ポケモンGOの開発元であるNianticが、同ゲームへの新機能実装を発表した。ちょっと早めのクリスマスプレゼント的なタイミングで全ユーザーに配信されるという。
新機能は「相棒と冒険モード」という新しい遊び方の実装だ。トレーナーと相棒がより強い絆を育める機能で、お気に入りのポケモンと遊び、そしておやつを与え、いっしょにバトルや冒険をしながら友情を深めていくものだという。
一緒に歩いて目指せ「最高の相棒」
これまでのポケモンGOにも相棒を連れて歩くという概念はあった。今回はその強化というよりも、まったく異なる観点からの実装となっている。なんといっても、ゲームフィールド内の自分の傍らを、相棒に指定したポケモンが本当にウロウロするのだ。
相棒レベルは、グッドな相棒、グレートな相棒、素晴らしい相棒、最高の相棒という4レベルが用意される。そして、相棒の気分が上限になるとポケモンのアメを見つけるために必要な距離が半分になったり、一回の行動で獲得できるハートの量が倍になったりする。
今回の取り組みは、Niantecのプラットフォーム技術を利用した新しい機能だという。同社のミッションが「Adventure on foot with others」、つまり、「足で歩いていっしょに冒険」というのは広く知られているが、その方針の下に、ずっと同じチームが、現行のフレンド機能や、Go スナップショットの機能を実装してきた。今回の新機能も、同じチームが取り組んだ。
一緒に歩いて冒険するというのがポイントだ。ポケモンがただ単についてくるだけではない。冒険の手助けをすることもあれば、バトルのサポートもする。
ただし、相棒に指定したたからと言ってすぐにそうはならない。いろんな困難や試練を乗り越えて次第に最高のパートナーになるという設定だ。そのために、おやつをあげたり、なでてあげたり、いろんな場所を一緒に訪れたりといったことをする。こうしてトレーナーとそれぞれのポケモンの冒険の物語が始まるのだ。
バトルでは相棒ポケモンが助っ人に
相棒ポケモンと仲良くなるには、まず、おやつをあげる。ポケモンのおなかがすいていると絆を深めてくれないのだ。具体的にはきのみだ。新しいきのみとして「ポフィン」が登場する。また、新しい場所を一緒に訪れるのも仲良くなる方法だ。こちらはいっしょに新しいポケストップを訪れたときに絆が深まる。
いっしょにバトルもできる。また、ポケモンをつかまえるときに失敗し、投げたボールが当たらなかった場合に、ポケモンが軌道修正して投げ直してくれる「ボールアシスト」も用意された。
今回の新機能の実装に加え、ARをマルチプレーヤーで楽しむための集合写真モードの提供も始まる。こちらは、ほんの少し遅れての登場となるという。最大3台のデバイスをつなげ、3匹のポケモンで集合写真を撮影できるというものだ。当然、ネットワーク経由での連携となる。3人までのトレーナーが、自分の相棒ポケモンを同じAR空間に置いていっしょに集合写真をとることができる。もし、現実世界に本当のポケモンがいたら、きっともっと仲良くなりたいと考えるはず。同じ空間にいるという証がARによる集合写真だ。
バトルに勝ちたいトレーナーも、そうでないトレーナーも楽しめる
ポケモンを楽しむゲーマーには2種類いる。とにかくバトルに勝ちたいゲーマーと、そうでないゲーマーだ。前者はポケモンをバトルのための道具だと考えがちだが、後者はポケモンが可愛いと感じ、進んではバトルに取り組まなかったりする。後者のようなユーザーにも、ポケモン世界をもっと楽しんでほしいからこその「相棒と冒険モード」といったところか。
Nianticは、ゲームの世界に、リアル世界に歩いて出かけるという概念を持ち込むことに成功したベンダーだが、その出かけるという行為に対する動機が必要だ。それは決してポケモンを大量にゲットしたり、バトルに勝ったり、ジムを破ったり、伝説ポケモンをゲットしたり、トレーナーレベルを上げたりといったことだけではない。
実際、ポケモンイベントなどに参加して、目の前にポケモンゲーマーが大量にいるのを目の当たりにしても、「フレンドを×人作る」といったタスクをなかなかクリアできないプレーヤーたちが少なくないことに気がつく。こういう光景に直面すると、ゲーム世界での相棒ポケモンとの親好を深めるというのは悪くない口実だ。もちろん、そこでもまた、いっしょにリアル世界を歩かないと仲良しにはなれない。
ロケット団の登場で、ここのところ、少しすさんでしまったポケモン世界ではあるが、クリスマスからお正月に向けて、もういちど向き合うというのも悪くないかもしれない。別の楽しみが待っているはずだ。ただでさえ寒くて出かけたくない冬は目の前に、出かけるための言い訳が必要だ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)