サッカーの2014年W杯ブラジル大会。1次リーグのC組、日本対ギリシアの試合を朝からテレビの前で応援してはみたのだが、残念ながら引き分け。望みがゼロになってしまわなかったのはよかったが、決勝トーナメントへの進出はかなりの難関になってしまった。

セカンドスクリーンとしてのタブレットにテレビのはみ出し情報表示

テレビ観戦のお供にと思って、Microsoftの「すぽレットキャンペーン」で無償公開されているストアアプリ「リアサカLIVE」を試してみることにした。試合中に、スコアやシュート数、ボールの保有率、パス数などの詳細データをリアルタイムで表示、各選手のプロフィールなども調べられるアプリだ。

自分でも何をやっているんだかと思いながらも、とりあえず、3スクリーンを用意した。東芝の「Toshiba dynabook Tab VT484」が8型、Lenovoの「IdeaPad Yoga 13」が13型、そして「Surface 2」が10.6型だ。ちなみに、テレビは50型。合計4スクリーンを整えてキックオフに臨んだ。

「リアサカLIVE」は、リアルタイムで各種のデータを表示してはくれるが、あくまでもセカンドスクリーンとしての情報提供をするものだ。インタラクティブに操作して試合を楽しむというものではない。だから、それを見ているだけでは試合が今どういう状況なのかを把握するのは難しい。パッとスクリーンを一瞥しただけでは、今、試合が何分経過しているのかさえ知ることもできない。午前中の取材予定があったため、後半10分ほどを残して家を出たが、駅までの道、そして電車を待つ間にこのアプリを見ても、試合の様子はよくわからなかった。

また、テレビのアナウンサーは、今日は湿度が高いとか、それで汗をかくと芝も水分を含み、ボールが走りやすくなる。それをどう活かすががポイントだ、なんてことをしゃべっているわけだが、このアプリは、そういうネタは提供してくれない。でも、アナウンサーが、ボールの保有率が今nn%くらいでかなり高いといった、数値的なことをしゃべったときにタブレットのスクリーンを見ると、その数値の根拠が細かくわかるのだ。うん、やはりこういう用途にはタブレットがいい。

アプリは一定時間ごとに画面を更新し、最新の情報に書き換える。スクリーンオフの設定も一時的に強制無効にされているようで、まさに、テレビ観戦の傍らで使う常時点灯のセカンドスクリーンだ。

ちなみにGoogle 検索ランキングによれば、ギリシア戦でもっとも検索された選手は退場処分となったコンスタンティノス・カツラニス選手で、前半38分に2回目の警告でレッドカードを提示されてから検索数が急上昇したという。通勤の時間帯にもかかわらず、小田急や塩村文夏都議のニュース関連の検索より圧倒的にワールドカップ関連が増えているそうだ。

ご存じの通り、サッカー観戦は、なかなか目を離すのが難しいスポーツだ。野球のように得点のタイミングが予測できないからだ。野球は攻守が規則的に交替し、ピッチャーが投げなければバッターは打たない。打たなければ得点にはつながらない。だから、トイレに行くタイミングもとれる。

でもサッカーは、アッという間に攻守が入れ替わる。手元のタブレットをあれこれ操作しているなど言語道断で、それどころか、ちょっとうつむいた瞬間にゴールしたりするわけで45分間の中で気を抜けない時間がけっこう長い。アナウンサーが叫んでから映像を見ても遅いのだ。まして、タブレットで文字を入力して検索なんてしていようものなら決定的瞬間を必ず見逃してしまいそうなものなのだが、せっせと検索されているようなので、世の中的にはそうでもないのだろうか。

観戦のお供という点では、8型スクリーンというのはちょっと小さいと思った。ちゃんと見るためにはスクリーンを凝視しなければならないからだ。その間テレビ映像はお留守になる。もちろん、ユーザーの視力にもよるのだろうが、結果としては、脇に13.3型のYogaをテントスタイルで置いておき、それをチラチラと眺めながらテレビを楽しむというのがよかった。

ストアアプリのほとんどが、画面に表示される文字のサイズを変更することができない。スクリーンサイズや解像度によって、100%、125%、150%、200%に適度にスケーリングはされるのだが、それでも多様化するスクリーンサイズと解像度の組み合わせには追従できていないように感じる。その点、ストアアプリに対してデスクトップアプリは、カスタムサイズ変更オプションがあり、多少は柔軟だ。

ストアアプリの表示する文字サイズを柔軟に変更できるようにすると、スクリーン全体を占有して統一感を保っているイマーシブアプリは、そのデザインの一貫性を保つのが難しくなるという問題も出てくるのだろう。でも、このあたりは、Windowsが何十年も抱えているテーマとして、解決策を見いだしてほしいと思う。多様性はWindowsのいいところでもあるからだ。

もとい、サッカーの話だ。

いずれにしてもあとがない。6/25のコロンビア戦に勝ち、コートジボワールが同日同時刻の試合で引き分け以下に終わらなければ日本はトーナメントには進めない。これはもう「リアサカLIVE」を複数台で起動しておく必要がありそうだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)