Amazon.co.jp(アマゾン)が、「Kindleキッズモデル」と「Fire HD 10タブレットキッズモデル」を発表した。
Kindleシリーズ初となるキッズモデルは既存のKindleをキッズ対応させたもので、「Fire HD 10 タブレット」は新ハードウェアとなるシリーズ最大のスクリーンサイズを実現した。いずれも、子ども用の「FreeTime Unlimited」サービスをバンドルし、子ども向けのコンテンツを定額で提供(月額980円、プライム会員は月額480円。キッズモデル購入者は1年間無料)。10月7日から予約販売を開始、10月30日からの出荷となる。
クレヨンの落書きも保証するキッズ向け新Kindle
子どもにこうした電子デバイスを使わせるのは、いまひとつ不安が残るものだが、「Kindleキッズモデル」と「Fire HD 10タブレットキッズモデル」には、保険に相当するサービスがバンドルされるので安心だ。2年間の限定保証期間内であれば無償交換に対応するという。極端な場合、たとえば子どもがKindleのスクリーンにクレヨンで落書きしてしまったような場合も対応できるという。こうした保険はモラルリスクが懸念されるものだが、子どものやることは仕方がないというスタンスは親としては安心できるし、さすがにアマゾンという印象もある。
コンテンツ利用の仕組みとしては、親が自分のアカウントで「FreeTime Unlimited」を契約し、そのアカウントに紐付いた子どものアカウントをコントロールするという建て付けだ。子どもが勝手にコンテンツを手に入れることはできないが、親が選んだコンテンツを子どもに与えるということはできる。
子どもが何のコンテンツをどのくらいのペースで読んだりプレイしたりしたかを、親はペアレント・ダッシュボードを使って確認することができる。子どもが実際に使っている実機からではなく、パソコンでのウェブやスマートフォンなど、親のデバイスから確認でき、場合によっては、いうことをきかない子どもに対して使うのを禁止するような設定も可能だ。読み放題、遊び放題のコンテンツについても、年齢フィルター、平日、週末の利用時間の設定、アクセスできるコンテンツの選択など多彩な機能で管理ができ、読み過ぎ、遊びすぎを抑制できる。
シニア向けの「シルバーKindle」も需要があるはず
いたれりつくせりではあるが、子どもが使うUIについては、それほど深く追求されてはいない。文字もちいさい上に、漢字もたくさん使われているので、コンテンツの世界に入ってしまえば子どもKindleとして使えても、そこにたどりつくまでは、親がいろいろと教えなければなるまい。
このあたりの判断はいろいろ難しい面がある。過去の失敗例として、スマートフォンの「らくらく化」がある。独自のUIを用意してしまったばかりに、誰にも使い方を相談できない閉じた世界を作ってしまった。そういう意味ではこの子どもKindleのUIが、大人版と大きく違わないのは悪いことではないのかもしれない。
Amazonは、キッズ対応に熱心だが、これからはシルバー対応も考えてほしいと思う。少子高齢化が進む中で、老眼などで本を読みたいけれど小さい文字が読めないシルバー層は、今後、ますます増えていくだろう。特に60歳代というのは微妙な年代で、中年、壮年期にデジタルの洗礼を受けてバリバリと使える人たちが老眼や新たなデジタル概念に悩まされている一方で、まるでデジタルがわからず敬遠するデジタルデバイド的な層がいりまじっているからだ。
「シルバーKindle」あるいは「シニアKindle」が出て、こうした層にアピールするにはどうすればいいのか。12型くらいの大きな画面の電子ペーパーを採用したKindleがいいのかどうかは議論のわかれるところかもしれない。少なくとも、年配層用に「らくらく」的な特別なインターフェースを用意するのではなく、他の方法でのシルバー対応を考えてほしいと思う。そんなデバイスを求めている層は、きっといるはずだし、これからも増えていくに違いない。