新型レッツノートが発表された。今回初お披露目となるのがQV8シリーズだ。アスペクト比3:2の12型スクリーンをもつ2in1 PCで、重量は最小構成で949gとなっている。

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緊急時に心強いバッテリ交換対応モデル

驚くほどの軽さを実現しているわけではないが、今なお、バッテリが交換可能というのは大きい。PCのライフサイクルは長くなる一方で、3年や4年は当たり前に使い続けられ、しかも、それでも実用上は困らないという不思議な状況が続いている。バッテリは消耗品だが、これが本体内に内蔵されていると交換時にサービスに預ける必要があり、高いコストがかかるのと同時に、交換作業中にダウンタイムが発生してしまう。

だが、バッテリが交換可能であれば新しいバッテリを追加注文するだけですむ。新品のバッテリに交換すれば、本体のバッテリ駆動時間も新品と同じものに蘇る。また、追加バッテリを予備的に使うという手もあり柔軟性もある。ちなみに予備バッテリの重量は約40Whのものが約235gだ。最近のモバイルバッテリとさほど違わないので、どちらかを携行すれば緊急時には心強い。かなりWhの小さなバッテリでもPD充電ができるレッツノート自体の仕様もうれしい。

レッツノート伝統の12型、画面は3:2のチャレンジ

さて、今回のレッツノートの特筆すべき点は、同機伝統の12型を頑なに守りつつ、スクリーンを3:2にし、フットプリントを12型で世界最小にしたことにある。

クラムシェルタイプのSVシリーズは、12型相当でも16:10だったし、解像度も1,600×1,200だったから、ここは大きなチャレンジだ。ちなみにこのスクリーンサイズ、アスペクト比は、デタッチャブルレッツノートのXZシリーズと同じだが、解像度的は2,160×1,440から2,880×1,920ピクセルへと高精細化している。

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モバイルPCには2つの側面がある。それは持ち運びながら使う側面と、持ち運び先で腰を据えて使う側面だ。パナソニックがいうには、今後、働き改革が進む中で、テレワークの推進が見込まれ、こうしたモバイルノートのニーズは堅調だとしている。

テレワークや在宅勤務など、仕事をする空間に良質な余裕がある場合はクラムシェルのノート、そして、比較的大きなサイズのスクリーンを持つPCが使いやすい。だからこそ、各社のモバイルノートは13.3型から14型へとシフトしているし、レッツノートもLV8シリーズで14型スクリーンを提案している。デスクトップPCの代替という宿命感が根強く残るフォームファクタだ。

モバイルから在宅勤務までカバーできる全方位PC

モバイルに目を向けると、人目のあるところで機密性の高い仕事をPCを使ってこなすようなことはありえないというのが現在の支配的な考え方だ。だが、レッツノートは異色の存在だ。主力機のSVシリーズは12.1型のクラムシェルだし、今回のQV8も12.0型と、世界のトレンドよりもひとまわり小さい。

そして、そのことこそが、日本のベンダーとしてのパナソニックが考える日本のモバイルを象徴しているし、それは世界のトレンドと今は異なるかもしれないが、そのうち世界が追いついてきて、新たなニーズが生まれる可能性もある。

12型よりさらに小さく機動性の高い10.1型のRZシリーズは継続販売されるそうだが、主力は今回のQVシリーズに移行していくのだろう。フットプリントの小さなPCを望む層は、そろそろRZシリーズとの訣別を覚悟しなければなるまい。モバイルから在宅勤務まであらゆる現場に対応しなければならないなかで、もし、1台しかPCが与えられないのであれば、12型で、モダンPCとしての条件を満たすQVシリーズは間違いなくオールマイティのフォームファクタとなりそうだ。

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