世界的な新型コロナ感染拡大の抑制のため、新しいチャレンジとしてバーチャル開催となった恒例の年次イベント「ポケモンGO Fest」。当初の予定通り、7月25日~26日の2日間、朝10時~夜20時まで開催された。
初日にエラー発生、一部イベントは再開催に
初日当日の朝10時、ゲームアプリを起動しても、ポケモンどころかジムやポケスポットさえ表示されないトラブルが発生、あげくのはてにはログインすらできなかったりもした。
手元の端末では、iPhoneが壊滅状態だった。いったんアンインストールして、再インストールを試みてもだめだった。Android端末は問題なかったので、とりあえずはプレイをスタートすることができた。
いきなりのシステムトラブルではあったが、後日、事務局からは技術的問題が発生したとして、8月16日にイベントの内容の一部を改めて開催する旨のアナウンスがあった。それでは納得がいかないというユーザーもたくさんいそうだし、せっかく楽しみにしていたイベントが、しょっぱなからトラブルに見舞われ、すっかり戦意を喪失してしまったトレーナーも少なくなかったのではなかろうか。
リアルイベントの「熱気」、今年は?
さて、肝心のイベントだが、どうしても昨2019年の横浜でのリアルイベントと比較してしまう。「熱かった」という記憶が鮮烈なのだが、このイベントに全国から人が集まり、見知らぬトレーナーにフレンドになってもらったり、声をかけてポケモンを交換したりと、いろいろ楽しい内容が盛りだくさんだった。絶対に家に閉じこもっていてはできない体験を、うまく演出できていたと思う。
今年は、というと、世界中どこからでも参加ができるということで、参加者は本当にどこにいてもイベントを楽しむことができた。次々にタスクが提示され、それをクリアすると、報酬アイテムがもらえる仕組みはお馴染みのものだが、クリアすべきタスクは拍子抜けするほど簡単だった。
2日目も、さすがにしたっぱ、リーダー、ボスなどとのロケット団対戦などのタスクがあって、彼らがいるポケスポットまで赴く必要がありそうと覚悟したのだが、自宅にいてもロケット団が気球に乗って降りてくるなどの演出で、ターミナル駅周辺などにでかけることなく近場ですませることができた。普段からポケモンを熱心にプレイしているトレーナーにとってはちょっと物足りなかったかもしれない。
「完全バーチャル」はポケGOの新たなチャレンジ
ポケモンGOのコンセプトは、とにかく街を歩いてもらって、そのリアルの世界とポケモンがいるバーチャルの世界とが融合した世界観を楽しんでもらうというものだ。だから、一歩も家を出ないでゲームを完結できるというような展開は、本当だったらありえない。でも、コロナ禍のもとではそれをやるしかない。
あらゆるビジネスに変容が求められている。ゲームの世界もその例外ではない。そもそも部屋に閉じこもって仮想的な相手と戦うゲームの世界を、外へ外へと誘うことをもくろんだのがポケモンGOだったはず。だが、今、そのもっとも基本的なコンセプトを見直さざるをえなくなっている。ゲーム側としてもまだまだ模索を続けているのだろう。
そのひとつのチャレンジが、今回のポケモンGO Festだった。初めての試みということもあり、決して大成功とはいえないにしても、何らかの手応えはあったにちがいない。
ロケット団が5,500万回倒される
主催側のNianticはこのチケットの売上げから、500万ドルを最低額として寄付するとしていたが、ゲーム終了後、寄付金額を1,000万ドルとすることが発表された。
同社の発表によれば、ポケモンGOにとって初めてのバーチャルイベントは、
124の国と地域の皆さまにご参加いただきました。
約10億匹のポケモンをつかまえました。
5,500万回以上、GOロケット団を倒しました。
5,500万個のギフトを送りました。
平均15キロ歩きました。
という結果で幕を閉じた。20201年は、また、リアルなイベントに戻って、暑い暑いと嘆きながら、熱いリアルなイベントを屋外で楽しみたいものだが、このバーチャルイベントの発展系というのもハイブリッドな形で見てみたいようにも思う。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)