる。

こうした状況に、パソコンメーカーはどのように対処していくのか。今はまだ背に腹は代えられない状況に、即物的に対応できるだけでいいかもしれないが、これからはそういうわけにはいかないだろう。

今こそ、パソコンメーカーからの提案が必要だ。ニーズに呼応した製品作りも大切だが、何をどう使うかを、ハード、ソフトの両面から提案できることが求められる。そして、そのためにはメーカーとして、ものづくりの原点を再考する必要もあるだろう。もしかしたらものを作らないという選択肢も視野に入れる必要があるかもしれない。世の中が変わるというのはそういうことでもある。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)