令和元年がもうすぐ終わる。ITショーケースとしての五輪もいよいよ本格的な準備が始まっている。会期中にWindows 7のブルースクリーンを見かけるようなことがないように祈りたい。

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デジタルデータは大掃除しなくてもよい?

年末と言えば大掃除と相場が決まっているわけだが、デジタルの世界ではそうでもない。しいていえば冷却ファンにたまったホコリを掃除機で吸い取るくらいだろうか。

デジタルデータを断捨離したところで物理的なスペースが開放されるわけでもない。クラウドのストレージサービスと組み合わせればそう心配することはないだろう。かつては、老後のために録画したTV番組などをせっせとためこんでいたので、手元に大容量のストレージが必要だったが、このままいけば老後には好きな時に好きな番組をオンデマンドで視聴できるようになることが期待できる。だから何でもかんでも残しておくというのはやめた。

デジタルデータの整理が必要ないのは、検索性がアナログ情報に比べて著しく高いからだ。しかも、その検索性は年を重ねるごとに磨きがかかってきたし、これからもよくなる。かつて探せなかったものは今探せるし、今探せないものもそのうち探せるようになるだろう。だから整理はしない、というのが個人的な基本方針だ。

たとえば写真。以前は、撮影対象のイベントごとにフォルダを作り、そこに撮影した写真をまとめていた。これはけっこうめんどうな作業だ。毎回、自宅に戻るたびにこまめに分類しておけばいいのだが、なかなかそれができない。そしてメモリーカードがいっぱいになったころに分類しようとするものだから、写真をチェックすることから始めなければならない。

それがめんどうで分類するのをやめた。メモリカードの画像データを丸ごとコピーしておくだけだ。それでも日時で検索はできるからスケジュールデータと照らし合わせれば欲しい写真はすぐに見つかる。撮りためた画像はすべてクラウドサービスに置いてあるので、撮影対象を大雑把に指定して検索することができる。

たとえば食べ物の写真だけを抽出したりできるわけだ。しかも、写真はスマホで撮影したものはもちろん、コンパクトカメラや一眼レフで撮影したものも、スマホと連携し位置情報が付加されているので、撮影場所を特定するのもたやすい。だから写真は整理しなくても困らない。

その一方でメールはどうか。メールは写真よりもずっと検索性が高い。なぜならほとんどの場合、情報はテキストで書かれているからだ。キーワードを指定するだけで、数百万通のメールから的確に過去のメールを探し出せる。だから、メールの整理も基本的にはしない。受信トレイにどんどんたまっていくだけで放置したままだ。それでも困ることはない。

AIの時代にこそ溜め込んだデータが活きる

言ったもの勝ちみたいに何でもAIというのには閉口しているが、AIが多くの雑多な作業を引き受けてくれる時代が到来しようとしているのは確かだ。デジタルの探し物についても大きな期待を持ってよさそうだ。PCから始まった自分のデジタル人生もすでに40年を超えた。ため込んだデータはたいした量ではないが、AIの時代にこそ再活用の可能性が高まるにちがいない。だから捨てずにためておく。

次の10年、つまり、2020年代はITにとって激動の時代となるだろう。この数十年で起こったことと同じくらいの衝撃的な出来事が次の10年で起こりそうだ。

というわけで、今年もご愛読いただきありがとうございました。来年も引き続き、よろしくお願いします。よいお年をお迎えください。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)